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山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

岸田内閣の内閣改造・新装開店はみごと失敗、自民党は旧統一教会の毒まみれ

2022年08月13日 10時35分57秒 | Weblog
  岸田首相は、自民党政治が旧統一教会との黒い癒着が暴露されて支持率が急落しているのを挽回するために、内閣改造を1か月前倒しして新装開店した。
 ところが思惑がはずれた。新閣僚から7人、副大臣から7人、政務官から6人が統一教会との関係があらたに明らかになった。なんのことはない、半分近くが汚染されているのだ。もともと真っ黒の人をのぞいたのにこれだ。共産党の小池書記局長が「もはや自民党は統一協会と関係のない議員で組閣ができない深刻な癒着があるということが逆に証明された」といったがその通りだ。
 しかも深刻なのは、副大臣からさらに若い政務官にまで統一教会の毒が及んでいることだ。例えば、環境兼内閣府政務官の柳本顕氏は去年の衆院選で当選したばかりの1年生だ。すぐに政務官に抜擢されたはいいが、今年2回も統一教会と関係を持ったようだ。沖縄県知事選挙が9月に行われるが、自民党側の候補者佐喜眞淳が統一教会の集会に出ていたことが明らかになった。また自民だけでなく維新にも相当毒が回っている。
 なぜ1年生議員にも毒が回っているのか。考えられるのは、去年の総選挙前に当時の安倍首相が統一教会にビデオメッセージを送ったことが、統一教会を元気づけ活動を活発化させたのだろう。自民党の若手にも安倍首相を見習って関係を持つことが将来の道につながると思わせただろう。深刻な問題だ。
 8月12日、ソウルで統一教会の大規模な集会が開かれた。そこで安倍元首相の追悼儀式が行われた。両者の関係がただならぬものであることが証明された。2014年の下村文科大臣の下で旧統一教会の名称を「平和統一家庭連合」などと実態を隠した欺瞞的な名前に変える作業がおこなわれた。前川喜平氏らの権限を凌駕する政治力で、すなわち下村大臣、もっと上の安倍首相らの意向で、統一教会に最大のプレゼントをした。だから追悼儀式をやるのだ。
 岸田首相は内閣の新装開店でご祝儀相場であっても人気を得たいともくろんだが、みごとはずれた。1か月で支持率は13%落ちた。これでは秋の臨時国会時には支持率はもたないだろう。
 9月27日の国葬で安倍神格化をはかり自分の政治ツールにしようという狙いだったがそれもみごと外れた。岸田氏が国葬をぶち上げたころはこれに反対したら非国民といわれかねない雰囲気だった。共産党だけが法的根拠がない、思想良心の自由侵害だと反対を明確にしたが、立憲などは雰囲気に押されもぞもぞしていた。ところが空気は一変した。NHKによれば、国葬を評価するは7月49%から8月36%へ、評価しないは21%から50%へと激変した。今後もっと大きな変化が生じるだろう。
 なにしろ旧統一教会は多くの有罪判決をもらった反社会集団なのだ。暴力団やハングレ集団と関係をもったら現在の社会では表の社会では生きてゆけない。旧統一教会も暴力団と同じ反社集団だ。犯罪の事実は消えない、被害事実は消えない。時間がたてば忘れるというのは甘い。



 




