■A & R Studios:New York, 26th August 1971
/ The Allman Brothers Band (Leftfield Medie = CD)
オールマンズの裏ネタの中では昔っからブートの定番だった音源のリマスター盤が、本日のご紹介です。
しかも、これまたてっきりブートだと思っていたら、どうやらオフィシャル盤と思われるんですよっ!?
気になるネタ元にしても、FMラジオ放送用のスタジオライプなんで、音質諸々は全く心配ご無用ですし、録音が1971年8月26日とされている事から、デュアン・オールマンの突然の悲報直前、僅か2ヵ月前というのも、あまり言いたくはありませんが、やはり感慨深いものがあります。
01 Statesboro Blues
02 Trouble No More
03 Don't Keep Me Wonderin’
04 Done Somebody Wrong
05 One Way Out
06 In Memory Of Elizabeth Reed
07 Stormy Monday
08 You Don't Love Me
09 Soul Serenade
10 You Don't Love Me
11 Soul Serenade (In Memory Of King Curtis)
12 Hot‘Lanta
しかし、ここまで煽りの文章を綴っていながら、正直に言わせていただければ、この日のオールマンズはイマイチ精彩がありません。
何故か全員がお疲れ気味というか、初っ端の「Statesboro Blues」からしてバンド全体のテンションが低く、それは続く十八番の演目にしても、テンポは緩いですし、演奏のキレも様々に残されているオールマンズのライプ音源に親しんでいればこそ、ぬる~い雰囲気を感じてしまうんですよねぇ……。
なによりもお目当てのデュアン・オールマンにしても、細かいギターワークにミスが散見され、アドリブのインスピーションが失礼ながらパッとせず、マンネリフレーズを積み重ねている状況では……。
う~ん、いくら天才とはいえども、こんな不調の日もあるというのは、天才なればこその気まぐれなんでしょうかねぇ???
もちろん既に述べたように、バンドとしての勢いも鈍く、このあたりは如何様にも弁護出来るんでしょうが、個人的には「In Memory Of Elizabeth Reed」までの前半6曲は、どうにもノリきれません。
しかし、それでも「Stormy Monday」になるとスロ~ブル~スな展開が、だる~い雰囲気の充満ゆえに結果オーライ(?)となり、どうにか恰好がついてきたところでのMCが、このスタジオライプの1週間前に同じニューヨークで刺殺されたサックス奏者のキング・カーチスへの想い……。
おそらく語っているのはグレッグ・オールマンと思われますが、デュアン・オールマンもスタジオの仕事で共演録音を残していますし、それ以外にもソウル&ファンクな現場では接点も多かったはずですから、尊敬と畏敬の念はメンバー全てが共通なのでしょう。
そうして始まる「You Don't Love Me」が、前半のダレ気味の演奏とは一変して感じられる事は、なにもサイケおやじの思い込みだけではないと思います。とにかくハードなエッジがクッキリ蘇ったリズム隊、それに上手くノセられるギターやボーカルのコンビネーションは、我々が期待するオールマンズの実相を伝えてくれるはずです。
しかも演奏中盤のお約束、ギターが独り舞台で心情吐露する場面では、予め決めてあったのでしょうが、デュアン・オールマンがキング・カーチスの「Soul Serenade」をリードし、バンドがそれに合わせていくところは、まさに鳥肌♪♪~♪
ちなみにリマスターされたステレオミックスの定位は左にデュアン・オールマン、右にディッキー・ベッツという2本のギターが屹立していますから、こういう展開は尚更にたまりません♪♪~♪
そして後を引き継ぐディッキー・ベッツとバンドメンバーの阿吽の呼吸も素晴らしく、最終盤で再び緩やかなで思わせぶりなパートに入っての大団円には、ファンならずともシビれるんじゃないでしょうか。ただ、それをしつっこく「Soul Serenade」と二度目の曲タイトルにチャプターしているのは???
まあ、気持は分かりますけどねぇ~~。
ですから一応のオーラス「Hot‘Lanta」が闇雲に熱くなるのは、これまた曲タイトルどおりとはいえ、バンドの面々は案外と冷静かもしれませんし、そうでなくては情に流される結果になったかも!?
ということで、そうやってラストまで聴き通してみると、実はリピートしたくなるのが怖いところです。つまり最初っからノリが悪い演奏云々と書いてしまった事に後悔が滲んでしまい、例えば「Don't Keep Me Wonderin」でデュアン・オールマンが演じるスライドは、やはり尋常ではありません。
結局、オールマンズのファンは殊更デュアン・オールマンが在籍していた時期の演奏に過大な期待を求めるわけですし、それが叶えられるか否かが大きな問題なんでしょう。少なくともサイケおやじは、そうやって聴いてしまう自分を痛感しています。
あぁ、それなのに、それなのに……。
「緩い」とか「精彩が……」とか、とんだバチアタリを書いてしまうのは我儘と言われても反論出来ません。
そこで個人的には「トラック8」の「You Don't Love Me」から聴く事も潔しとする、そんな決意までしてしまうほど、これは罪作りな復刻なのでしょうか。
で、最後になりましたが、これを「オフィシャル」と決めつけていながら、実はそうではないという疑惑もありますので、気になる皆様には早めのゲットをオススメさせていただきます。