岸田首相は、自民党政治が旧統一教会との黒い癒着が暴露されて支持率が急落しているのを挽回するために、内閣改造を1か月前倒しして新装開店した。
ところが思惑がはずれた。新閣僚から7人、副大臣から7人、政務官から6人が統一教会との関係があらたに明らかになった。なんのことはない、半分近くが汚染されているのだ。もともと真っ黒の人をのぞいたのにこれだ。共産党の小池書記局長が「もはや自民党は統一協会と関係のない議員で組閣ができない深刻な癒着があるということが逆に証明された」といったがその通りだ。
しかも深刻なのは、副大臣からさらに若い政務官にまで統一教会の毒が及んでいることだ。例えば、環境兼内閣府政務官の柳本顕氏は去年の衆院選で当選したばかりの1年生だ。すぐに政務官に抜擢されたはいいが、今年2回も統一教会と関係を持ったようだ。沖縄県知事選挙が9月に行われるが、自民党側の候補者佐喜眞淳が統一教会の集会に出ていたことが明らかになった。また自民だけでなく維新にも相当毒が回っている。
なぜ1年生議員にも毒が回っているのか。考えられるのは、去年の総選挙前に当時の安倍首相が統一教会にビデオメッセージを送ったことが、統一教会を元気づけ活動を活発化させたのだろう。自民党の若手にも安倍首相を見習って関係を持つことが将来の道につながると思わせただろう。深刻な問題だ。
8月12日、ソウルで統一教会の大規模な集会が開かれた。そこで安倍元首相の追悼儀式が行われた。両者の関係がただならぬものであることが証明された。2014年の下村文科大臣の下で旧統一教会の名称を「平和統一家庭連合」などと実態を隠した欺瞞的な名前に変える作業がおこなわれた。前川喜平氏らの権限を凌駕する政治力で、すなわち下村大臣、もっと上の安倍首相らの意向で、統一教会に最大のプレゼントをした。だから追悼儀式をやるのだ。
岸田首相は内閣の新装開店でご祝儀相場であっても人気を得たいともくろんだが、みごとはずれた。1か月で支持率は13%落ちた。これでは秋の臨時国会時には支持率はもたないだろう。
9月27日の国葬で安倍神格化をはかり自分の政治ツールにしようという狙いだったがそれもみごと外れた。岸田氏が国葬をぶち上げたころはこれに反対したら非国民といわれかねない雰囲気だった。共産党だけが法的根拠がない、思想良心の自由侵害だと反対を明確にしたが、立憲などは雰囲気に押されもぞもぞしていた。ところが空気は一変した。NHKによれば、国葬を評価するは7月49%から8月36%へ、評価しないは21%から50%へと激変した。今後もっと大きな変化が生じるだろう。
なにしろ旧統一教会は多くの有罪判決をもらった反社会集団なのだ。暴力団やハングレ集団と関係をもったら現在の社会では表の社会では生きてゆけない。旧統一教会も暴力団と同じ反社集団だ。犯罪の事実は消えない、被害事実は消えない。時間がたてば忘れるというのは甘い。