黒鉄重工

プラモ製作、旅行記執筆をやっています
同人誌通販始めましたhttps://603kurogane.booth.pm/

ナイトトレインで夜汽車の旅 後編【2017/01/21】

2018-04-27 20:32:35 | 鉄道撮影記

千頭駅に着いたナイトトレインの牽引機C10形8号機は折返しのために転車台へ移動します。そこで行われるのがお楽しみのSL撮影会です。
転車台に乗ったSLに照明を当てて十数分間展示します。その間、乗客はその周りで好きなようにSLを撮影できるのです。いわゆる撮り鉄向けのツアーの側面も持っているんですよ、これ。



SLに光が当たってるだけで他は真っ暗です。最近のデジタルカメラなら設定次第で手持ち撮影でも出来ないことはないでしょうが、やはり三脚が欲しいところです。
普段三脚を使わない私も今回は持参しました。
煙突からは煙が出ているので、長時間露出することで流れるような煙を撮影できて美しいのです。



撮影は前半、後半の2班に別れて行われます。全員を一度に入れたら激パですからね・・・。
時間は10分ちょっとくらいありますが、いろいろな角度やカメラ設定で撮ろうと思うと全然時間が短いので、手早く撮影していく必要があります。でも長時間露出もしたいので、そこは中々ジレンマが。



足回りの機械然とした部分が照らされて良い。



バカチョンがどう撮っても画になるのだ。
そうこうしている間に時間切れ。全然足りないぞ、と思いながら退場します。



制限区画の外からなら撮影してもいいので、プラットホームの端のひな壇(通常は昼間の転車台実演の見学に使うやつ)から撮影。誰も彼もカメラを構えているこういう撮影風景なのです。
これのツアー代は安くないのですが、そのせいか最近沿線によく出没するようになったヤバい人間は居ないのはいいですね。みんな節度ある行動が取れていた印象でした。



転車台横の側線には電気機関車と客車が留置されています。これ、外からSLを隠すための目隠しです。
転車台での撮影は駅の外からも丸見えになるので、多少条件が悪いとは言えツアー客でなくてもタダでその恩恵に預かることが出来ます。でもお金出してこのツアーを成立させている乗客からしたらいい気分ではないので、会社がそれを汲んでわざわざ目隠し用の客車を回送してきてくれているのです。



撮影会を終えたC10は方向転換を済ませて客車と再連結。ここでも撮影会が始まります。






出発直前。



客車を後追い。
ローカル線の夜汽車のバカ停感が出ていて素敵です。



出発が近づいてきたので車内で待機。節電のためか出発までは電灯が暗めです。



出発後は車内をうろうろしながら写真を撮ります。



復路ではお弁当と熱々の豚汁が提供されます。クソ寒い中での撮影だったので豚汁がありがたかったですな。



夜汽車の雰囲気を堪能しているうちに新金谷駅に到着。
中身の濃いツアーでした。また乗りたくなったら乗りに行きたいと思います。

おわり

ナイトトレインで夜汽車の旅 前編【2017/01/21】

2018-04-25 23:52:26 | 鉄道撮影記

2017年1月21日。
ZBSが大井川鐵道のナイトトレインの切符を当てたと言うので乗りに行きました。暗いし寒いし倍率も高いしなので、乗るのも見るのも初めてです。

昼間はだらだらして夕方から出かけました。その前に寄り道して、島田市中央小公園に保存されているD51形101号機を見分しました。近所の保存機ながら見るのは初めてでした。
101号機と言うとD51の中ではかなり若い番号で、1938年製なのです。現役時は東北・信越地方で走っていた機体なので島田市とはなんの縁も無いわけですが、1973年の引退後に教材名目で保存されるようになったのだと思います。

保存場所には屋根も付いていて、定期的な保守整備も受けているようで、一部の欠損部品は見受けられるものの、一見すると状態は良いと言えます。しかし、市民からは文化財あるいは教材ではなく完全に子供の遊具とみなされており、写真にも写っていますがボイラーの上に子供が跨っていてもはやSL形ジャングルジムの様相です。
ボールが蹴りつけられた痕の付いた炭水車は痛々しく、子供が機関車にとりつかないよう追加設置されたランボードの柵は何の役にも立たず空しいです。そういう意味で文化財としては最低な扱いをされている、と見ることもできます。

