■Route 66 / George Maharis (Epic / 日本コロムビア)
サイケおやじの同世代の皆様ならば、おそらくは「何でも一番はアメリカ」という教育を受けていらっしゃるでしょう。
まあ、一概には決めつけられないとは思いますが、少なくともサイケおやじは子供の頃から、そんな風に刷り込まれていましたから、テレビドラマで接するアメリカにも大いなる憧れを感じていたものです。
で、その中のひとつとして、確か昭和36(1961)年頃からNHKで放送がスタートした「ルート66」は、大きくてカッコ良すぎるスポーツカーで旅する白人野郎の2人組が、行く先々で困った事件や恋愛騒動等々に巻き込まれながらも、スマートで痛快、時にはトホホの結末を堪能させてくれましたですねぇ~♪
尤も、リアルタイムでは小学生だったサイケおやじですから、その劇中展開の真意真相までは完全に理解出来るはずもなかったんですが、後にシボレーのコルペットである事を知る件のスポーツカーが、「ルート66」というシカゴからロスに続く幹線道路を疾走する映像だけで、ワクワクしていたのは偽りのない気持でした。
ちなみに主人公はマーチン・ミルナーがトッド、ジョージ・マハリスがバズを演じていましたが、毎度のお約束として如何にもハリウッドな白人グラマー美女が出てくるんですから、これまた子供なりに楽しみにしていたのはサイケおやじの三つ子の魂でしょうか。
それと劇伴音楽が、なかなかイカシたフィーリングで、今となってはジャジーなロケンロールがテンコ盛りだった事からも、ぜひとも関連音源を纏めて欲しいわけですが、中でも日本でヒットしたのがトッド役のジョージ・マハリス自ら歌った、本日ご紹介のシングル曲!
今となってはストーンズのバージョンが特に有名かもしれませんが、ジャズ系では作者のボビー・トゥループやナット・キング・コールあたりが定番であり、またストーンズがネタ元にしたと思われるチャック・ベリーのカパーも秀逸という、つまりは矢鱈に調子の良いご当地ソングの決定版だと思います。
なにしろ現実の「66号線」に因んだ地名が歌詞に盛り込まれていますし、そのビート感満点の語呂の良さが、これまた覚え易いという楽しさです。
ちなみにサイケおやじの記憶では、ドラマの中でジョージ・マハリスが「ルート66」を歌ったという覚えが薄く、おそらくはネルソン・リドル楽団が担当したとされる劇伴インストやコーラスバージョンがメインだったと思われるんですが、実はこのシングル盤を買ったのは当時、テレビを持っていなかった叔父が、このドラマを毎週鑑賞するために我が家を訪れていたという流れの一環でした。
そして例によって、掲載した私有盤は、それを永久貸与されたものというわけですが、とにかく今でもジョージ・マハリスといえば「Route 66」である事に変わりはありません。
ところが、ドラマそのものが後にフジテレビ(?)に放送移行した頃でしょうか、途中でジョージ・マハリスが出なくなり、つまりはトッド役が交代してしまったんですよねぇ……。まあ、このあたりは吹き替え声優が同じだったんで、それほどの違和感がなかったような気もしているんですが、一説によるとジョージ・マハリスはアメリカの道徳観念では許し難い軽犯罪をやってしまったからという噂もありました。
ただしジョージ・マハリスは歌手としても有名だったらしく、ボーカル物のアルバムを何枚も出していますし、有名ホテルラウンジでのステージ活動も多いそうですから、それほど大騒ぎする必要もなかったのでしょう。
ということで、アメリカが裕福な夢の国と信じられていた頃、日本はそれに追いつけ、追い越せという目標主義が命題になっていたように思います。そして豪勢に作られたハリウッドのテレビドラマがウケたのも、まちがいなく信じられるものがあったからでしょう。
それが翻って現在、自国政府の言う事が一番信じられない時代が来ようとは、想像もしていませんでした……。あぁ、なんの屈託もなく「ルート66」を観ていた頃に戻りたいような、全く後ろ向きにさせられる今日この頃ですねぇ。
閑話休題。
最後になりましたが、これまた薄い記憶ではありますが、このジョージ・ハマリスのバージョンを焼き直したような曲を小林旭が歌っていたような気がしているんですが、「自動車ショー歌」じゃないしなぁ~~?