山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

トランプ安倍・日米会談に思う、拉致問題は対話による解決しかない

2018年06月10日 23時08分13秒 | Weblog
 6月7日(日本時間8日未明)、米朝首脳会談の直前に安倍首相がトランプ大統領との会談を行った。米朝会談で拉致問題を取り上げてもらうように念押しのための会談だった。トランプ大統領は「安倍首相の希望に従い、北朝鮮と絶対に拉致問題を議論する」と共同記者会見で表明した。
 安倍首相は、初めて、北朝鮮に対する「圧力」という言葉を使わなかった。同時に、「日朝平壌宣言に基づき、不幸な過去を清算し、国交を正常化し、経済協力を行う用意がある」と述べた。当然のこととはいえ、重要な言明だ。明らかにこれまでの態度、方針を変更したのだ。トランプ大統領が、話し合いのレールの上で、友好関係を築き、圧力という言葉を使いたくないという立場でものごとをすすめているときに、あいかわらず「最大限の圧力」と言いつづければ、その異様さが浮き彫りになり、解決への道筋も途切れることは目に見えていた。だから、安倍個人の考えはどうかのかはわからないが、日本政府としては「圧力」を封印することにしたのだ。さらに「国交を正常化し」と述べたことは重大だ。安倍内閣は去年の9月から、世界の160余の北朝鮮と国交もっている国に対して国交を断絶するように働きかけをしてきた。4月27日の南北首脳会談で、韓国ムンジェイン大統領が金正恩委員長に、拉致問題で解決済みだと言わせずに「いつでも話し合う用意がある」と言わしめたにもかかわらず、その後も、北朝鮮との断交外交をすすめていた。だから北朝鮮が「いつでも話し合う」といったのを取り消すかのような態度に急変した。トランプ大統領が米朝会談中止を発表した時に、世界でただ一国日本だけが「支持する」と表明した。米朝会談中止が安倍外交の基本だから、間髪入れず支持した。安倍政権は北朝鮮と対話する気は0%、圧力を強めに強めて体制崩壊にもっていくことを基本戦略にしていた。韓国でも防空演習しないのに、太平洋に飛び去ったミサイルに空襲警報と地下非難を呼びかける時代錯誤。これで落ち込んだ安倍支持率回復を果たした。安倍氏にとって拉致は一番利用しやすい政治資源でしかなかった。絶対対話しないのが基本だった。しかし、韓国と米国に頼まざるを得なかった。
 さすがに、100%一心同体のトランプ氏が「圧力」でなく「友好」に舵をきった今、そのトランプ氏に取次ぎを願っているもとではこれまでの方針の転換をせざるを得なかったのだろう。この日本政府の方針転換を北朝鮮は見ている。これを評価して、拉致問題は解決済みといわずに会談するようになるかどうか。明日が注目だ。
 安倍首相は共同記者会見で、「最終的には私と金正恩委員長の間で解決をしなければならないと決意している」とも述べた。『朝日新聞』は「日朝首脳会談の実現に強い意欲を示した」と評価したが、わたしはまだやる気が足りないと思う。文大統領に頼んだ後もやる気ゼロ、トランプ大統領の足元にすり寄って頼んだのだから、これくらいいうのは当たり前だが、「最後はわたしが」とはこの程度の本気度かと私は思う。本来なら、拉致問題は日本の首相が全力でやるべきことだ。だがなにもやってこなかった。拉致問題を政治的に利用するだけだった。ロシアと20回以上、中東アフリカなど金をばらまいて外遊をし続けたのに、一番大事な問題は危機感をあおるだけで何もしなかった。ここにきて韓国・米国にお頼みするだけだ。対話のための対話は意味ない、圧力だけだといってきたが、対話のルートが何ひとつないことが、情勢から決定的に遅れ、置いてきぼり状態になったのだ。
 外交の正しい道、対話に立ち戻り、敵視政策をやめることが大事だ。
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