ちょっと複雑な気持ちになる保存車両でした。



新金谷駅に移動してZBSと合流、受付を済ませたらナイトトレインの列車を見に行きます。
SLナイトトレインは毎年1~2月に走る大井川鐵道の名物ツアー列車。通常昼間にしか走らないSL列車が夕方~夜間に走るのでかつての夜汽車の雰囲気が味わえるのが特徴です。毎年2回しか開催されないのもあって、結構人気であります。

今年の牽引機はC10形8号機。夜間走行用の副灯が追加装備されているのがナイトトレイン機の証です。



これに乗るのはたいていオタクなので、客車は茶色の車を3台使います。トーマス用客車を繋いだ日にはオタクから何されるか分からん。
3台連結していますが乗客は2台分だけなので、窮屈はしないのは嬉しい配慮だと思います。



冬の旧型客車と言えば蒸気暖房です。夏は冷房が無くて暑いけど、冬は相応に温かいのだ。



改札が始まったのでホームへ入場。既にナイトトレインが待機中でした。
そこに普通のSLの急行が滑り込んできて並びました。補機はE10形2号機でした。執筆時ではもう事実上引退したみたいな話も聞きますね。



ぞろぞろと乗車していく人たち。どうでもいいですが、中井精也が同乗していましたね。本人は初めて見ましたわい。
副灯が眩しいです。暗闇でも照らせるようにシールドビーム灯になっているのです。



ツヤツヤに磨かれているより、使い込まれていてそれでいて見窄らしくない程よい艶がやはり好きです。



区名札はブルートレインと夜汽車の絵です。おなじみだそう。



16:30出発です。道中は夜汽車の旅を満喫。といっても意外とまだ明るいんですけども。
ちなみに真ん中に写ってる太っちょの人が中井精也だったはず。



たぶん駿河徳山で7200系とすれ違い。17:20頃ですが止まってる絵なら全然撮れるんだなって。
第一橋梁の沿線からでもナイトトレインの撮影はできそうな感じでした。



17:40千頭駅に到着。ここから18時にかけて一気に暗くなります。
ここからナイトトレインのお楽しみです。


後編へ→

北米project 4 ~Is the order a warbird? その40【2016/03/04~10】

2018-04-07 21:58:38 | 海外旅行記

外国機の格納庫をやっつけて再び外へ。先に見た屋外展示場とは別の場所に屋外展示されている機体がちらほらいました。ただし、機体の状態は割と良いです。
アエロL-29(1959年・163機目)
見たことない機体ですが、チェコスロバキア製のジェット練習機です。東版T-33と言う感じで、ワルシャワ条約機構軍の標準型練習機として東側諸国で多く使われていたそうな。垢抜けた形状をしていて、なかなか好みの機体です。



ノースアメリカンQF-100Dスーパーセイバー(3時間ぶり2機目・通算164機目)
さっきも見たセンチュリーシリーズ軍団の先発。D型は爆撃能力が付与された戦闘爆撃機です。
迷彩塗装の割に機首と尾翼が蛍光オレンジで塗られていて派手なんですが、これの型式にQが付いていることから無人標的機に改造された機体といったところでしょう。



ノースアメリカンQF-86Hセイバー(3時間ぶり2機目・通算165機目)
これも無人標的機に改造された機体ですね。
H型は初めて見た型式で、低高度爆撃装置を搭載した戦闘爆撃機型です。戦術核爆弾も搭載可能で、本当に核爆撃大好き空軍なんだなと。他にも、胴体形状、エンジン、機銃に至るまで大幅な設計変更が加えられています。
胴体は太くなっているので在来型と形状が異なるのですが、パット見では見分けがつかないです・・・。機銃がF型までの12.7mm*6門から20mm*4門に変更されたのがわかりやすい違いです。機首の機銃の数が違うでしょ?