知性も理性もない無責任政党・自民党

2022年08月05日 15時06分37秒 | Weblog
 統一教会との関係での自民党の態度、対応ほどひどいものはない。茂木幹事長は、記者会見で「関係部門に改めて確認するよう、党として支持を出し、その結果、これまで一切の関係を持っていない、このような確認であった」、「組織的な関係は一切ない」と述べた。これが自民党という政党の正式の態度表明、調査報告なのだ。立ち話でのことだ。本来なら、きちっとした記者会見で質疑応答もしっかりやるべきものだ。
 組織的関係は一切ないというが、党総裁・総理大臣の安倍晋三を先頭に関係を持ってきたではないか。こんどの参院選でも安倍氏が直接統一教会票の差配をしていたことが明らかにされた(「朝日新聞」8月7日)。
 JNNの全国会議員アンケートでは76%542人の回答で関係があったのが78人、うち自民党が60人、維新が9人(維新の調査では13人)だ。
 茂木幹事長は一体どんな調査をしたのか。問題の重さを全く分かっていない。これまで当たり前の日常的なことを問題にされて、うろたえ、知らぬ存ぜぬをくりかえせばそのうち嵐は過ぎ去ると思っているのだろう。
 自民党という政権政党の組織を取り仕切っている人物の、レベル、知性、理性、民主主義感覚がこの程度だと知らされて寂しくなってきた。あと細田衆院議長の責任回避で逃げ回るのにもあわれを感じる。



反社勢力と芸能人が関係を持ったら当たり前のことだがダメで、自民党は許される?

2022年07月31日 12時12分50秒 | Weblog
 暴力団、半グレ集団などの反社会集団と芸能人が関係を持ったら、表舞台からは完全に排除される。その一番わかりやすい例が、タレントの雨上がり決死隊・宮迫博之だ。宮迫は2019年、前科3犯の半グレで金塊強奪犯の男と飲み屋で同席し金をもらって写真を撮った。さらにその数年前、振り込め詐欺グループの忘年会にロンブー田村亮、レイザーラモンHGらと参加し報酬を得ていたことが発覚した。以後、テレビなどの表舞台からは完全に排除されている。
 一方、旧統一教会と長年にわたって深い関係をもってきた自民党はどうか。岸信介元首相から始まる自民中枢の黒い付き合いだけに、マスメディアもさらに警察も忖度の上にも忖度の扱いだった。
 統一教会は、正体を隠しての布教、洗脳(マインドコントロール)、不安をあおって高額商品を売りつける霊感商法を手口としてきた。統一教会は民事でも刑事でもたくさん有罪判決を受けている。2007年の政府の「犯罪対策閣僚会議」の「指針」では「反社会的勢力」を「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である」と定義していることを今日の新聞で知った(「赤旗」7月31日)。政府の基準からしても、統一教会はれっきとした反社会集団だ。だがこの定義は放棄されたも同然だ。
 自民党三役の一人、福田達夫総務会長は「正直に言います。何が問題か、僕はよく分からない」と責任感ゼロのとぼけた発言をした。この問題は大したことではないと問題矮小化の意図とともに、自民党が人権や民主主義についてまともな認識を持っていないことを明らかにした。
 芸能人でも、もちろん一般人でも反社会集団と関係を持ってはいけないというのは侵してはいけない規範だ。ところが政治の世界では自民党が長年培ってきた統一教会という反社集団とは、何の反省もせず、政治的癒着構造を維持し続けている。これでは宮迫がかわいそうだ。反社と関係を持った自民(維新にもいる)議員は表舞台から消えてもらわなければダブルスタンダードになってしまう。





安倍元首相の「国葬」はごめんだ!

