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北米project 5 ~How do you like Canada? その47【2016/6/15~22】

2024-04-10 06:30:30 | 海外旅行記
カナダ航空宇宙博物館の続きです。ちょっとだけ宇宙コーナーもあるので、見てみます。
これはカナダーム (Canadarm) という船外作業用マニピュレーターです。1981年登場。日本語だとカナダアームとも書かれており、表記揺れがあります。
1981年11月にアメリカのスペースシャトル「コロンビア」でこのカナダーム201号が打ち上げられました。1億5300kmもの距離を移動(地球約3,800周分)し、23回の任務をこなしました。最後の任務は2011年6月、スペースシャトル「エンデバー」の最終任務のときでした。


こんな感じ。こういう宇宙関連の実物展示はだいたいモックアップと相場が決まっていますが、これは実際に宇宙に行って実戦投入されていますから重みがちがいますな。
カナダームはスペースシャトルの貨物室に取り付けられて、貨物室にある貨物を掴んで船外へ放す、あるいはその逆の作業ができます。シャトル・リモート・マニピュレーター・システム (SRMS) と呼ばれています。


宇宙空間でのロボットアーム制御は想像するよりも難しいみたいですが、そこら辺の説明が少ないのでよく分からず。


スペースシャトルは退役してしまったのでカナダームも一緒に退役しましたが、今度は国際宇宙ステーションに取り付けられたカナダーム2というマニピュレーターが現役です。


こちら宇宙空間での船外活動ユニット (EMU) です。船外活動中の宇宙飛行士の保護と生命維持を目的とした、いわゆる宇宙服です。


胸部はごちゃごちゃしています。生命維持装置やら通信装置やらなんだと思います。
目盛りの文字が反転しているんですが、これは腕についている鏡を通して目盛りを確認するため。首を倒して覗き込みながら目盛りを見ることはできないんですって。


他にも宇宙関連の展示がありますが、割愛します。みんなも行ってね。


宇宙の次は、ブッシュプレーンのコーナーに迷い込みました。ブッシュプレーン (Bush plane) というのはカナダ独特の航空機の種類で、カナダ北部やアラスカ、ユーコン等の外界との接続が乏しい辺境の未開地へ行くための物です。
未開地なので飛行場があるところは少ないわけでして、そういう辺境でも運用できるように、通常の車輪の他に水上用のフロートや雪原用のスキー板を装備できるように、なおかつ簡単に換装できるように設計されています。
他にも、下方視界に優れた高翼配置、高い短距離離着陸性能、低圧タイヤ等の性能を付与されていることが多いです。

さてこの機体はノールダイン・ノースマンMk.VI (Noorduyn Norseman Mk.VI) です。1935年初飛行。
 カナダで初めてのブッシュプレーンと言われています。頑丈な構造と広い荷室が評価されて、カナダ空軍やアメリカ陸軍でも採用された実績を持ちます。カナダで開発された機体は数多くありますが、これは人々から頭一つ抜けた誇り高い扱いを受けているように感じました。
変わっているのは、機体は順当にMk.Iから開発されていったんですが、Mk.IVの次は一個飛ばしてMk.VIでした。その後第二次世界大戦後にMk.VIの改良型としてMK.Vが開発されています。つまりマークナンバーが逆戻りしているわけです。
これは、V (5) は勝利 (Victory) のVとも読み取れるので、第二次世界大戦に勝った暁にはそれを記念したマークナンバーを開発するためにあえて空席にしていたというのです。なんだか余裕っすね。


この個体は1943年製で、戦時中は通信士の訓練用に使われたんだそうな。戦後は連絡、輸送、訓練等多用途に使われて、1950年に退役。その後博物館が取得しています。機体は晩年の姿をしているとのこと。
胴体は機首からエンジンマウントあたりまでが金属製ですがそれより後ろの胴体は鋼管羽布張りです。主翼も羽布張りです。速度は求めていないのでこういう構造のほうが合理的でしょう。ブッシュプレーンは過酷な環境での運用となりますので、鋼管羽布張りの方が修理が容易というのも評価される理由でしょう。