セイバー2代が揃い踏み。こういう並びに弱いのだ。



ミコヤン・グレビッチMiG-15(1947年・166機目)
朝鮮戦争で活躍したソ連のジェット戦闘機です。
朝鮮戦争の開戦から半年経った頃に投入され、F-51(=P-51)やB-29を撃墜します。それに泡を食ったアメリカ空軍が慌てて投入したのが最新鋭のF-86となるのです。対F-86では若干劣勢とされていますが、実は運動性ではMiG-15の方が上なのだという調査結果も出てます。



ミコヤン・グレビッチMiG-17(1950年・167機目)
MiG-15の改良型。アフターバーナーが使えるエンジンを積んでますが、超音速飛行は出来ませぬ。
MiG-15と比べて胴体が延長されてたり主翼の後退角がキツくなってたり違いはあるんですけれども、上下から見た時でないと分かりにくいものであり、前後左右から見た時に両者を見分けるのはかなり難しいです。これはMiG-15だと説明してもほとんどの人はころっと騙されるでしょう。
見分ける方法は、主翼上面に付けられている境界層板の枚数です。主翼の前縁と後縁に渡って板状の部品が主翼から飛び出るように取り付けられているのが境界層板です。これが片翼に3枚あるのがMiG-17、2枚なのがMiG-15なのです。これも見る角度によっては見えなくなるので絶対的ではないですが、それでも数の違い等明確な識別点であるので胴体長さや主翼の角度よりも分かりやすいと思います。



ミコヤン・グレビッチMiG-15UTI(1分ぶり2機目・168機目)
またもやMiG-15ですが、これは複座練習型のUTI型です。ただでさえ小型の単座戦闘機を複座型にしたので無理矢理感が感じられます。後席はめっちゃ窮屈そうです。
アメリカは西側の中ではソ連機の展示が多い国でありますが、展示しているMiG-15の半分はこのUTI型な感触です。MiG-15UTI以来、MiG-21までの間に複座練習機は造られなかったので、これが長期間練習機として現役だったそうな。
なので後年まで機体が現存して、他の型式よりも入手しやすかったというのも理由のひとつでしょうね。

機首にはレッドブルの牛が描かれています。当然、当時の塗装ではないわけですが、レッドブルが機体の整備保守に資金提供しているといったところでしょうか?レッドブルは他にも真っ赤なMiG-15を持っていて、こちらは飛行も可能な代物です。レッドブルってやけに飛行機が好きですよね。



ミグとセイバーの並び。共に朝鮮戦争とベトナム戦争で相まみえた同士です。こういう並び良いよな~。



F-86とMiG-17。



うーんたまらん(語彙力



一番奥にある格納庫、P-38格納庫へ入ります。
アメリカ人に人気の機体というとP-51、B-17、そしてP-38が三強じゃないでしょうか。
特にP-38とB-17は頭一つ上の扱いを受けているように見えます。専用の格納庫や展示棟を誂えられている例が複数あるのは私が見てきた中では(サンプル数が少ないですが)この2つだけです。
B-17はドイツへの反攻作戦において戦略爆撃でドイツを火の海にした爆撃機として有名ですが、P-38はいうほど持ち上げられる場面あったかなぁ?というところで。
アメリカ軍パイロットの撃墜王1位と2位の搭乗機はP-38ですけども、太平洋の辺境での戦いですし、相手も極東の田舎侍だし、根拠としては微妙な気が。ここらへん聞いてみればよかったなと。
ちなみに海軍の機体はどれもあまり人気なさそうという感じです。陸軍と海軍、どうして差が付いたのか・・・慢心、環境の違い・・・。



ロッキードP-38Jライトニング(4時間半ぶり2機目・通算169機目)
アメリカ陸軍の双発戦闘機です。エンジンが2発になれば強さも2倍になるのでは?という考えから当時各国で流行していた双発戦闘機です。ところが、重くなった分運動性が下がるという点は見過ごされていて、どこも戦闘機としては失敗してしまい他の用途に使われていく中で、唯一P-38だけがそれに成功したと言えます。
成功の要因はズバリ排気タービン(ターボチャージャー)の搭載によるところが大きいです。排気タービンを外されてイギリスに輸出された機体たちは鳴かず飛ばずだったと言われています。過給器によって増強されたエンジンパワーに物を言わせるマッチョな戦闘機なんですよ。

とはいえ、エンジンと排気タービンを2個ずつ使うのはいささか値段がお高い存在であり、後にP-38に匹敵する性能でしかも値段の安いP-47やP-51が投入されると高級戦闘機のP-38は追いやられていきます。レーダーを搭載して夜間戦闘機に使うには拡張性もなかったのでせいぜいカメラ偵察機に転用されるくらいでした。維持にもお金がかかるので終戦後にあっさり退役します。
この個体も本土で訓練機として使われただけで、終戦後ソッコーで退役されたやつです。1988年に飛行可能状態まで復元されたとのこと。