2022年07月26日 11時42分37秒 | Weblog
 岸田首相は安倍元首相の死後、時を置かず「国葬」にすると表明し、22日閣議決定した。
 明治憲法の下では、勅令による「国葬令」があった。しかし戦後、日本国憲法の下では当然これは廃止された。だから、1967年の吉田茂元首相の国葬も違憲・違法なものだった。その批判の前に、以後、国葬を強行する権力者はいなかった。
 岸田首相は、集団的自衛権容認で「法の番人」たることを放棄した内閣法制局から、内閣府設置法(1999年)の膨大ななんでもありの内閣の所掌事務のうちの「国の儀式」を根拠として国葬ができるとお墨付きをもらったという。だがそこには国葬という言葉はなく、研究者からも法的根拠とはなりえないという見解が示されている。
 歴代首相の葬儀が佐藤栄作元首相の国民葬以外は合同葬という形式だった。それを岸田氏はなぜ突破しようとするのか。
 岸田氏は安倍氏を国葬とする理由として、8年8か月という最長の在任期間、その赫赫(かくかく)たる実績をあげる。ならば、比較の対象になるのは佐藤栄作元首相だ。佐藤氏の在任期間は7年8か月だ。実績では、沖縄返還、非核3原則によるノーベル平和賞がある。沖縄と千島はサンフランシスコ講和条約の第3条と第2条によってアメリカとソ連(ロシア)に奪われた領土だ。日本政府がこれを受け入れ調印した。佐藤氏がサ条約3条にかかわる沖縄返還を実現したのだから、安倍氏も同2条にかかわる千島(政府は北方領土と問題を歪曲してきた)返還を成し遂げなければ釣り合わない。だが安倍氏は4島返還から2島返還、さらに経済協力に入れあげた末に捨てられたのが実績だ。27回も食事をし「ウラジミール、君と僕は・・・」と歯の浮くようなことを言った末に。
 赫赫たる実績には、集団的自衛権行使容認という明らかな憲法違反を閣議決定しこれを法制化した(安保法制)こと、「モリ・カケ・桜」では国の税金・財産を私物化し、100回以上も国会で虚偽答弁を繰り返したことが含まれる。他の総理大臣ではなしえなかったことだ。さらに売り物のアベノミクスで非正規をふやし、賃金は韓国にも追い抜かれるに至った。OECD(経済協力開発機構)の統計では2020年、日本の平均賃金はOECD35か国中22位、3万8364ドル、韓国4万1960ドルだ。止まらない円安で物価上昇に苦しんでいる。赫赫たる実績とよく言えたもんだ。
 国葬となれば国を挙げて弔意を表すことになり、国民の内心の自由を侵すことになる。誰をどう弔うかは個人の問題だ。
 これをごり押しする狙いは明らかだ。あえて「国葬」にすることで自民党内では最大派閥の安倍派を抑え込み、「国葬」を取り仕切ることで国民的にも政権基盤強化に利用しようということだ。さらに安倍氏の悲願・憲法改悪を実行するエネルギー源にしようということだ。
 非業の死を遂げた安倍氏への同情、参院選勝利から、国葬には国民の圧倒的支持があるかと思いきや、そう、はならなかた。いちばん支持があるはずの今でも、賛否が拮抗する状況だ。NHK(7・19)は国葬を評価する49%、評価しない37%、FNN(7・23、24)では国葬決定よかった50・1%、よくなかった46・9%だ。
 議論が深まっていけば、思惑が外れることになる。とくに安倍氏殺害に至る自民党と統一教会の闇の歴史に国民的理解が及ぶことになれば。とにかく国葬で弔意強要、安倍政治礼賛、憲法改悪はごめんだ。






