がに股の脚が特徴的。これは、水上用フロートに履き替えた時に安定性が出るように左右の間隔を広げるためだと思います。
どうでもいいですが、エンジンから伸びている長い排気管は、当時のカナダ空軍のレシプロ機によく見られるものですね。機体に排煙が付着しないようにするためか、消音性を出すためなのか、よく分からないのですが・・・。」


プラット&ホイットニー R-1340-AN1ワスプエンジンです。星型9気筒、600馬力。1920年代の代表的航空機エンジンのひとつで、これを搭載した機体は多いです。ノースマンのエンジンもこれです。


カーチスHS-2Lラ・ビジランス (Curtiss HS-2L La Vigilance) です。1917年初飛行。飛行艇ですね、つまり羽のついたカヌー。
アメリカ海軍の沿岸哨戒飛行艇として開発されました。ブッシュプレーンとしての適性に目をつけたカナダでも戦後に余剰となった機体を購入し、第一次世界大戦後初めてのカナダのブッシュプレーンとして使われだしました。他にも1919年にはカナダ初の森林パトロールと上空からの森林調査、1920年に上空からの鉱山権益の発見、1924年には初の定期航空便などを達成しています。

「紅の豚」に出てきたモブの飛行艇はこういう感じだったような、という気がします。


機体の隣りにあった黒い物体。特に説明はありませんでしたが、これがオリジナルの船体だと思います。


骨組みまで見れるのはありがたいですね。オリジナルの船体は湖に水没後40年以上そのままでしたが、良好な姿を留めています。寒冷地の淡水湖に沈んでいたのが幸いして腐食があまり進行しなかったのだと思います。湖に沈んだ飛行機って意外と物持ちがいいんですよね。


飛行艇なのでエンジンに海水が被らないように高位置に置かれています。エンジンはリバティで、V型12気筒、360馬力です。


この個体は1918年製で、1919年にカナダ初のブッシュプレーンとして飛行した記念すべき機体なのです。1922年に機体はオンタリオ州の湖に墜落して、機体は水没しました。1967年に発見されて、翌年から引き揚げられました。
オリジナルの船体はいじらずに残しておいて、復元用に別の機体から供出したものを使っています。復元は1970年から1986年までの長期間にわたっていて、当館の中でも最大最長の復元計画だったと言われています。


カーチス・シーガル (Curtiss Seagull) です。1912年初飛行。
これもアメリカ海軍が当初使用した飛行艇で、第一次世界大戦後に民間に放出された機体がカナダで運用されたものです。飛行艇としては小型に属するのでブッシュプレーンとして最適でした。
この個体はブラジルのアマゾンの探検に使われたんだそうな。まさしく、取材班はアマゾンの奥地へと向かった・・・・時に使った機体ですな。


主翼は長めですね~。


1925年式のヘンダーソン社製バイクです。聞いたこともないメーカーですが、1912年にアメリカで創業したものの世界恐慌で1931年に倒産してしまった短命の会社です。4気筒バイクの雄だったそうな。
私はバイクはみんな同じ形に見えるバイク音痴なのでどういうモデルなのかはよく分かりません。4気筒エンジンは見たところ直列配置ですが置き方が現代のものと比較すると90度回した状態で置かれています。
なんで置かれているのかもよく分かりませんが、ブッシュプレーンに運ばれていって現地のアシに使われたというところだと思います。


ベランカCH-300ペースメーカー (Bellanca CH-300 Pacemaker) です。1925年初飛行。
アメリカのベランカ社で開発された6人乗りのブッシュプレーンです。カナダ空軍向けにカナディアン・ビッカーズでもライセンス生産されました。
2機しか現存しないCH-300のうちの1機で、テキサス、メキシコ、アラスカ等で飛行をしていた機体です。


1920年代にもなるとはやくもブッシュプレーンとしての機体の形状は確立された感はありますね。
エンジンはR-985ワスプジュニア(星型9気筒、450馬力)。


1925年式のフォード・3トントラックです。モデルTTかな?平トラックですが、ダブルキャブなのはちょっと珍しいかも。
これも唐突に置かれているだけですが、ブッシュプレーンが内地の飛行場から飛び立つ前に積み込む物資を運ぶトラックなんだよ、という演出というところでしょうぬ。

というところで今日はここまで。


その48へ→


 
 
 

