小室等作曲、上条恒彦の歌う「だれかが風の中で」
懐かしい音楽を聴きながら第一回を見た。
あれが新鮮だったのは、中村敦夫扮する紋次郎の
殺陣さばきだった。紋切型のスパスパ相手を切っていく
のではない。大勢に囲まれると、転んだり逃げたりしながら
やっとのことで切り抜ける。これが実戦に近いのだろうなあ
と思った。市川崑監督のこだわりはまだある。
みぞおち食らって気絶する場面では、顔アップのまま長いスローで
いたろうか、というほどに。
「紋次郎さん、そのくわえている楊枝は何のおまじない
なんですか」「これですかい。」「なんかわけでもあるの」
「これはただのくせってもんでさあ」
渋い男と、いい女。なかなかの取り合わせで
ござんした。