2024年4月28日、注目されていた衆院の3補欠選挙で野党共闘が勝利した。自民党は完敗した。東京15区、長崎3区では候補を立てることもできず、これまで一度も負けたことのない島根1区でも、自民候補は立憲亀井亜紀子候補の82691票に対して2万4千票も差をつけられた。もっとも強かった島根でボロ負けしたのだから、もし総選挙になれば、2009年の再来になることは確実だ。テレビインタビューで、島根で農業を営む男性が長年の自民党員でありながら、亀井さんに投票したと堂々と表明した。激変が起こっている。
わたしが今回の補選で一番注目していたのは、東京15区だった。総選挙の時に、またもや小池百合子都知事が国政にも手を伸ばそうと大パフォーマンスをしかけ、それによって国民の正しい判断が狂わされる危険性を心配してのことだった。2017年総選挙で小池氏が希望の党を立ち上げ、民進党を解党に追い込み吸収合併しようという異常事態を演じた。民進党前原代表は共産党・市民連合との共闘の約束を一瞬で投げすてた。この危険性が、小池氏にとっては可能性が今も残っているかどうかに注目した。
結果は小池氏にとってはさんざんだった。当選は市民と野党の共闘候補の立憲酒井菜摘氏が2位に2万票の差をつけて当選した。小池氏とファーストの会の押す乙武洋匡氏は、なんと5位に沈んだ。わたしには驚きの結果だった。もはや小池氏の魔術は化けの皮がはがれていた。カイロ大学を首席で卒業したという経歴詐称について、側近だった人が卒業証明書捏造の顛末を暴露したこともひびいた。ファースト小池氏とともに右翼ポピュリズム2大勢力の維新も自民票をひきつけることができず、無所属候補の下にとどまった。
今度の補選は、安倍独裁で腐敗の極みに達した現在の日本政治に対する国民の判断の一端をうかがうことができる大事な機会だった。自民党政治(公明も含む)に対する政権交代につながる明確な審判を下したこと、都民や国民をまどわす小池パフォーマンスが賞味期限切れになったことを小池氏にはあまりに無残な形で示したことに意義があった。
これをつくりだした出発点が、共産党と赤旗が裏金違法行為を調査しつくした活動にあったことも忘れてはいけない。島根、長崎は共産党の自主支援で、東京の共闘まで至らなかったが、しっかりした市民と野党の共闘を再建できるかどうかが今後の焦点だ。