本日も仕事に振り回された1日とはいえ……。
朝からストーンズを聴いたり、昼飯後には、こんなの聴いてました――
■Miles Davis Quintet & Sextet Radio Broadcasts 1959 - 1959 (RLR)
先日仕入れてきたんですが、またまたマイルスネタのCDで御機嫌を伺います。
内容はタイトルどおり、キャノンボールやコルトレーン、ビル・エバンスやウィントン・ケリーが在籍していたマイルスコンポの放送音源集♪ もちろんこれまでも度々、いろいろな形で出回っていたものですが、それでもリマスター盤が出ると入手せずにはいられない魔力がありますねぇ――
☆1958年5月17日、ニューヨークのカフェ・ボヘミアでのライブ
01 Four
02 Bye Bye Blackbird
03 Walkin'
04 Two Bass Hit
メンバーはマイルス・デイビス(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、ビル・エバンス(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という5人組で、音質もそれなりに良好なので、近年は準公式音源化しているようです。
まず冒頭の「Four」はフィリー・ジョーのドラミングがビシバシに冴えた景気の良い演奏で、ポール・チェンバースのベースもブンブンブン♪ マイルス・デイビスは些か不安定ながら十八番のフレーズばっかりを吹いていて、なかなか気分が高揚してきます。
続く「Bye Bye Blackbird」は、いきなりマイルス・デイビスの指パッチンがお約束ながら、肝心のテーマ吹奏が些か調子っぱずれで、それでもなんとか持ち直すのですが、テレ隠しのような吹奏が続きますからジョン・コルトレーンも寝ぼけたような雰囲気で……。しかしビル・エバンスがクールで新鮮なノリを聞かせてくれますから、結果オーライでしょうか。
そしてお馴染みの「Walkin'」では、再び威勢の良いハードバップに戻った安心感のある演奏となります。ビル・エバンスの緊張感のある伴奏が、ハッとするほど良い感じですから、マイルス・デイビスも油断出来ません。チェンバース&フィリー・ジョーとのコンビネーションもバッチリ♪ ですからジョン・コルトレーンが八方破れのアドリブに突入すれば、続くビル・エバンスが素晴らしいアドリブで新時代のモダンジャズを披露していくのでした。
最後の「Two Bass Hit」は短いバンドテーマっぽい演奏というか、途中でアナウンスが入ってフェードアウトしますが、フィリー・ジョーの大暴れが痛快至極です。
☆1958年6月30日、ワシントンD.C.のスポットライトラウンジでのライブ
05 Walkin'
06 All Of You
07 'Round Midnight
メンバーはマイルス・デイビス(tp) 以下、キャノンボール・アダレイ(as)、ジョン・コルトレーン(ts)、ビル・エバンス(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds) という、これまた凄い面々です。
もちろんバンドは絶好調で、まず「Walkin'」ではジョン・コルトレーンとキャノンボール・アダレイが大暴走! ビル・エバンス以下のリズム隊も緊張感いっぱいの熱演で、もちろんマイルス・デイビスも親分の貫禄を聞かせており、「All Of You」ではミュートの妙技も冴えています。ただしここではジョン・コルトレーンが些かアンバランス……。
全体的な音質は劣りますが、リズム隊もそれなりに聞こえますし、なによりもビル・エバンスの極めて貴重なこの時期の録音というだけで、心が躍ります。
そしてお目当ての「'Round Midnight」はスタジオバージョンに比べて相等にラフな演奏なんですが、例のブリッジの緊張感からジョン・コルトレーンのアドリブが迷い道となるあたりにジャズの瞬間芸を感じたりします。
☆1958年11月1日、ワシントンD.C.のスポットライトラウンジでのライブ
08 Sid's Ahead
09 Bye Bye Blackbird
10 Straight No Chaser
メンバーはマイルス・デイビス(tp) 以下、キャノンボール・アダレイ(as)、ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds) で、レッド・ガーランドの復帰が珍しいところ♪
その所為でもないでしょうが、全体にハードバップっぽい熱気が充満しており、「Sid's Ahead」がいきなりの快演! モードも使いながら吹きまくるマイルス・デイビスが大ハッスルですし、ジミー・コブとポール・チェンバースがクールで爽快な4ビートで煽ります。するとジョン・コルトレーンとキャノンボール・アダレイが火の出るような豪快なアドリブを展開してくれるんですねぇ~♪ もちろんレッド・ガーランドも負けじと十八番のフレーズを弾きまくりと書きたいところなんですが、周りが凄すぎて……。ちなみに音質は普通に聞ける程度に良好です。
しかし次の「Bye Bye Blackbird」ではレッド・ガーランドが面目躍如の名演です。テンポがかなり早くなっているんですが、快適なイントロと伴奏の上手さは最高ですし、かなり新しい事をやってしまうジョン・コルトレーンを尻目に、これぞハードバップの真髄という楽しさ満点のアドリブを披露♪ ジミー・コブの楽しげなドラミングも実に良い雰囲気ですし、肝心のマイルス・デイビスもミュートで疾走した快演ですよ。
そしてオーラスの「Straight No Chaser」は、猛烈なスピードで突進する豪快な演奏! アドリブ先発がアグレッシブなポール・チェンバースのアルコ弾きというのもヤバイ雰囲気ですが、マイルス・デイビスが後年のフリーブローイング時代の萌芽ともいうべき熱さなんですねぇ~♪ ジミー・コブも怒りのドラミングですし、ポール・チェンバースの4ビートウォーキングもノリにノッています。
ただし残念ながら、物凄いジョン・コルトレーンのアドリブに入ってすぐにアナウンスが重なってのフェードアウトが本当に勿体ないです。
☆1959年1月3日、ニューヨークのバードランドでの録音
11 Bag's Groove
12 All Of You
メンバーはマイルス・デイビス(tp) 以下、キャノンボール・アダレイ(as)、ジョン・コルトレーン(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds) で、ジャケットでのクレジットはレッド・ガーランドになっていますが、これは誰が聴いてもウィントン・ケリーでしょう! 音質も良好です♪
そして演奏は、もちろんノリまくっての痛快至極! とにかくリズム隊のグルーヴが物凄いですから、「Bag's Groove」ではハードボイルドなマイルス・デイビスに地獄巡りのジョン・コルトレーン、ミステリアスファンクなキャノンボール・アダレイという、モダンジャズ最良の瞬間が楽しめます。
しかしここはやっぱり、リズム隊の強烈な存在が圧巻で、粘りながら飛び跳ねるウィントン・ケリー、クールビートのジミー・コブ、ポール・チェンバースのブンブンベースには涙がボロボロこぼれるほどに中毒症状の私です。
それは「All Of You」にも継続され、ミュートでテーマ変奏に勤しむマイルス・デイビスをがっちりとサポートするリズム隊の面々は本当に流石ですねぇ♪ ここはブラックホークか!? と思った次の瞬間に炸裂するのがジョン・コルトレーンのハードなテナーサックスですから、もう、たまりません! スピード感に満ちた音符過多症候群! これこそがモダンジャズの魅力の一端でしょうねぇ~、なんと言われてもです。
しかし残念ながら、またまた途中でフェードアウト……。う~ん、現場のお客さんが本当に羨ましいですよ。
ということで、音質的にも改善がほどこされ、これまで出回っていたブツの中では優秀な1枚でしょう。あえて言えば、トラック「05」から「07」ではリズム隊が弱い録音なんですが、まあ、これだけの演奏が聞けるのですから、贅沢を言えばバチが当りますよね。
このあたりのブート系音源初心者にも絶好の1枚だと思います。