黒鉄重工

プラモ製作、旅行記執筆をやっています
同人誌通販始めましたhttps://603kurogane.booth.pm/

北米project ~Advance to U.S. その12 【2014/12/19~24】

2015-06-18 23:03:59 | 海外旅行記

バスを降りて訪れたのはカナダ航空博物館Canadian Museum of Flight。バンクーバーの郊外ラングレーLangleyにあるラングレー空港Langley Regional Airportに併設されている航空機の博物館です。敷地は小さいですが、保存展示されている航空機の数と機種はなかなかのもの。
道路沿いにはダグラスDC-3 Douglas DC-3が展示されています。戦前の航空界に大きな変革をもたらした、航空史にその名を残すほどの傑作機です。元来は民間用の旅客機ですが、軍用にも転用されC-47輸送機としても活躍しました。日本にもライセンス生産されたDC-3と軍用の零式輸送機が存在します。

博物館に展示されているこのDC-3(CF-PWH)は、1940年2月24日にアメリカン航空用として落成し、その後アメリカ空軍、アラスカ航空、クイーン・シャーロット航空、パシフィック・ウェスタン航空、トランス・プロビンシャル航空などで使用された。クイーン・シャーロット航空とパシフィック・ウェスタン航空にとっては初めてのDC-3だった。
1972年には部品取りになり、最後にはテラス空港で放置された。1987年にクローバーテールの交通博物館に移されたが、同館の閉館後に当地に再度移された。現在では、カナダ国内で現存する最も古いDC-3となっている。

という感じです。無塗装のボディがカッコいいですね。窓回りにラインが描かれていますが、どこのキャリアの塗装なのかは分からなかったです。
意外にも日本でのDC-3の保存機はほぼ無いです。鹿児島県の鹿屋基地に海上自衛隊のC-47ベースのR4D-6Q「まなづる」があるだけで、純粋なDC-3は無いです。



入館料を支払って館内に入り、まずは屋外展示場へ。
飛行機の首が置かれていました。機種は分からないです。



ロッキード CF-104D Mk.2「スターファイター」 Lockheed CF-104D Mk.2 "Starfighter"
F-104戦闘機のカナダ版で、カナダ空軍には単座型のCF-104が200機と複座型のCF-104Dが38機製造された。
単座型はカナディアのライセンス生産で、カナダ空軍への納入が終わった後には、他国向けにも140機製造している。
後年には、低空・高速飛行時の安定性を向上させる処置がされたが、1986年までに全機退役し、一部はトルコ空軍へ売却された。
博物館の機体はロッキード製の複座型で、アルバータ州コールドレイク基地に配備されていた。

航空自衛隊にも配備されていたおなじみの戦闘機、F-104ですね。細長い機体が人気のようですが、自分は逆にそれが違和感で、未だに慣れていないです。
塗装は、末期に施されていた灰色と緑の迷彩ですね。



うしろ。



ハンドレページ「ハンプデン」 Handley Page "Hampden"
1936年に初飛行したハンドレページの応力外皮およびブリストルペガサスのレシプロ空冷エンジンXVIIIを採用した中翼単葉機。当時最も先進的だった主翼を持ち、最高速度は265mph、着陸時のスピードは73mphである。
1938年にイギリス空軍に配備され始めた。総計1432機が製造され、うち160機はカナダで製造された。
このP5436も1942年製カナダ生まれのハンプデンであったが、1942年11月15日にパーティシア湾近くに墜落した。これはハンプデンのよく知られた欠陥である方向安定性の悪さに起因するもので、低速・低高度時の旋回時に起こったものだった。
機体はほぼ無傷であったものの、海中に没していたことから腐食が進んでおり、サルベージやそこからの修復作業は困難を極めたという。

元々はイギリスの爆撃機ですね。兵士たちからは空飛ぶフライパンって呼ばれていたとか。リカールかな?



爆撃機で爆弾を1800kg搭載することが出来るようですが、展示されているのは魚雷ですねえ・・・。
カナダでは雷撃機としても使われたのかな?



後ろには機銃座。狭さが破壊的だって評判悪かったぞ?お前爆撃機か?って疑うくらい細いですね、本当に。
下側の機銃座に座るのは嫌だなあ。



エンジンなどがそこら中にゴロゴロしています。



アブロ CF-100 Mk.3B「カナック」 Avro CF-100 Mk.3B "Canuck"
1950年1月に初飛行したカナダ独自で設計・製造された全天候要撃機。Mk.3はCF-100初の量産型機であり、推力2720kgのオレンダ8エンジンと12.7mm機銃8門を備える。
生産は1953年から始まったが70機で打ち切られ、以降は改良型のMk.4に移行した。ほとんどのMk.3は訓練機に改造された。
博物館の機体18138号機は、オレンダ8エンジンを装備したMk.3Bで、後年に複座練習機のMk.3Dに改造され、第440航空隊、第445航空隊などに配属された。
1963年に退役し、ブリティッシュコロンビア工科大学で機体整備の練習用に活用された後、1987年に当地へ寄贈された。

