OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ヨレヨレのクラプトンも、また良し!

2011-01-09 16:30:39 | Rock

Eric Clapton's Rainbow Concert (RSO)

未だに悪評が消えないアルバムではありますが、実はサイケおやじが愛聴する1枚!

1973年1月、悪いクスリと酒に溺れていたエリック・クラプトンが、それこそ友人達に引っ張り出される形で行ったリハビリライプという企画性ゆえに、発売当時から賛否両論があったのは言わずもがな、既に中身を知っていた業界の一部からは無視する動きまで……。

 A-1 Badge
 A-2 Roll It Over
 A-3 Presence Of The Load
 B-1 Pearly Queen
 B-2 After Midnight
 B-3 Little Wing

結論から言えば、その大きな要因のひとつが音の悪さでした。

しかしエリック・クラプトン(vo,g) 以下、ピート・タウンゼント(g,vo)、ロン・ウッド(g,vo)、スティーヴ・ウインウッド(key,vo)、リック・グレッチ(b)、ジム・キャパルディ(ds)、リーボップ(per) 等々、とにかく参集した豪華なメンツの存在意義と演目の魅力は否定し難く、こういうコンサートが開催され、そのライプ盤が出ると報じられた1973年秋以降、サイケおやじは非常な決意をしていたほどです。

それはエリック・クラプトンというギターの神様が、どうやら再起不能に近い泥沼であがいているという不思議の解明であり、またクリーム以降、イマイチ芳しくない世評に対する答えを求めていたのです。

ちなみにサイケおやじは、一般的にはショボイと言われていた最初のソロアルバム「エリック・クラプトン」を気に入っていましたし、この頃になっても「レイラ」が名盤認定されていなかった実情を書いてしまえば、お若い皆様には信じられない事かもしれません。

実はその布石になっていたのが、例のブラインド・フェィスの背信(?)で、あれほど期待ハズレなアルバムは当時、犯罪扱い寸前にまでファンを怒らせたのですよっ!?!

それゆえに「らしい」ギターがほとんど出ないソロアルバム「エリック・クラプトン」のウケが悪く、その結果として最初っから「レイラ」が2枚組で値段が高かった事もあるんでしょうが、我国では局地的にしか認められなかったように思います。

しかしエリック・クラプトンの名前は、やはり絶大な価値があるというか、それがあれば強烈な神業ギターが必ずや聴けるものという「思い込み」は不滅なんですねぇ~♪ さらに前年、クリーム時代のライプ音源から抜粋した「ライプ・クリーム Vol.2」が発売され、忽ち世界中で大ヒットしていましたし、また「レイラ」以降のデレク&ドミノスを記録した2枚組ライプ盤「イン・コンサート」も世に出るという動きがあれば、それは当然でもありました。

そしてサイケおやじは昭和49(1974)年のお正月、輸入盤セールにおいてピカピカの新譜扱いだった、このアルバムを買ったのです。

そういうわけですから、クリームによるオリジナルバージョンと比べれば脱力してユルユルな「Badge」にしても、エリック・クラプトンは素晴らしいギターソロを演じていると信じる他は無く、そういう雰囲気が所謂レイドバックしたハードロックになっている「Roll It Over」のギタージャムも結果オーライでしょう。

ただし既に述べたように、レコーディング担当が名匠のグリン・ジョンズであるにもかかわらず、潔くないミックスと各楽器のバランスが不統一という現実は……。なにしろエリック・クラプトン以外にギターを弾いているピート・タウンゼントとロン・ウッドが確かにソロパートも演じているのですが、どっちがどっちか不鮮明な状況も多く、またリズムギターのパートも混濁感をますます強めていると感じます。

その意味でスティーヴ・ウィンウッドが歌う「Presence Of The Load」は、今やエリック・クラプトンの看板曲にもなっているブラインド・フェィス時代の演目ということもあり、壮麗にしてクールで熱いフィーリングの醸し出し方は流石! こんな条件の中でも、見事にメンバーの力量が示された演奏だと思いますし、エリック・クラプトン本人が、お待ちかねの後半で炸裂させるワウワウギターが強烈すぎて、短いのが勿体無いほどです。

まあ、このあたりは当時、再編されて注目度も高かったトラフィックと同じようなリズム隊の堅実なサポートも光るわけですが、そうやって演じられる同グループの代表曲「Pearly Queen」は、その所為もあってデイヴ・メイソンの得意技フレーズを弾いてしまうエリック・クラプトンがオチャメでニンマリ♪♪~♪

しかし、こんな事で喜んでいても後が続かないわけで、重心の低いヘヴィなビートで押しまくる「After Midnight」、そしてジミヘンの名曲にしてデレク&ドミノスの名演も記憶される「Little Wing」での情熱は、ロン・ウッドの好サポートも目立ちまくりというのが正直なところでしょう。

実は皆様がご存じのとおり、このアルバムはCD時代になってから収録曲目を増やした拡張盤が登場し、当然ながらミックスも音質も改善されたことから、その実態がさらに浮かび上がったわけですが、個人的には最初に馴染んだアナログ盤のゴッタ煮ミックスの中から感じられるサポートメンバーの友情と仕事人風情が大好きです。

そして肝心のエリック・クラプトンは、そのギターの音が幾分細く、ミストーンも頻発させるという、およそ神様らしくない部分が記録された事により、このアルバムが尚更にリアルな価値を持ったと言っては、贔屓の引き倒しでしょうか……。

確かに、この6曲しか入っていないアナログ盤LPだけならば、そこに愛着を感じても全く問題ないと思います。

しかし既に述べたように、拡張盤となったCD、あるいは当日2回行われたステージを全て収めたブートを聴けば、エリック・クラプトンがステージの進行に引っ張られ、グイグイと調子を上げて後半へ突入していく様が実に痛快なんですねぇ~♪

そうした事実を知ってしまえば、明らかにこのアルバムを無かったことにする動きも当然かもしれませんが、そこはリアルタイムで接した「ありがたさ」が確実に加味されていますから、愛着も強まるばかりというわけです。

ということで、相変わらず屁理屈と屈折に満ちた言い訳が無いと、それこそ聴いていられないLPではありますが、初めて買った37年前の今日の感激を思い出しているのでした。

コメント (2)
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