4月半ばからニューヨークのコロンビア大でイスラエルのジェノサイドに抗議する運動が広がっていた。あくまでも非暴力平和的なもので、学内の芝生広場にテントを張って意思表示をしていた。ところがコロンビア大学長は4月18日、警察に学生を排除するよう要請し、警察はテントを張って座り込んでいた学生100人を逮捕した。テントを張って大学構内を不法占拠したからというのだろう。まったくもって不当な弾圧、逮捕だ。街頭に出て道路を占拠したわけでもない、学内で平和的に声をあげているのを強制排除するのは言論表現の自由への信じられない弾圧だ。30日にも同大学で大量の逮捕者が出ている。
コロンビア大の学生弾圧を機に、イエール大やニューヨーク大、カリフォルニア大、スタンフォード大、テキサス大など全米の大学に抗議の運動が広がっている。これに対する弾圧も常軌を逸しており、40校以上の大学で2000人以上が逮捕されている。
見逃せないのは、カリフォルニア大ロサンゼルス校で29日、親イスラエル派の学生が侵略に抗議している学生に棒や催涙スプレーをつかって暴力的に襲いかかったのに対して、警察は何時間も放置していたことだ。犯罪を放置して正当な意見表明を弾圧した。
コロンビア大のシャフィク学長は17日「あまりにも蔓延している反ユダヤ主義を非難する」と表明していた(「朝日」5月2日)。この学長は問題をまったく誤ってとらえている。学生たちの運動は反ユダヤ主義に立ったものではない。ユダヤ人学生の参加も目立っており、カメラ前での証言でもユダヤ人であるがゆえに、かつてのユダヤ人迫害・被害を政治的に利用するイスラエルの不法行為に抗議するのだと涙ながらに訴えていたのを忘れることができない。
日本のテレビニュースでも29日の暴行を、反イスラエル派とイスラエル派の対立が激しくなっているという報道をしていたが間違った単純化をしている。
そもそもコロンビア大では、イスラエル軍が使う武器を造る企業に大学の基金を投資運用していることに対し、投資をやめよと学生は要求していた。パレスチナ侵略・虐殺に加担するがごとき行為はやめよというのだ。学長はそれを反ユダヤ主義運動だと問題をねじまげた。戦争に加担する流れが浸透していることを鋭く告発した学生をたたえたい。日本も例外とはいえない。
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