山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

玉城デニー勝利、安倍首相官邸「勝利の方程式」のおごりと失敗

2018年10月01日 09時32分48秒 | Weblog
 沖縄県知事選でオール沖縄の玉城デニー氏が、わたしの予想を大きく上回る余裕の勝利、大勝をおさめた。期日前投票が35%あるとはいえ、2時間で5%しか伸びない投票率。60%を切ると佐喜真側の勝利と言われていたから、半ば覚悟し、でももしかしたらとの思いで開票を待った。8時半過ぎだったか玉城当確の知らせを聞き、えっまさか、ほんとと思った。待つこと1時間、NHKがようやく当確を出した。爆発的な喜びよりも、ほっとしたのが偽らざる気持ちだ。玉城デニー39万6千、佐喜真31万6千の大差だ。前回は10万の差、今回は8万の差。
 前回と今回の一番の違いは、公明党が自主投票から自民候補側についたことだ。前回翁長36万、仲井真26万だが、維新・下地が7万あったので、36万対33万、これに前回翁長さんを支持した公明票の大半が今回は佐喜真に囲われるとすると、玉城デニー31万対佐喜真38万が基本的な力関係だと考えていた。だから玉城勝利は並大抵のことではないと思っていた。
 安倍首相官邸筋から、さらにマスコミでもさかんにいわれたのが「勝利の方程式」なるものだった。それはこのブログの9月9日付けでも書いたが、名護市長選挙で官邸・自民・学会公明がやった選挙戦略戦術だ。①政権与党にとって不利な争点についていっさい語らない、辺野古新基地建設については辺野古の「へ」の字も言わない。だが、こういう選挙と選挙民を愚弄するやり方への反発が相当あったようだ。②公開討論会は逃げるという名護での渡具知氏の自信のない手口は県知事レベルではさすがに取れなかった。③実際は大きく伸びているのに、経済は停滞したというデマを名護ではくり返した。知事選ではどの程度のデマぶりだったか詳細はわからない。ただ、携帯料金の4割引き下げを、佐喜真氏は政策に掲げ、菅官房長官は街頭で約束した。若者の票をかすめ取るために、虚偽の宣伝をした事実は消えない。④業界団体と企業のしめつけで投票の自由を奪って期日前投票をおこなわせる。名護では期日前が57・7%まで行ったが、知事選では35%だった。ここには台風が近づいているもとで選管が薦めたこともある。が、名護のように選挙民、下請け業者、従業員をあやつることはできなかったようだ。自民党の組織動員の一番の中心は建設・建築関係の下請け・従業員たちだ。だが、名護でも感じていたし、事実、基地など政府のおこぼれの仕事ではなく(これは本土の建設業者につらなる業者のみ)、民需と自治体の発注がほとんどだ。官邸や自民の脅しに屈して従業員全員に投票を強いることはほとんどの業者にとって意味がない。これを自覚して玉城支持に回った業者も少なくないようだ。⑤創価学会が原田会長以下の陣頭指揮で、有無を言わさず期日前に動員する。公明党が運動するというより、もろに創価学会が指揮をする。本土から学会幹部が5000人入ったというニュースがあったがこの数字が正しいかわからないが相当な組織指導しめつけがあったことは疑いない。だが少数だが公然と玉城支持の旗を振った学会員が登場したことは、良心を奪われたくないと思う学会員を励ました。宗教団体と権力とのこれほどの癒着一体化を放置していいのか。日本の民主主義の問題として公然と議論を開始すべきと思うがどうだろうか。①~⑤はわたしがまとめた「官邸・勝利の方程式」だが、彼らは①と③、④と⑤のふたつにまとめているようだ。
 そこでこの「勝利の方程式」が今回どう働いたのか。彼らが公然と「勝利の方程式」を掲げたことは、これでやれば勝てるとの自信、思い込みがあったのだろう。オール沖縄の運動を切り開き先頭を走った名護を、「勝利の方程式」でひっくり返したことに、官邸筋・自民・学会は相当の自信を持っていただろう。わたしはそこにおごりがあったと思う。人口6万の名護と、140万の沖縄県と同列に見て、「方程式」を当てはめれば同じ答えが出るというのは間違いだ。「へ」の字も言わずにデマ政策をふりまけば押し通せるというのは甘い。県民をみくびっている。自主的に考えるいとまも与えず期日前に連れて行く手法は、県全域となると名護のレベルまではいかない。
 オール沖縄玉城デニー陣営の奮闘は大したものだった。先に書いたが、学会公明党が向こう側の中心に座った時点で、基礎的な力関係では完全に負けていた。それを揺るがし、翁長知事が命を削ってまで県民との約束を守り、平和な沖縄を実現するために努力してきたことを、受け継ぎ発展させるために、各政党団体は表に出ることなく下で支え、翁長樹子(みきこ)さんが「これ以上県民を愚弄するのは許せない」と立ち上がった。樹子さんの訴えは、県民の心に灯をともした。自覚と勇気を生み出すたたかいが広範にとりくまれたことが勝利の要因だ。
 
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