【1/72】スティンソンOY-2センチネル アメリカ海兵隊【ギャラリー】

2024-04-07 18:35:00 | 模型ギャラリー
キット:1/72スチンソン OY-2 センチネル(AZモデル)
仕 様:アメリカ海兵隊VMO-6 1949年朝鮮半島
[製作記はこちら]

アメリカ軍の連絡機、OYセンチネルを作りました。連絡機というのは部隊や司令部間などの拠点間で将校や物資などを輸送するための飛行機です。アメリカ軍の連絡機は軽飛行機が用いられることが多いです。第二次世界大戦前後に多く見られましたが、現代ではヘリコプターに取って代わられています。
OYセンチネルは元々陸軍が開発した機体で、陸軍ではL-5という型番でした。当時のアメリカ軍では陸軍と海軍/海兵隊とで型番の命名規則が異なっていたので、同じ機種でも型番が違います。L-5は海兵隊ではOYと呼称されていたのです。
OY-2は、OYの2型という意味です。陸軍で言うところのL-5Eに相当する機体です。



民間の軽飛行機が原型になった機体です。いわゆるセスナ機のような見た目をしています。ちょっと軍用機っぽくは見えませんよね。
機体規模も小さく、とても可愛らしいものです。


成形品は全体的にもっさりした形状で、組立時に位置決めになるようなピンや穴もありません。はっきり言って作りにくいですが、プラモデルを作っているという実感はありました。結構楽しかったのでお気に入りの作品です。


デカールの出来が案外よくて、作品の印象を引き締めてくれています。レタリングが多いマーキングなのも良きですね。


天井にも窓があるのが連絡機の特徴です。機内はグリーンハウス状態でクソ暑そうですが・・・。
製造を簡素にするために四角形の断面をした胴体にも注目です。速度性能も求められていませんしね。


主翼も翼端は丸めているものの基本的には製造が簡素な矩形翼です。


花形の戦闘機ももちろんいいものですが、こういう脇を固める機体の渋さも好きなのです。


主脚は細くて頼りないですが、プラモデルでもろくな糊代がないため真鍮線で補強しています。どうにか普通に持ったり触ったりできています。








木製のピッチ固定プロペラは、サンドイエローで下塗り後、エナメルのステインブラウンで塗ります。エナメルをやや残すように拭き取り木目を再現します。最後に水性塗料のクリアオレンジを塗ってニス塗りを再現します。結構うまく言ったんじゃないかなと。


デカールの馴染みが良く、シルバリングも起きませんでした。


以上、OY-2センチネルでした。




【AZモデル】1/72 スティンソンOY-2センチネル【プラモデル製作】

2024-04-05 22:53:00 | 航空機模型製作記
今回はAZモデルの1/72スティンソンOY-2センチネルのプラモデルを作ります。
AZモデルはチェコのメーカーです。同社のキットを作るのは初めてです。OYのようなマイナー機からBf109のような有名機まで幅広い飛行機キットを展開しています。AZモデルを取り扱っている店頭の商品棚を眺めていると目移りして楽しいものです。なにげに、日本語の注意書きがPKGに書かれているのも珍しいかも。




ランナーはこんなかんじ。日本のキットとは見た目の印象が違いますね。形状も全体的にもっさり。たぶん簡易金型を使った成形品だと思います。


風防はバリエーションに対応した2種類入り。2分割にすることでスライド金型の使用を避けています。作る方はちょっと大変なのですが・・・。


樹脂は柔らかめです。機内のトラス構造を割と再現しているのでこういう骨組み上の部品もあります。折らないように気をつけないと・・・。


操縦席にはシートベルトの彫刻あり。ちょっとしたことですが嬉しいです。
計器盤には彫刻はありますがデカールがありません。計器盤を黒く塗って、計器には白の塗料を垂らすように乗せてそれっぽく見せます。目盛りまで再現する必要はないでしょう。