P-38の主脚配置って前輪式なんだね、と改めて気付く。主脚より後ろがかなり長く思えますが、これで尻餅つかないんだ。
エンジンポッドから後ろに延びる2本の胴体が外観上の一番の特徴なんですが、双胴にした理由はあまりよく分からん。性能向上に寄与しているとも思えず。
ただ、この形状が後に1950~60年代のアメ車によく見られるテールフィンに繋がったと思うと、意義はあったのかなと(笑)
双胴を支持する役目もある水平尾翼ですが、面積が広いねぇ。



胴の途中で飛び出いている突起はエンジンクーラーです。
垂直尾翼はとくに捻りも無さそうな形状ですかね。



エンジン周り。
エンジンは低高度でしか使い物にならないことでおなじみアリソンV-1710。排気タービンは上側に付いていて、ここからだと見えませぬ。
プロペラ軸の下についているラジエーターは、このJ型から大型化してP-40のアゴラジエーターみたいな形になっています。



武装は12.7mm*4門、20mm*1門を機首に集中配置。殺す気満々ですね、こりゃ。



表に出るとなんか変なのがいました。ベルX-2(1952年・170機目)って書いてありますね。これはレプリカなのですけれども。
アメリカの実験機軍団Xプレーンズの2番目の機体です。最初のXプレーンズであるX-1は世界で初めて音速を超えた機体として有名です。X-1もベル社が製作しまして、X-2もそれと似たような形状をしています。
X-2は後退翼の実験機で、X-1の主翼を後退翼にしたような感じの機体で、エンジンもロケットエンジンです。
2機製作されましたが両方共実験中に墜落してテストパイロットも死亡する事態になっています。うーんこの・・・。
ところでこの風防ってめっちゃ前見にくくないでしょうか?

といったところで今日はここまで。次回から最後の格納庫を攻めます。


その41へ→

北米project 4 ~Is the order a warbird? その39【2016/03/04~10】

2018-04-06 23:36:34 | 海外旅行記

お待ちかねの日本機、愛知D4Y彗星(1940年・156機目)
日本海軍の艦上爆撃機です。ダイムラーベンツDB601液冷エンジンをライセンス生産したアツタ/ハ40エンジンを搭載した日本軍機では珍しい液冷エンジン機です。でもここにあるのは空冷エンジン・・・。
これ、いい加減な復元をしたわけではなく、空冷エンジン搭載型がちゃんといたのです。というのも日本のお粗末な工業力ではドイツの至宝DB601をコピーすることは出来んかったのです。不具合出るわ量産も出来んわで実用できる代物ではなかったのですね。
そこで、空冷の金星エンジンに換装することで打開しようとしました。なので液冷エンジン機特有の細身の胴体に太い空冷エンジンが組み合わさってなんとも不格好になりました。エンジンを空冷→液冷化した航空機はよく見ますが、その逆は世界広しと言えど日本くらいじゃないでしょうか。しかも前者は性能向上が目的で、後者は性能不足によるその場しのぎですから、なんだか情けない気持ちに。



まともな彗星は世界で2機しか残っていないので実は貴重な機体なわけです。それを残してくれていることには素直に敬意を表します、本当ですよ。でもここの彗星は自分から見てもいい加減な復元がされていて、資料性は無いと見ていいと思います。靖国神社の機体のほうがマシかと。
まず型式ですが博物館によれば「D4Y3彗星四三型」とのこと。町内の彗星博士なら分かると思いますが、D4Y3は三三型でして、四三型はD4Y4です。名前からしてテキトーなのです。
三三型/四三型共に金星エンジンを搭載した空冷機なのは共通しています。なおこれのエンジンはR-1830エンジンに換装されています。まあこれは仕方ない部分もありましょう。
また、着艦フック等艦上運用に必要な装備を撤去しているので、陸上基地で運用する仕様になっている点も同じです。
どっち付かずな機体なんですがどっちかと言うと四三型に近いと思われ。理由としては胴体爆弾倉に搭載されている爆弾ですね。
爆弾倉からはみ出るくらい大型なんですが、これは800kg爆弾です。となると、800kg爆弾を積めるように改造した特攻仕様の四三型なのだ、となるのです。エンジンカウルの燕や尾翼の数字も特攻隊の再現のようですし。ただし四三型のもうひとつの特徴のロケットエンジンは付いておりませぬ。

