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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

クリーンファイト

2006-07-23 16:05:07 | Jazz

ガソリンが、また値上がりしたようです……。大好きな鰻も高いみたいだし……。

だんだん我侭も通らなくなるんでしょうか……。

自分の人生を楽しみたいだけなんですが……。

という暗い嘆き節しか出ない休日ではありますが、楽しさの追求は人生の意義と考えて、これを聴きました――

An Afternoon At Birdland / Kau Winding & J.J.Johnson (X / RCA)

同一楽器の対決セッション、所謂バトル物こそ、ジャズならでは人気企画です。

そこでは丁々発止の掛け合いから協調性を大切にした和みの瞬間まで、当にスリルとサスペンスの醍醐味が味わえるのですから、たまりません。

ですからジャズの歴史の中では多くの人気チームが誕生していますが、このアルバムの主役であるJ&K=J.J.ジョンソンとカイ・ウィンディングはトロンボーンという、モダンジャズではなかなか難しい楽器でそれに臨み、見事に人気を爆発させた名チームでした。

もちろん彼等は多くの録音を残し、その全てが名演になっていますが、この作品は全盛期のライブ盤とあって、活き活きとした楽しさが詰まっています。

録音は1954年10月、メンバーは、J.J.ジョンソン(tb)、カイ・ウィンディング(tb)、ディック・カッツ(p)、ペック・モリソン(b)、アル・ヘイウッド(ds) です――

A-1 Funnybone
 カイ・ウィンディング作曲による明るく楽しいハードバップです。
 アドリブソロの先発はカイ・ウィンディングで、分かりやすくウキウキするようなフレーズを連発すれば、続くJ.J.ジョンソンは細かい音符まで追求した超絶技巧を披露しています。もちろんその対比は、どっちが優れているとかいう問題では無く、それぞれの持ち味対決として楽しいのです。
 そしてクライマックスでは、お約束の4小節交換からラストテーマに雪崩込むのでした。

A-2 Cornerstone
 ラテンリズムを使ったテーマが、これも楽しいカイ・ウィンディングのオリジナル曲です。
 ここでのアドリブ先発はJ.J.ジョンソンで、技巧を優先しながらも独自の歌心を追求していますが、続くカイ・ウィンディングは分厚い音色と悠然としたアドリブの構成力で勝負しています。
 またリズム隊が本当に躍動的で、堅実なペック・モリソンのベースを要にして暴れるアル・ヘイウッドのドラムスと歯切れの良いディック・カッツのピアノが最高です。ただし録音状態からピアノが引っ込んでいるのが残念!
 演奏はこの後、J&Kのウリであるトロンボーン・バトルが展開され、当に丁々発止の白熱です♪

A-3 Lullaby Of Birdland
 このライブが行われたクラブ「バードランド」のテーマ曲が、終始J&Kの絡みで演奏されていきます。お馴染みのメロディをユニゾンで演奏した次の瞬間、裏になり表になりながら、2人のトロンボーンがジャズの醍醐味を満喫させてくれるのです。
 リズム隊のサポートも絶妙で、短い演奏ですが、いつまでも聴いていたい魅力に溢れています。

B-1 Bone Of Contention
 編曲も得意なJ.J.ジョンソンが書いただけあって、かなり複雑なアレンジが施されたテーマ構成から、熱いハードバップが展開されています。
 アドリブはJ.J.ジョンソン~カイ・ウィンディングの順ですが、いずれも自己のペースを全く崩さずに対決意識を聴かせているのは流石です。もちろんクライマックスのソロ交換は熱気の渦巻き状態!
 そんな中でセンスの良さが全開というディック・カッツのピアノソロが痛快です。

B-2 Birdland Festival
 カイ・ウィンディングが書いた名曲で、このアルバムのハイライトとも言うべき熱い快演になっています。
 それは力強いリズム隊に煽られて、まずカイ・ウィンディングが最高に豪快な歌心を披露すれば、続くJ.J.ジョンソンは繊細なフレーズを積み重ねてディープに対抗していくのです。もちろん2人ともアドリブ構成の上手さは天下一品です♪
 そしてクライマックスのソロ交換はバトルと言うよりも、相手フレーズに敬意を払いつつ、それを巧みに継いでいくという協調が良いですねぇ~♪

B-3 Vista
 J.J.ジョンソンが書いた、このアルバムで唯一のスロー曲で、ここではバンド全体のスマートな取組みが素晴らしい出来です。おそらく元ネタはスタンダード曲の「Yesterdays」だと思われますが、テーマよりもアドリブの方が素敵なメロディになってしまったというオチがついています♪

ということで、これは本当に楽しいアルバムです。バトル物といっても相手を打ち負かしてやろうという意識は薄く、むしろ協調しながら対決の場を盛り上げていこうという、クリーンファイトのプロレス名勝負ような趣があります。

ただし残念ながら録音のバランスがイマイチで、ディック・カッツの素敵なピアノを堪能出来ないのが悔しいところ……。

またJ&Kとしての録音は沢山残されていますが、初期のコロンビア・セッションが手軽に聴けない現状も残念ですねぇ……。

コメント
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