松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

「沈みゆく大国 アメリカ」

2015-01-27 09:58:59 | 日記・エッセイ・コラム

 この前、再生医療とガン患者の末路に関して西洋医学の問題点を突っついてみた。神の領域を荒らすのか、とかね。しかし実際のところ、日本が置かれている医療制度は世界的に見て依然として素晴らしい。負担額が3割に増えても、介護保険料を払わされても、依然として世界に賞賛される保険制度に変わりない。そのことが「沈みゆく大国アメリカ」という本の紹介で、良く分かった。

 端的な話、カード型の健康保険証を持って行くだけで、日本中どこでも好きな病院で、平等に、現代の進んだ治療が受けられる。これが普通ではないのだ。これをまねようとしている国が40か国あると言っていた。意外なことに最先端のアメリカは、国民にとっても、医者にとっても、最悪の環境にあることが分かった。アメリカは健康保険も主体は民間企業で、医療保障も商品となっている。つまり様々な保険証が乱立し、掛金も保障額もばらばらで当然利益がピンハネされる。還付率の悪い保険はかえって病院の赤字になる。これにメスを入れようとした「オバマケア」は、さらに混乱を増幅した。負担金は強制で高額であり、罰金制度があり、医者は医者で各種の保険会社に対応した書類を完璧に作成する必要があり、文書作成の合間に患者を診ているような状態なんだそうだ。しかも病院には6割程度しか戻ってこないし、訴訟でも起こされたら莫大な金額を要求されるので、そのまた保険に収入の大半を掛けているような状態だという。訴訟大国アメリカの実態を見た。だから「オバマケアお断り」の病院が増えている。

 そうやって人口の1%の富裕層が、残りの90%を支配している。最新の医療を受けられるのは富裕層に限られる。保険が利かないとガン患者には負担が大きすぎ、そのかわり終末医療が用意される。それは1枚の処方箋だ。それには安楽死のための薬品が書かれている。薬局ではご丁寧に、「胃を悪くするので、事前にアルコールか軽いスナックを食べてからにして下さい」と助言するそうな。アルコールは薬が良く効くからだ。

 そうやって市場は日本を淡々と狙っている。すでに生命保険は外資の荒らし放題の状況だ。日本人は保険の大好きな国民なんだそうだ。この魅力的な市場を放っておくはずがない。規制緩和やTPPとか言ってじわじわ攻めてくるのは目に見えている。日本人は自分たちの医療制度がいかに整っているかを再認識する必要がある。もっとも病気に罹らないというのが、一番いいに決まっているけどね。

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