しかしですねこの機体、四三型のくせに着艦フックが付いているんです・・・。もう深く考えるだけムダな気がしてきます。



色々書きましたが雰囲気を楽しむ分には十分ですし、これを今まで残してきたことについてはやはりありがたいのです。
この角度からだと本来無いはずの着艦フックが見えるかと。
エンジン下にはパンが敷かれていて、エンジンは回せる状態なのでしょう。ただし飛行はできないと思います。



三菱J2M3雷電二一型(1942年・157機目)
日本海軍の迎撃用戦闘機です。局地戦闘機、乙戦とも呼ばれますが極東のド田舎でしか通用しない名前です。ちなみに黒鉄重工では日本海軍のデブとして親しまれています。
海軍の戦闘機なんですが、端から空母運用は考えられておりませぬ。日本海軍の場合、やけに陸にも根を張っているんでそれの防衛のための機体なんでしょうね。
爆撃機用の直径の大きいエンジンを搭載したため機首が太く、胴体もそれに合わせて大型化した日本機っぽくない形状なのです。



武装は主翼の20mm機関砲*4門。爆撃機相手なので重武装なのだ。なおお馴染みの過給器の貧弱さで高高度性能がダメなので高空を飛ぶアメリカ爆撃機に弾が届いたかと言うとどうだったんでしょう?



下から。機関砲が左右で前後位置がズレて配置されているのは給弾ベルト(ベルト式なのかは知らないけど)がそれぞれ被らないようにするためですね。
そういうわけで内側の機関砲は主翼から飛び出ているのです。ただ、砲身が剥き出しなのはあまり感心しないですかね。スピットファイアみたいに覆いを付けるとかすれば良かったのに。抗力低減のために層流翼を取り入れたと言う割には、あっふーんという気がしないでもなく。



風防も日本機にしては珍しいファストバック型です。後ろなんて見なくていいからね。

なお雷電の現存機はここの1機だけとめちゃ貴重なのです。ありがたいなぁ。
でも当時は格納庫の端っこに置かれていてそれはもう見にくいものでした。たまに位置の入れ替えがあるようですので、たまたま見やすい位置にいる時に行けることを祈るだけです。



三菱J8M秋水(1945年・158機目)
プレーンズ・オブ・フェームの黄色いニクい奴。なんかドイツのMe163に似てるなと思った人は鋭いです。ドイツからの技術供与で造られたMe163コメートの劣化コピー機なのです。
これで憎い憎いB-29を迎撃するつもりでいましたが、ドイツでもまともに運用できなかったMe163を(ロケット燃料が2分しか持たない、ゆえに行動可能範囲が狭い、ロケット噴射後は滑空するだけなので敵にとっていい鴨、敵がMe163の運用基地から離れた飛行経路を飛ぶだけで航続距離が短いMe163は無効化された、等々...)1945年の日本で運用できるはずもなく、試作だけで終わりました。
なお量産の暁には爆撃機編隊の中に飛び込んで爆発四散する、特攻兵器として使うつもりでした。本当胸クソが悪くなる・・・。

Me163とはほぼ同じ形状をしていますが、機首に小さなプロペラが付いていないのが秋水の特徴です。Me163のプロペラは電源確保用の発電機を回すためのもので、アレを回して飛ぶってわけじゃないです。一方秋水では電池か何かを積んで飛んでいました。
他にも細かな違いがあるそうですが、別に探すほどでもないので気になる人は各自研究してみてくださいまし。

ここの個体は例によって戦後アメリカが珍しがって接収した3機のうちの1機です。他に現存機はないのでやはり貴重っちゃ貴重。



ドイツの断末魔3号ことフィーゼラーV-1飛行爆弾(4時間半ぶり2機目・通算159機目)
巡航ミサイルの奔りといえる空飛ぶ爆弾。アメリカがやたら接収したんで主要な博物館ではよく見かける兵器です。詳しいことはこっちで書いてるんで、はい。



日本が使った酸素魚雷のレプリカ。映画トラ・トラ・トラで使われた小道具だそうな。
燃料の燃焼に純酸素を使うことで空気と比べて容積に対して効率よく燃焼できるようになった長射程が自慢の魚雷です。