機内の骨組みと風防が普通に合わないので困っています。どうして。


骨組みの脚を一部切ってしまい、どうにか収めました。


風防の付け根にも盛大な隙間があり、これだと塗料が吹き込んでしまいますのでラッカーパテを盛って塞ぎます。


施工後です。


各部品の取り付けには基本的にピンや穴は無く、芋付けです。なので垂直尾翼のように芋付だと強度的に不安が残る箇所もあります。そこで尾翼に真鍮線を埋め込みピンとして、胴体の方には穴を開けて接続軸とします。
脚の接続も芋付けと心許ないものです。特にOYの脚はか弱いので負荷のかかる脚を芋付けは破損の危険大なのです。ここにも真鍮線を仕込んで補強しています。
機体は小さいんですがこういうだるい作業が続くので製作に必要なカロリーは意外とあります。でも、ただ説明書通りに組み立てていく最近のプラモデルと比べると、作っている実感はよほどあるので意外と嫌いじゃないというのはあります。


風防の枠は完成後もよく見えるので、先に機内の色で塗ります。


主翼から脚から尾翼まで、塗装前に全て接着してしまうことにします。プラ用セメントを使った接着は、塗装後につける瞬間接着剤等よりも比較的強力なので、この段階で接着して強度を確保しておこうというわけです。塗装も単色なので塗り分けの手間もないという事情もあります。
やはり隙間が広いのでパテで埋めていきます。


ネイビーブルーで塗装しました。


デカールはこんな感じ。アメリカ空軍機とアメリカ海兵隊機から選ぶことができます。ネイビーブルーの塗装から想像できる通り、今回は海兵隊を選択。
デカールは発色が割とよく、貼る時の感触も良いことから結構好印象です。


つや消しクリアを吹いて最終組立をして完成です。
小さい機体ですが、私の持っている拙い工作スキルが結構入っています。噛みごたえのあるキットでした。


完成させてみると可愛らしいものです。連絡機のキットなんてプラモ市場では存在感が薄いですが、こういう脇を固めるキットがあってこそ世界観が広がるのです。そういうキットを多く出してくれるAZモデルは今後も応援していきたいのです。

というところで今日はここまで。
完成品はギャラリーにて。


<使用塗料>
機体:H54ネイビーブルー
機内:N58機体内部色
計器盤:N2ブラック
座席:N47レッドブラウン
シートベルト:N85セールカラー
排気管:H76焼鉄色
プロペラ:H79サンドイエロー
プロペラ木目:WC03ステインブラウン
プロペラ上塗:N92クリアオレンジ
タイヤ:N77タイヤブラック
ホイール:H8シルバー



【1/144】RMS-154バーザム(機動戦士Zガンダム)【ギャラリー】

2024-04-01 06:01:00 | 模型ギャラリー
キット:HGUC#204 1/144バーザム(バンダイ)
製作記はありません。

機動戦士Zガンダムより、ティターンズの量産型MSバーザムのプラモデルを作りました。
不遇なMS筆頭としてファンの間でイジられていた機体で、ガンプラとしての立体化も放送当時から約30年間一切ありませんでした。それゆえHGUCでの立体化はファンから熱狂とともに迎えられバカ売れし、バーザムショックと呼ばれたのはまだ記憶に新しいはず。

<使用塗料>
胴体:UG16ティターンズブルー1
腕・脚:UG17ティターンズブルー2
赤部品:C108キャラクターレッド
黄部品:C329イエローFS13538
関節:H68 RLM74グレーグリーン
バーニア:N18黒鉄色
シリンダー:H8シルバー
シリンダー:H9ゴールド
チューブ:H26デイトナグリーン



キットは全くの素組みで組み立てて、全身に塗装をしています。
量産型MSにしては異様なスタイルの持ち主。特に腰が存在しないのは全MSを見渡しても珍しい構造なのです。


ティターンズの徽章はガンダムデカールから、機体番号やマーキングは戦闘機のプラモデルを作った時に余ったものを流用しています。


後ろ。


これがどうしてガンダムMk-IIの量産型になるんだという変わり果てた姿。





股間の赤と黄色の部品は分割されていて、組み立て後も隙間が出ない素晴らしい精度。ここはバーザムのチャームポイントなので力を入れたんだと思います。


脚部。


脚部後ろ。


背面バックパック。


これもよく分からないビームライフル。前後の開発系譜が無く、突如現れてすぐ消えていった謎兵器です。


頭部の大きな鶏冠はティターンズの徽章と合っていて、好きですねえ。


ビームサーベルあります。ライフルと合わせて2種類のビーム兵器を同時運用できるところはハイザックよりも優れているんですが・・・。








以上、バーザムでした。