山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

佐伯祐三展

2008年09月16日 00時17分43秒 | Weblog
 今日15日、ふと思いついて、天王寺公園にある大阪市立美術館に行った。パリで夭折した天才画家といわれる佐伯祐三(1898ー1928)の没後80年記念展を見るためだ。
 佐伯祐三の写真をみると、芥川龍之介の顔がうかぶ。広い額にするどい目、かきあげた長い髪。
 30歳で亡くなった。若くして発揮したその才能はすごいと思わずにはいられない。短い生涯を行き急いだかのように、その画風はあまりにも急いだ気持ちがそのままあらわれている。
 祐三展では、1)東京美術学校時代からパリに行くまで、2)第1次パリ時代、3)帰国時代、4)第2次パリ時代、5)最後の3ヶ月、の構成だった。
 わたしは、一般に人気のある4)、5)の時期よりも2)の時期が好きだ。パリの街並のポスターや広告を好んで題材にえらんだものが特徴でよく知られる。その文字はおそらく実際以上に強調されている。この時期、4ヶ月でなんと100枚も描いているのだ。1日1枚といっていい。考えられないスピードだ。だからカンバスの地肌が見えているところがある。それはなにもこの時期だけでなく以前の、たとえば有名なノートルダムでも、教会はたんねんに塗こめられているのに、バックの空には塗られていないところがいくつもある。
 このことで思ったのは、筆が早い、決断が早い、もうこれで完成という彼の姿勢だ。わたしなど絵は好きだがろくに描けない。描いても技術がないのでどうにもならない。でも、佐伯はすぐれた技術・才能をもっているので、さっと描いても最高レベルまで達している。このことが大きいのだろうが、わたしからみて未完成といったら失礼だが、もう次の作品へと筆をすすめる、その気の早さには理解しがたいところがある。
 帰国時代に、わたしの住んでいる大阪・市岡で蟹の絵を30分で描いたというのが展示されていた。才能を示す筆致だ。そのあとその蟹をたべてしまったという。川口教会近くの住友倉庫あたりの安治川での船を描いた数枚は力感がありいいなあと思った。
 帰りに、複製を2枚買った。
 そういえば、いま寝ている部屋のかべにあの有名な「郵便配達夫」が押しピンで貼ってある。10年くらい前だろうか、祐三展で買ったものだ。
 もう画集というか展覧会の本は買わないのだが、ふと、きたない居間の本棚に近寄ってみると(視力が弱いので)、なんと生誕100年の祐三展の画集があるではないか。今日買った絵が、そのときの本の表紙をかざっている。なんとなんと。
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1 コメント

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祐三展 (イクーニャ)
2008-09-19 16:23:01
早速、明日、行ってきます。。。

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