ドイツの断末魔4号ことバッヘムBa349ナッター(1945年・160機目)
機首がなにやら面白そうな飛行機。レプリカですが、初めて見る機体です。使い捨て有人対空ミサイルとでもいうべき兵器で、まあ、まともなもんじゃないです。
運用思想は既に見たMe163と同じで、ロケットエンジンで急上昇して連合軍の戦略爆撃機編隊に接近します。そしたら機首先端のカバーを分離(!)、内側に詰まったロケット弾を発射して爆撃機を撃墜するというもの。あの機首のツブツブはロケット弾なのですよ。ビックリドッキリメカかな・・・。
ただし、攻撃後滑空して基地への帰還を考えていたMe163と異なって、Ba349は攻撃後にパイロットは機体を乗り捨てて(!)パラシュート脱出するという豪快な運用です。機体は放棄され、エンジン燃焼も終了しているのでただ墜ちるだけ。使い捨てですね。
ムチャな機体なんですが制式化されて実戦配備されます。ですが実戦投入される前に降伏したので、実戦経験しないまま終戦を迎えたとさ。

一度発進したら二度と着陸することはないので降着装置が付いてないとか、異様にアスペクト比の小さな主翼とか、本当に脱出できんのかな?というコックピットとか、いろいろ切り詰めてんなぁという機体に見えます。本当、追い詰められると何を考え出すか分かりません。



ブリストルF.2B(1916年・161機目)
これも映画撮影用のレプリカ。よく知らない機体なのですが、中々好評な機体だったそうな。



フィーゼラーFi156Cシュトルヒ(1936年・162機目)
ドイツの偵察/連絡機です。数十mの滑走距離があれば離着陸できてしまうスグレモノ。なので場所を問わない運用ができたのです。機体が軽い割にエンジンが強力だったんですね。
飛行はできませんが一応本物由来の機体だそうです。エンジンがなかったのが残念。

これにて外国機の格納庫を攻略。中々珍しいのがいるんだなという印象です。雷電や彗星は日本機ファンなら見ておいて良いかと。
POFもそろそろ終盤戦ですね。というところで今日はここまで。


その40へ→

【HOn】ポーター0-4-0ST 製作 後編【トーマモデルワークス】

2018-04-03 21:31:38 | 鉄道模型製作記
←前編


車体部分を完成させたら今度は未知の世界、動力部の組み立てを進めます。何せ電気工作の知識と経験無しで今まで生きてきたので色々とアレなのです。友人に知恵を借りながら進めていきます。
まず動輪の左右の向きを知るところから始まります。
車輪は片側が通電側、もう片側が絶縁側になっています。これの向きを2軸とも揃えないと電流を流しても走ってくれないので、大事です。
車輪の絶縁の仕方は数種類あるようですが、このキットの場合はホイールとタイヤの間に絶縁材が挟まっています。厚さコンマ数mmの黒いものです。
写真で動輪が左右2つ並んでいますが奥側の車輪に注目です。右側の車輪が絶縁側になっていますが、絶縁材が挟まっているのが分かるかと。
とはいえよく見ないと分からないものなので、絶縁側の車輪に印を付けておくと分かりやすくておすすめです。



確実を期すならテスターを買うのが良いです。実際に電流を流して通電するのか確かめるのです。通電時には針が振れたりブザー音が鳴ったりするのです。写真がちょうど通電しているときのもの。
動輪の向きの確認の他にも動力組み立て後の通電確認で何回も使ったので持っているととても便利です。
私はマザーツールのMT-4Bを、これが置いてありそうな電気屋ということで市内のマルツで買いました。PCショップでなくてもアマゾンやヨドバシでも買えますが測定器なんて初めて買うんでちゃんと店頭で品定めしておきたいところです。マルツ、こういう時便利なのだ。



組立図に従って動力を組み立てました。組み立てただけで実際に走るかはこれからなんですが。
モーターと台枠を繋ぐ銅線(?)の接着には半田を使いますので、半田ごてと半田も購入。半田ごて使うなんて中学の技術の授業以来じゃないのかしら・・・。
銅線の張り方が美しくないなぁ、と。



テスターや9V電池を使って通電とモーターの回転具合を確認。一度目でうまく行くわけ無く、何度も調整と試験を繰り返すことになります。出来上がる気配を見せないので中々根気がいりました。これは大変だ。
たまに短絡を起こして電池が過熱するなど危ない事態も起こりました。ボヤとか起こすと本当危険なので作業時は注意しましょうね。