「カナック」というのはカナダ人のこと。聞いたこと無いなあ。
ソ連の爆撃機の警戒にあたっていたそうな。見た目的にはまだレシプロ双発機のエンジンをジェットエンジンに載せ替えただけみたいな形をしていますね。



シコルスキー S-55(UH-19) Sikorsky S-55(UH-19)
世界初のシングルローターヘリコプター。1949年から10年間で1281機が製造された。
機器配置が独特で、レシプロエンジンは45度傾けて設置しドライブシャフトによってトランスミッションと繋げている。操縦席はドライブシャフトの両側、キャビンの上方とそこからわずかに前方に配置されている。これにより広い視界と積載容積を確保することが出来た。
胴体はアルミニウムとマグネシウムで出来ている。燃料はキャビンの真下に設置した2つのタンクに搭載する。
軍民問わず多くの国で採用され、カナダ軍にいても空軍ではカナダミッドラインを構成するUH-19として、海軍では空母護衛用にHO4S-3として配備された。

ひょうきんな形をしたヘリコプターです。コックピットの前にあるボンネットにエンジンが傾いて収まっています。ボンネットカバーが開くようになっているので整備も簡単。
ちなみに日本でも陸上自衛隊のH-19が所沢に保存されています。



ビーチクラフト モデル18「エクスペディター」 Beechcraft Model18 "Expeditor"
1937年1月15日に初飛行したビーチクラフトの双発軽民間輸送機のロングセラー。軍用版はC-45輸送機であり、5204機が第二次世界大戦中に製造された。
カナダ空軍でも採用され、1944~1967年まで活躍した。この機体は第401航空隊(モントリオール)、第403航空隊(カルガリー)などに配属され、1960年代に退役した。
退役後は森林消防隊のパラシュート降下要員の輸送機として使われ、1984年に当地で保存されることになった。



ビーチ18とも呼ばれるこの機体。だいたいDC-3と同時期の機体ですかね。一部の現存機は今も現役らしいです。



うしろ。



デ・ハビランド DH.100 Mk.3「バンパイア」 De Havilland DH.100 Mk.3 "Vampire"
1941年にイギリスで開発が始まり、1943年に初飛行したジェット戦闘機。イギリスで2番目のジェット機であり、イギリス空軍・カナダ空軍初のジェット戦闘機となった。
DH.100 F3は1946年11月に初飛行し、初期型と比べて増大した燃料積載量と補助タンクが装備された。その後は、兵装積載能力2000ポンドを持った主翼に改良されたFB Mk.5が1948年6月23日に初飛行した。DH.100は総計4400機が造られ、そのうち4分の1はライセンス生産である。
博物館の機体はカナダ空軍第421航空隊・第400航空隊に配備され、退役後アメリカでエグゼクティブジェットとして使われた後、カルガリー航空博物館を経てドン・キャンベルのコレクションとなった。最後には1983年に当地に寄贈された。

ずんぐりむっくり戦闘機。こんな戦闘機があるならガンダムに出てくるドップのフォルムもあながちめちゃくちゃってわけじゃなさそうみたいな。
浜松に保存されているT.55は複座練習機ですがこれは単座戦闘機。手元の資料にはMk.3と書かれていますが、つまりF.3ってことでいいんだよな?



カナディア CT-114「チューター」 Canadair CT-114 "Tutor"
1960年1月に初飛行したカナディアが開発したジェット練習機。サイドバイサイドの複座と単発のターボジェットエンジンを装備している。油圧式のランディングギア、首輪ステアリングおよび手動飛行装置という比較的単純な操縦システムを備える。操縦席は与圧されており、ゼロレベル脱出シートも装備されている。
カナディアでの呼称はCL-41で、カナダ空軍にCL-41Aを190機、マレーシア空軍にCL-41Gを20機製造した。カナダ空軍内での呼称がCT-114である。
1963年から配備され、CT-156ハーバードIIおよびCT-155ホークに置き換えられた2000年に第一線を退いたが、現在もカナダ空軍第431航空隊の曲芸飛行チーム「スノーバーズ」の使用機体として現役である。
博物館の機体は1970年代中頃にスノーバーズの所属機として運用されたもので、塗装は2004年12月10日に飛行訓練中の空中衝突事故で亡くなったスノーバーズ隊長マイルス・セルビーの搭乗機と同じ仕様になっている。



チューターとは家庭教師の意。戦闘機の形をした機体の中でサイドバイサイド配置の座席というのは結構珍しいんじゃないんですかね。なのでキャノピーがデブ。



うしろ。
カナダにも曲芸飛行チームがあるんですねえ。北米ではアメリカの曲芸飛行隊に負けず有名らしい。僕は知りませんでした。
殉職した隊長機の塗装とのことですが、それを示すのは機体番号くらいですかね。シリアル番号が114003の8番機。



ちなみに全景はこんな風です。なかなか窮屈に展示されています。CF-104Dやハンプデンなんかはなかなか構図が苦しかった。

続きます。次は屋内。


その13へ→