山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

伝統の府立園芸高校を勝手に売り飛ばす計画

2010年02月13日 04時59分26秒 | Weblog
 なんでも市場が適正に配置をする!市場原理、新自由主義が大阪の地方政治を席巻している。
 池田市の倉田市長は、伝統ある府立園芸高校を引越しさせて、池田北高校と統合し、その跡地を巨大再開発事業地として料理しようという途方もないプランをぶちあげた。計画は公開され、新聞にも載った(『朝日』2・11北摂版)。
 園芸高校はその敷地の広さ西日本一を誇る。なにしろ実習農場が広い。計画によれば、125億円で売れるそうだ。そこに最近流行の大型商業施設をつくり、マンション群を建設する。さらに、阪急石橋と池田の間に新駅をつくり、この商業施設・マンション群とを結ぶ。
 125億円のうち50億円で実習農場の代替地を確保し、校舎建設をする。五月山の西側の東山町の植木産業の畑を予定している。植木産業も今は斜陽で、もう95%の農家は売却に賛同しているというのだ。手回しがいい。ここを実習農場にして、実習棟も建設する。池田北高校にくっつけるわけだからそこにも校舎を建てる。土地代、建設費あわせて50億円。すると跡地売却代金との差額は75億円にもなる。これが府の利益になるというのだ。市場にまかせればすべてばら色だ。
 去年末に、池田市が府に園芸高校移転の要望書を出したら、橋下知事から「地域主権の趣旨から、市が構想を提案してほしい」(『朝日』)と依頼され、まとめたそうだ。これをまちづくりの「起爆剤」するという。また火薬が爆発する。南港ベイエリアを起爆剤に!、湊町駅再開発を起爆剤に!、霞町車庫跡フェスティバルゲートを起爆剤に!、関西空港を起爆剤に!、りんくうタウンを起爆剤に!、阪南スカイタウン(通称阪南すかたん)を起爆剤に!、箕面新町開発を起爆剤に!、WTC府庁移転を起爆剤に!、そして園芸高校強制立ち退き再開発を起爆剤に!これまでどれだけ火薬を仕込んできたことか。大阪中、爆発の連続だった。
 いや、こんどはちがう!府民・市民の血税をつぎ込むのとは違う。大阪府は75億円も儲かるのだ。橋下知事が提案を促したのもうなずける。
 だが待って欲しい。これはとんでもない提案だ。倉田市長は園芸高校の所有者か?
 園芸高校は府民の共有財産だ。なにより生徒・父母・教職員・卒業生の宝物だ。それをたまたま池田市の市長をしているからといって、倉田市長がこれを売りに出すなどということは許されない。植民地主義の発想だ。批判をうけた倉田市長は、橋下知事は国の伊丹空港を売却するといっているのだから、それにくらべたらまだかわいいものだという意味のことを言ったと漏れ聞いた。これまでタッグを組んできた二人だ。手法もそっくりだ。
 当該の園芸高校、池田北高校は何の相談も受けていない。学校を蚊帳の外において、売り払い、強制移転をさせるという計画を平然とやる神経がわからない。学校は生きた組織だ。主人公は生徒・教職員・父母だ。これをないがしろにして、もてあそぶことは許されない。きっと園芸高校関係者の総反発をうけるだろう。利用される池田北高校も軽く扱われたものだ。主体性が認められていない。
 園芸高校は学区がないから府下各地から通っている。その生徒が、便利な現校舎でなく、海抜149メートルの伏尾台の池田北までいくのにどうするのか。現に池田北の生徒も苦労している。計画では、阪急石橋・池田、千里中央、箕面新町の4箇所からスクールバスをはしらせるという。実習の授業のために伏尾台の校舎からバスで農場まで送り迎えするという。着替えをして運動場に出るのにも時間がかかるのに、次の授業に出るのにバスで向かうという。普通の学校の10分の休憩時間を20、30分にしなければならない。普通科の生徒と園芸3科の生徒の時程は違うことになる。チャイムが錯綜してなりひびく。時程をそのままにすると、実習はほとんど授業の体をなさなくなる。バス代として池田市が年2500万円負担するというが、そんな金額で年間走らせるのは無理だろう。教育のことを考えない、金儲けの大プロジェクトだ。
 統合して、従来の学科に加えて、園芸療法をとりいれた福祉ボランティア科も設置するという。それにとどまらず、池田市の他の高校の教育課程にも手をつっこみ、池田高校は進学校、渋谷高校には英語科を設置するということも書いている。やりたい放題だ。北豊島小学校と北豊島中学校を連携型小中一貫校にし、北豊島中学校の土地を売って、園芸の校地に新校舎を建てる計画も含んでいる。建設業者はうるおうだろう。
 橋下知事はどういう行動にでるか。でも待て。園芸、池田北の所管は教育委員会だ。知事の権限の範囲外だ。勝手な言動は許されない。
 教育委員会も去年の秋の段階でこの動きは知っている。こんな非教育的な、植民地主義的な計画に、よもや引きずられはしないだろう。でも橋下知事の独裁下の大阪のことだからどんな方向にいくかわからない。
 だが、主体は当該の学校であり、生徒・父母・教職員・卒業生だ。さらに地域の人々のささえがあって生きてきた学校だ。これら主体となるべき人々をないがしろにし、もてあそんで、ことがすすむと考えるのは短絡にすぎる。関係者は思慮深く連携をとりあうだろう。そして立ち上がるだろう。
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1 コメント

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Unknown (あっこちゃん)
2010-04-04 00:14:20
破綻寸前池田市のむちゃくちゃ。橋下氏が状況をエスカレートさせ、この巨大箱物を抱え込もうとしている池田市。
一石三丁を目指した池田市は、墓穴を掘って、一層の財政難を招き、最後は廃校でお茶濁し。百年紀を迎える「西の府立園芸」の使命もここに潰える。

能勢電ターミナルを受け入れ拒否し、教育大を放出し、重ねて府立園芸を消し去る池田市当局の浅はかさ。

マスコミも、「橋下&倉田」の新喜劇で日銭を稼いで、ハイソレマーデーよ。
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