ちっとも上手くいかないのでウンウン唸っていましたが、着色済みの台枠が塗膜で絶縁されてるんじゃねぇの?という疑問に行き着いたので接点の塗膜を剥がしてやると回り始めました。たぶんこれが要因なのかなぁという感じで本当のところはよく分からずじまいです。
あとは歯車の噛み合い具合とか半田の接合具合とか細かい調整をしてどうにか走れるように仕上がりました。やはりここを突破するのが一番大変でした。



動輪を繋ぐロッドも組み立てます。まあどうにか出来ました。



動輪を装着して線路に乗せて試走させます。案の定うまくいかないので、分解と調整と組み立てを繰り返すことに。
グリスを要らんところにも塗ってしまったのか、絶縁側が通電してしまいしょーもない事態に。拭き取って事なきを得る。
最終的にガタガタ言いながらも安定し始めたので、あとは試走を繰り返して馴染ませようということに。



小判型のエンドレス線路、通称「樺平線」を敷いて試運転します。一定時間走らせると動力の噛合が馴染んできて振動や首振りが解消されると聞きましたので、十数分くらい連続して走らせてみます。
完全には解消しませんでしたが、確かに最初よりは改善された気がします。
余談ですが、線路はトミックスからカトーに鞍替えしました。線路自体はトミックスのほうが好きなんですが、線路の抜き差しが多いお座敷レイアウトだと接続部の耐久性が高いカトーの方に軍配が上がるのです。



北米型には社名や機体番号が大きく表記されているのが通例ですから、これもそれに倣います。
白文字なので通常のおうちデカール印刷だと再現できず。なのでデータを作ってIORI工房に印刷を依頼しました。



貼っつけました。水槽に社名、キャブ側面に番号を入れました。
よさみが深いというほかなく、とても雰囲気が良くなったと思います。これはもうどう見てもロギング・レイルウェイです。

ちなみに社名は"Gorge Logging & Rwy Co., Ltd."という架空鉄道。一応グーグル検索掛けて同名の鉄道が無いのは確認済み。
Gorge(ゴージ;Georgeジョージではない)というのは峡谷、山峡という意味を持つ地名です。カナダでホームステイしていた時に通学で使っていた路線バスが通る道路の名前から取っています。
今後この架空鉄道を展開していく・・・かも。



デカール保護のトップコート(ツヤ消し)を掛けて完成です!
運材車と連結させるととても実感的です。最高ですね。



ロードナンバーは初めて完成させた機関車という意味を込めて1号機にしました。
ボイラー側面の製造所銘板も含めて着色済みのエッチング部品で、やはり組み立てが楽ちん。
いやしかしなんだ、雰囲気がだだ漏れしていてほんとう好き。



内張りの緑も効いてると思います。
機関士の人形を乗せるとさらに良くなるでしょうね。

というわけでHOナロー ポーター0-4-0STでした。
初めての機関車キットの製作でしたが、どうにかこうにか形にできました。助言をくれたいぶき君には感謝です。
動力の組み立てはしんどかったですが、ここ数年では最高の達成感を得られたキットで、なんだかんだ面白かったです。
手応えは得られたのでまた違う機関車も作ってみたいなぁ、とは思っています。まあポーターは簡単なキットとのことなので、安易に手を出すとやけどしそうです。キット選定は慎重に・・・ということで。

【HOn】ポーター0-4-0ST 製作 前編【トーマモデルワークス】

2018-04-02 22:02:16 | 鉄道模型製作記

アメリカ型であるところのポーター社製蒸気機関車のキットがトーマモデルワークスから発売されると知って作ってみることにしました。スケールはHOナロー、つまり縮尺はHOスケールですが走らせる線路はNスケールのものを使う模型です。少々特殊な形態ですが、折しもトミーテックのHOナローシリーズの猫屋線を買っていたので自分の中で展開が容易だと思いました。

鉄道模型は過去にもグリーンマックス製のエコノミーキットなどを作った経験がありますが、今回のキットは動力機構も自分で組み立てる必要があります。動力は組み立て済みのエコノミーキットよりも難易度は数段上です。
とはいえ動力製作が比較的楽だ、というのがこのキットの売りだったので挑戦してみることにしました。これの少し前に発売されたNスケールのCタンク蒸気機関車が巷で(組み立てに悪戦苦闘しながらも)好評だったので、いけそうだとも思いました。



