OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ハードでヘヴィなサボテン野郎

2011-01-11 16:23:32 | Rock

Long Tall Sally c/w Rock N' Roll Children / Cactus (Atoc / ワーナーパイオニア)

ヘビーメタルはNGのサイケおやじも、ハードロックは大好き!

まあ、それがどう違うのか、自分でも説明に窮するんですが、どこかクールなヘビメタに対し、ハードロックは何かしらの人間味が感じられるんですねぇ。ある種のイナタイ雰囲気とか、汗だらだらの心意気とか、そう書いてしまえば、ヘビメタも同じかもしれませんが、個人的にはスマートさを排除しつつ突進するノリを持っているバンドこそ、ハードロックじゃないかと思っています。

で、そんなサイケおやじが欲する必要十分条件を満たしていのが、本日ご紹介のカクタスで、結局は大ブレイクすることも無く、またエバーグリーンなヒット曲も出せませんでしたが、好きな人には決して忘れられないバンドでしょう。

メンバーはラスティー・デイ(vo,hmc)、ジム・マッカーティー(g)、ティム・ボガード(b,vo)、カーマイン・アピス(ds.vo) の4人組として1970年にデビューしていますが、ご存じのとおり、このバンドは偶然の産物というか、窮余の一策として誕生した経緯はロック史に残るものです。

それはティム・ボガードとカーマイン・アピスという元ヴァニラ・ファッジの2人が、ジェフ・ペックと新バンドを結成するはずが、なんとジェフ・ペックが交通事故で重体となって計画は頓挫! 1969年11月の事でした。

しかし既に商業的に成功していたヴァニラ・ファッジを辞めてしまったティム・ボガードとカーマイン・アピスは、遊んでいるわけにもいかなかったのでしょう。そこで別な新バンドを結成することになり、それがカクタスというわけですが、流石は重量級のリズムコンビがやるだけあって、ハードな仲間が結託しています。

まずボーカリストのラスティー・デイは、後に野獣派ギタリストとして人気が沸騰するテッド・ニュージェントが率いていた元祖ハードロックのアンボイ・デュークス出身であり、またギタリストのジム・マッカーティーもルーツ・オブ・ハードロッカーとして評価されているミッチ・ライダーのバックバンドに所属していたのですから、筋金が入っています。

そして作られたデビューアルバム「カクタス」は、骨太にブッ飛ばしたハードロックの裏名盤になったわけですが、基本的に演目がブルースの古典や黒人R&Bのカパー、そしてメンバーが即興的に仕上げたようなハードブギがほとんどということで、シングルヒット向きのキャッチーな歌と演奏は入っていません。

それゆえに我国では、ハードロック全盛期に登場したスーパーグループという、今では懐かしの称号も虚しく……。どこかしらB級の扱いが続いています。

ところがサイケおやじは、こういうストレートで質実剛健なバンドが大好きで、もちろんヴァニラ・ファッジ以来の大ファンであるティム・ボガードとカーマイン・アピスがやっているのも、絶大な魅力でした。

さて、そこで本日掲載のシングル盤は翌年に出たセカンドアルバム「ワン・ウェイ... オア・アナザー」からのカットで、A面「のっぽのサリー / Long Tall Sally」はご存じ、今ではビートルズのカパーの方が有名かもしれませんが、オリジナルは黒人ロッカーのリトル・リチャードが1956年にカッ飛ばした自作自演の大ヒットにして、永遠の古典R&R!

ですからアップテンポで熱い仕上げは必須なんですが、カクタスはグッとテンポを落とし、ヘヴィで粘っこいアレンジを極限まで利用したハードロックの典型的な一発です。しかも山場でテンポアップしてエッジ鋭くドライヴするパートまで用意されているんですから、たまりません♪♪~♪

当然ながら唸って泣きまくるギター、重心の低いベースに極端な後打ちのドラムス、さらにドロドロフィーリングでシャウトするボーカルが一丸となって叩きつけてくる醍醐味は、好きな人には好きとしか言えない、まさに筆舌に尽くし難いものでしょう。

ちなみにサイケおやじは、一般的には二流の烙印も押されているジム・マッカーティーのウネリのギターが大好きで、かなり目標としていたことを白状しておきますが、これは決して自分だけではないと思いたいですねぇ。

そしてB面収録の「Rock N' Roll Children」が、これまた一本調子寸前のへヴィなハードブギのオリジナルで、もちろん既に述べたような現場主義に貫かれたノリは、メンバー全員の共作という事情が大きく関係しているはずです。

で、そういうわけですから、我国の洋楽番組でも、このシングル盤はヒットするはずもありませんでしたが、アルバムそのものはデビュー盤も含めて、アメリカでは売れていたそうですから、日本でも似たような状況だったんじゃないでしょうか。

しかしサイケおやじは、例によって経済的な理由により、このシングル盤を買うのがギリギリのところで、それゆえに愛着も深いというわけです。

そこで気になるカクタスのその後ですが、4枚目のアルバムを作ったところでティム・ボガードとカーマイン・アピスが大怪我も癒えたジェフ・ペックと予定通りのバンド、つまりベック・ボガード&アピスを組むために脱退したことから、自然消滅の道へ……。

また、その流れの中で、ラスティー・デイとジム・マッカーティーが一足早くグループを抜け、バンドそのものが結成当時とはメンツが異なるという、名前だけが優先する存在になったのは、如何にも業界の仕来たりとはいえ、納得するファンは少ないと思われます。もちろん所謂リユニオンが事ある毎に局地的な話題とはなっているのですが……。

ということで、結局カクタスは3枚目のアルバムまでが、その全盛期だったと思います。

そして影響力も比例していたはずで、例えば我国のモップスが1971年頃から演じていたハード&ヘヴィのシンプルに分かり易いロックのスタイルが、なかなかカクタスと似ていたと思うのはサイケおやじだけではないでしょうし、類似のバンドは世界中に数多存在しているはずです。

もしもロックに永劫性があるとしたら、何時の時代も忘れられないのがカクタスのようなハード&ヘヴィなバンドじゃないか!?

本当に、そう思っているのでした。

コメント
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