今日(2014.7.27)、日本科学者会議京都支部主催の「STAP事件:日本の科学は大丈夫か?」シンポジウムにこの問題の素人であるにもかかわらず参加した。京都工芸繊維大学で13:00から17:30ひらかれた。30人の出席だった。直接の専門ではなくとも、わたしを除けばほとんど理系の研究者のように見受けた。
司会は、京都工繊大・前田耕治氏。日本科学者会議京都支部代表幹事の富田道男氏のあいさつのあと、3氏が各50分の持ち時間で報告と質疑応答をした。
報告1「STAP事件がもたらした衝撃」二木杉子氏(大阪医科大学)
報告2「STAP論文の不正は何故見過ごされたか」宗川吉汪氏(生命生物人間研究事務所)
報告3「『STAP細胞』研究不正を引き起こした日本の学術研究体制」兵藤友博氏(立命館大学)
そのあと、報告者と参加者による討論。討論の司会は左近拓男氏(龍谷大学)
これらの報告を要約する能力はわたしにはない。印象深く傍線を引いたり、メモをした中から宗川氏の報告にかかわるものをすこしだけ記してみたい。
小保方「ネイチャー」論文の根幹は、細胞を「選択」することによってではなく、初期化「誘導」によって、細胞分裂がすすんで分化した細胞から初期化した細胞=STAP細胞が出現したというもの。その際、マウスの脾臓のTリンパ球をpH5.7の液に25分ひたして培養する。
ところが、STAP細胞作製の手順書論文どおりにやっても再現実験はだれも成功しない。弱酸性処理をしても初期細胞への「誘導」は観察されていない。じつは、マウスに内在する初期細胞(Museミューズ細胞)をつまみ出していた、「選択」していたにすぎなかったであろう。Muse細胞は東北大・出沢真理氏らの発見の多能性幹細胞で、吉川氏は「STAP細胞はほぼMuse細胞であることはまちがいない」と断言した。小保方氏が若山教授に既存のES細胞をだまして渡し、これでキメラマウスをつくらせ成功だとした。
この点に関し、今日27日21時からのNHKスペシャル「調査報告STAP細胞”不正の深層”に迫る」で、理研小保方研究室の冷凍庫に留学生がつくった大量のES細胞が保管されていることが初めて明らかにされた。
「ネイチャー」はなぜウソを見抜けなかったか。「ネイチャー」編集部は世界的権威である笹井芳樹氏、若山照彦氏を信用して掲載した。
笹井・若山氏はなぜウソを見抜けなかったか。これが最大の問題だと宗川氏。
そのほか、「科学者の理性を失った理研」や「なぜこんな事件が起きたか」など重要な論題があった。
二木氏も「研究者の大半がSTAP細胞自体がねつ造だという意見だ」とのべた。早稲田大学提出の博士論文も話題になった。早稲田の調査委員会が博士論文に値しないと結論付けながら、博士号は取り消さないという意味不明の報告をしたことにもきびしい批判が出た。
シンポジウムでは、理研の問題性、科学者が真理の探究者から、お金と名誉の追及者になる倒錯現象、政府・財界・学者ムラによる科学者支配、独立行政法人「改革」、国の科学技術基本計画による差別的研究費配分、大半の若手研究者が任期制雇用のあるいはそこにも到達できない悲惨な生活問題など、重要な指摘と議論が交わされた。
司会は、京都工繊大・前田耕治氏。日本科学者会議京都支部代表幹事の富田道男氏のあいさつのあと、3氏が各50分の持ち時間で報告と質疑応答をした。
報告1「STAP事件がもたらした衝撃」二木杉子氏(大阪医科大学)
報告2「STAP論文の不正は何故見過ごされたか」宗川吉汪氏(生命生物人間研究事務所)
報告3「『STAP細胞』研究不正を引き起こした日本の学術研究体制」兵藤友博氏(立命館大学)
そのあと、報告者と参加者による討論。討論の司会は左近拓男氏(龍谷大学)
これらの報告を要約する能力はわたしにはない。印象深く傍線を引いたり、メモをした中から宗川氏の報告にかかわるものをすこしだけ記してみたい。
小保方「ネイチャー」論文の根幹は、細胞を「選択」することによってではなく、初期化「誘導」によって、細胞分裂がすすんで分化した細胞から初期化した細胞=STAP細胞が出現したというもの。その際、マウスの脾臓のTリンパ球をpH5.7の液に25分ひたして培養する。
ところが、STAP細胞作製の手順書論文どおりにやっても再現実験はだれも成功しない。弱酸性処理をしても初期細胞への「誘導」は観察されていない。じつは、マウスに内在する初期細胞(Museミューズ細胞)をつまみ出していた、「選択」していたにすぎなかったであろう。Muse細胞は東北大・出沢真理氏らの発見の多能性幹細胞で、吉川氏は「STAP細胞はほぼMuse細胞であることはまちがいない」と断言した。小保方氏が若山教授に既存のES細胞をだまして渡し、これでキメラマウスをつくらせ成功だとした。
この点に関し、今日27日21時からのNHKスペシャル「調査報告STAP細胞”不正の深層”に迫る」で、理研小保方研究室の冷凍庫に留学生がつくった大量のES細胞が保管されていることが初めて明らかにされた。
「ネイチャー」はなぜウソを見抜けなかったか。「ネイチャー」編集部は世界的権威である笹井芳樹氏、若山照彦氏を信用して掲載した。
笹井・若山氏はなぜウソを見抜けなかったか。これが最大の問題だと宗川氏。
そのほか、「科学者の理性を失った理研」や「なぜこんな事件が起きたか」など重要な論題があった。
二木氏も「研究者の大半がSTAP細胞自体がねつ造だという意見だ」とのべた。早稲田大学提出の博士論文も話題になった。早稲田の調査委員会が博士論文に値しないと結論付けながら、博士号は取り消さないという意味不明の報告をしたことにもきびしい批判が出た。
シンポジウムでは、理研の問題性、科学者が真理の探究者から、お金と名誉の追及者になる倒錯現象、政府・財界・学者ムラによる科学者支配、独立行政法人「改革」、国の科学技術基本計画による差別的研究費配分、大半の若手研究者が任期制雇用のあるいはそこにも到達できない悲惨な生活問題など、重要な指摘と議論が交わされた。
結局は原点が問われている。研究費・名声・身分の三者に研究者ががんじがらめにされているからだ。NHK番組では「ねつ造を許さない風土がないとねつ造は繰り返される」とアメリカの研究者が発言していたがその通りだろう。
武器輸出解禁、戦争推進国家(破壊された肉体を再現する細胞、副作用のない薬など)の要素がこれからも研究不正を誘発すると断言するのは杞憂だと思いたい。