この手の機関車キットは車体部分も含めて金属素材で構成された金属キットであることが多く、最近では敬遠されがちです。加工するのに特殊なので私も敬遠しています。
これではそういう声に答えて車体部分はプラスチックの射出成形品で構成されています。プラスチック製部品は、今回手を付けてみようと思ったきっかけのひとつであり、少なくとも私には有効な方向性だったでしょう。

ランナーは2枚構成です。2枚合わせてもガンプラの標準的なランナーよりも小さい大きさで、部品点数も少ないです。また部品の形状にも特筆すべき点はないです。これは組み立ては楽ちんだなという感触です。



説明書。一部分かりにくいところもありましたが機関車キット初心者の自分でも作れたんでまあ大丈夫でしょう。
「組み立てに必要な工具」にその他必要なものとあって、そこが知りたいねん!という気はしましたが。



動力周りは金属です。エッチング加工(?)された金属板を切り出して組み立てます。私はニッパーで切り取ってヤスリでゲート跡を処理しましたが、たぶん強引な方法でしょうからもっと穏便なやり方があるはずです。
金属は着色されているので塗装要らず。プライマー吹いてその上に黒塗装という工程がこれで消えたので素直に有り難い。



説明書通りに組み立てます。金属板を折り曲げる向きには気をつけるんじゃ。



連結器を付けます。キットで指定されているマイクロトレインズのマイクロトレインカプラー1015を使います。
10個セットのお徳用ですが自分で組み立てる必要あり。組立図は英語のみですが図をよく読めば日本語しか読めないマンでもできないことはないでしょう。



これを前後に付けるので2個作ります。



キットは明確なプロトタイプがないいわゆる自由形です。メーカーの想定では恐らく日本の森林鉄道で使われた機体なんでしょうが、私はカナダの森林鉄道機をイメージして作り上げる方向で行きます。
想定としては写真のカナダのポートアルバーニにあるアルバーニパシフィック鉄道で動態保存されているボールドウィン製2-8-2STの7号機です。これも森林鉄道出身の機体ですので、こういうこざっぱりとした外観に仕上げていきます。
こういう機体が出来そうだな、という見込みで買いましたからね(Cタンクは日本型っぽいのでパスしました)



動輪です。動輪直径は小さくて、Nスケールの車輪じゃないかっていう大きさです。車軸と車輪は組立済みの状態で封入されています。蒸気機関車キットの場合、「動輪の位相」を合わせる作業がとても手間なんだそうです。それもすでにやってくれているので、主連棒の合わせが楽でした。



実機の写真では動輪のタイヤ部分が白く塗られていますので、それに合わせてキットのタイヤも白く塗ります。ホイール部も金属地むき出しではなく黒く塗ります。
両方共エナメル塗料の筆塗りです。プライマー無しでも色が乗っかってくれましたが、かじるとすぐに剥がれるのであまり触るのは良くないですね。



実機のキャブ内です。内張りは薄緑色で塗られていて、窓枠は赤く縁取られています。
キットのキャブは窓が大きく、また後部が大きく開いていて意外と中が見えますので、内側も塗装すると見栄えが良くなるでしょう。



内張りはMr.カラーのC26ダックエッググリーンで塗装。



外板はMr.カラーの黒、窓枠も赤で塗ります。
赤い窓枠というのが北米型らしさを強調するいいアクセントになりました。



他も色々塗って仮組みします。
ボイラー前部と煙突は銀と灰色を混ぜて塗りました。銀色だけだと輝きすぎなので灰色を混ぜることで丁度いい雰囲気になります。銀色ボイラーも北米型の特徴なので実感的になりますね。
他に前方ステップはウッドブラウン、鐘と汽笛は金色(エナメル)で塗装しました。
これでプラ部品の組み立てはほぼ完了でして、飛行機や船のような普通のプラモデルを問題なく組み立てられるのであれば苦労しないでしょう。



動力部も入れて仮組みします。中々素敵じゃないか。かなり良い。好き。
同スケールの猫屋線の客車とも並べてみます。ああ、こういうサイズ感なのだなと。



通常のHOスケールはほとんど所持しておらず、唯一持っているバックマンのジョンブル号と並べます。
ジョンブル号が極初期の蒸気機関車なので大きさはあんま変わらんな・・・という。

上回りが出来たところで今日はここまで。後編では肝心の動力部を組み立てます。


後編へ→