山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

火事の被害者に出火原因を教えてくれない

2013年04月13日 23時38分12秒 | Weblog
 3月15日の深夜3時の隣家からの出火により、わが家は甚大な被害をこうむった。家の前から見ると何もないように見えるが、裏の道路から見ると見るも無残だ。セキスイの鉄骨耐火構造で、隣家と接する壁はもちろん耐火壁だが、全面真っ黒。プロパンの爆発が3度ほどあり、高温の炎でさすがの壁も割れ、そりかえり、その3分の1ほどが焼け落ち、骨が見える。火元の真上の3階の部屋は、わたしが勉強に使っていた。本来の書斎は本で身動きできなくなり、場所を移していた。その部屋には史資料のコピーが大量に積み上げてあった。10冊あまりの5年間のノートも置いていた。窓際にテーブルをおいてすわっていたので、大切なものほど窓に近かった。結局、大切な史資料は焼けてしまった。焼け残った本は水浸しだ。家全体が水浸しだ。わたしは4月4日のブログに3・15のてんまつを載せ、そこでは被害は500万円くらいだろうと書いた。入院中に推測で書いたが、結果はとんでもないものだ。セキスイから届いた見積もりは腰をぬかす金額だった。水が壁の内側、天井、床下などにはいっているため、壁・天井・床をはがして調べるところからやらないと元に修復できないという。築30年なので去年リフォームしたばかりだった。もう一度狭い部屋にとじこめられて数か月を耐え忍ぶのはつらい。
 おまけに、なんといってもいまいましいのは、心筋梗塞になったことだ。動脈硬化になっていたとは予想していたが、血液検査ではほぼ正常値に戻っていたから、放っておいて発症することはありえなかった。あきらかに火事が引き金になっていた。命は助けてもらった(掖済会病院には感謝)が、死ぬまで朝晩大量に薬を飲まなければならないし、出血リスクのある行動はとれなくなった。
 となりの家は二度目の火事で、今回、ちゃんとした謝罪は受けていない。
 きづがわ法律事務所の法律相談も受けた。火事の責任について。近所では、火事は責任を問えないという。しかし重過失の場合は責任が生じると教えてもらった。寝たばこや天ぷらの火から離れていた場合など。明治32年の「失火責任法」では、重大な過失がない場合は賠償責任はないということになっている。
 そこで、消防署にきいたら、出火原因は教えられないという。個人情報を本人以外に流すことはできないというのだ。個人情報保護ということだ。隣家の出火で心身・財産に甚大な被害をこうむったのになぜだといっても、個人情報を他人に教えれば消防署員が処罰されるという。
 裁判所のホームページに、隣家の火事で自宅が延焼した人が、消防長に火災報告書の開示を請求したが、自宅の情報以外は不開示のため、不開示取り消しをもとめた裁判のH16・7・15名古屋地裁判決があった。判決の主文は、火災原因判定理由書のうち、風向き・風速を記載した箇所を不開示としたのを取り消すというものだ。火災原因は不開示でいい、ただし風向きや風速などは気象庁が発表しているものだから、それまで不開示にしたのはまずいという人をバカにしたような判決だ。それ以上を開示すれば、個人識別情報になるからダメだと。しかし、原告は、隣家から出火したのだから、原告にとって以前から火元の住所・氏名についてはわかっているのだから、保護すべき個人識別ではないと主張した。だが判決は、個人識別を防止する情報開示の趣旨から認められないとにべもない。
 判決は、不開示とすることにより保護される利益と、開示することで保護される利益とを比較衡量して、後者が上回る場合は開示対象とするという。そこで、本件は個人住宅に関するもので、大規模火災により社会の関心を特に集めるものであるとはいえないことから、社会的性格が強いとはいえない。開示によって保護される利益が、もっぱら、火災で被害をうけた個人による損害賠償請求権の行使を容易にすることにあるが、上記権利を行使するために、本件開示請求以外に手段がないとはいえない。したがって、開示による利益は、不開示による利益を上回るものではないという判決だ。
 ひどい判決だ。これが最高裁お墨付きの判決なのだ。へたくそな形式論理だけ。大規模火災は社会的関心を呼ぶが、個人住宅火災は個人の権利のための請求になるからダメだと。大衆的興味関心が開示理由になるのか。大規模でも小規模でも火災による心身・財産の権利侵害は質的には同じだ。大規模ならという神経は人権感覚を疑う。損害賠償請求の権利行使のためには出火原因が決定的だ。単なる不注意による失火では、日本の法律は失火の責任を問わない。重過失かどうかが問題だから、出火原因の開示を求めるのだ。それを、本件開示以外に手段がないとはいえないとぬけぬけという。ならば被害者が火災現場に乗り込んで調査をしてもいいのか。許されるはずがないし素人には無理だ。
 住所や氏名など住民みんなが知っているのに、個人識別につながる情報は本人以外には漏らしてはいけないという法的屁理屈で、重大な権利侵害に手を差し伸べようとしない行政や裁判所の役割を疑う。
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3 コメント

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気がつかず、ごめんなさい (下関の1住人)
2013-04-16 18:14:51
類焼と消火活動でご自宅がとんでもないことになり、その上心臓で緊急手術を受けられたこと、今日はじめて知りました。心よりお見舞い申し上げます。ときどきブログを読ませてもらって、つい先日も寺島実郎批判を読んだばかりでした。まったく気がつきませんで、本当に申し訳ありません。でも退院され、ブログも復活されて、よかったですね。下関から応援しています。
ありがとうございます (yamagami)
2013-04-17 08:35:10
はげましのお言葉ありがとうございます。生活レベル行動レベルは低下しましたが、ぼちぼちやっていこうとおもいます。
私も同じです。 (tomy)
2014-04-20 18:05:29
私も同じような事にあいました。隣の家の町工場が爆発し、隣の家に燃え移り、我が家も同じような被害を受けました。夕方に発生してすぐに119番に近所の人が通報し、隣の家の人はすぐに避難しました。工場は6畳ぐらいで火の気が全くなく、当時は機械が動いていなくおそらく漏電らしいとの事でした。爆発を何回も繰り返したのですが、工場と家に燃料を保管していたらしいのです。私は火事の少し前に体調を崩して、会社をやめて家でゆっくり静養するつもりでしたが、あてが外れました。火事の後の解体工事等、ものすごい騒音と振動で静養どころではありません。体調も悪化です。現在、建て替えを隣はしていますが、朝7時から夜7時まで土日も工事をして、地獄です。夕方でしたので出火してすぐに通報してしかも工場の5メートルぐらいの場所の隣の家のに人がいたのにかかわらず我が家まで延焼する事を考えると燃料の保管が適切かどうか疑わしいです。夜の9時にショベルカーが動いていることもありました。隣は何で建て替えているのか考えてほしいです。何が燃えたと同じようにその後の健康被害なども火災の時は行政や火事を出した人も考えて欲しいですね。

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