いつだったか、鵜ノ崎海岸の丸い岩に恐竜の化石がある話を聞いて、タイミングを計っていた。
外出時間にちょうどいい干潮の日で、しかも天気が良くて波が無いという日は、なかなか来ない。
きょうは8時59分が干潮だった。もう間に合わないが、一人なら行ける。脱兎のごとく飛び出した。まだかなり潮は引いているだろう。
双眼鏡を忘れた。まず岸から覗いて見当をつけようと思っていたのに。
なるべく遠くまでまず進んだ。行ってすぐ、これは見つからないなと思った。これ以上離れると、戻れないかも知れない。
ブーツを水浸しにして戻る。収穫なしか。帰る途中、さっきのおばちゃんが居た。
何を採っているんだろう。声をかける。アオサだった。「おつゆさ放したら、香りがいんだよな」と言ったら、持っていくかとおっしゃる。なんか入れる袋ないか。ほいさ。「あどいい、あどいい。」良かった。ありがとう。
しかしあとで考えた。もらいっ放しは悪い。なんか物々交換するものがないか。あいにく価値のありそうなものは、何一つ積んでない。
わらしべ長者ではないが、とっさに出せるものを持って歩いたほうがいいな。なにといって手頃なものがあるわけじゃないが、なにか考えておこう。