大阪万博パビリオンをとり囲む木造大屋根の木材調達に疑問

2022年07月18日 11時38分33秒 | Weblog
 今日(2022年7月18日)は大阪関西万博の開催1000日前だそうだ。ということで朝のテレビで、万博のパビリオンをとり囲む構造物を木造の環状大屋根にすることになったと説明していた。世界最大級の木造建築物だという。甲子園1・5個分の広さを丸く囲む。その大屋根は幅30メートルもあり、1周2㎞、高さは内側12m、外側20m、3~5階建ての建物だ。屋上には歩道がつくられ広く全体を見通すことができる。木材は国内外のスギ、ヒノキを用いるそうだ。
 工法は日本古来の貫(ぬき)工法で釘は使わず、水平材は柱を貫通し、楔を打ち込んで固定する。
 このプランを見て浮かぶのは清水寺の舞台だ。清水の舞台は高さが13m。よく似ている。万博の大屋根は幅30mというから清水の舞台より広いのではないか。清水寺は舞台と本堂で柱が172本、舞台だけで78本という。舞台の柱は16角形で根元部分は直径80㎝、周囲2・4mだ。
 万博大屋根の問題だと思うところに入ろう。柱の太さは45㎝×45㎝だ。お寺の柱並みの太さだ。お寺は多くの場合丸いまま使っている。あれを4角にすると45㎝になるだろう。清水の舞台だけで78本の柱だ。甲子園1・5個をぐるりと囲むためには、幅30m・長さ2㎞から考えて柱の間が8mでも750本必要となる。それに梁の本数も相当になる。
 製材した後、木の中心部分で45㎝とれるのはまれなことだ。45㎝の部材をとるには直径70㎝くらいの木が必要だ。しかも12mと20mの長さのものをそろえなければならない。しかも杉檜だ。もうすでにお寺の改築の際には日本の国内材ではまかなえず、以前なら台湾から、しかし台湾でも難しくなっている。03年再建の薬師寺大講堂、2018年再建の興福寺中金堂再建でも木材の調達が問題だった。記憶にあるのが、興福寺中金堂再建では国内材調達が困難でアフリカのカメルーン産のケヤキ、直径80㎝の丸い柱36本、60㎝30本を使ったそうだ。もう日本ではお寺の再建には外国の、アフリカの木材を買いあさる時代になった。お金を払えば問題ないとは言えない。遠からずカメルーンでも太い木は枯渇するだろう。
 お寺は数百年を見通して建設している。万博は半年だ。日本の木造文化を示すことはいい。だがわずか半年のことで貴重な木材を大量消費していいのだろうか、疑問だ。











統一教会の霊感商法

2022年07月13日 09時34分47秒 | Weblog
 昨日のブログでは統一教会の霊感商法のことを書き忘れていた。もともと世界キリスト教統一神霊教会といっていたから、韓国のキリスト教の土壌から生まれたが、日本での犯罪行動では数珠や印鑑、壺などおよそキリスト教とは無関係の物品を超高額で押し売りしていた。マインドコントロールで借金までして献金させるという反社会団体だ。暴力団は暴力、脅しで金を巻き上げるが、これはマインドコントロールという暴力で金を巻き上げている。
 その犯罪団体が反共という点で日本の自民党と結合してきた。韓国の右翼政治団体の助けを借りて自民党は長年活動をしてきた。自民党政治の明らかにしたくない暗黒の部分だ。




安倍氏銃撃を糾弾しつつ、真相はしっかり究明しよう

2022年07月11日 16時15分01秒 | Weblog
 7月8日、安倍元首相が奈良市西大寺駅前で銃撃され亡くなった。暴力で言論を封殺するもので断じて許されない。
 犯人は、母親が統一教会に入れ込んで献金をし家庭と生活を破壊したことから統一教会に長年恨みを抱いていたそうだ。
 統一教会につながりあのある政治家が安倍元首相だと思って、教会の会長の代わりに狙った。
 この事件の報道でまったく腑に落ちない、というより奇怪なのが、恨みを抱いた「特定の宗教団体」名を警察も報道機関も明らかにしようとしないことだ。古い自民党関係者は初めから「特定の宗教団体」とは統一教会だと見抜いたようだ。報道機関も当然わかっていたし、奈良市内の元統一教会(現在は別名)に取材もしているのに、名前を報道しない。何を忖度しているのか。
 統一教会とその政治団体である国際勝共連合が安倍氏の祖父の岸信介元首相と深い関係にあった。統一教会は1954年韓国ソウルで文鮮明が設立したもの。勝共連合は統一教会を母体に1968年韓国と日本で設立した強烈な反共主義の政治団体だ。岸信介氏が介在している。統一教会は数千人、あるいは1万人の集団結婚式を韓国で行って、適当に組み合わせた初対面の相手と結婚させるという人権侵害をくりかえしていた。多くの日本人の若者がすすんでかどうかわからないが犠牲になっていった。そして反共活動の戦士にされた若者が、自民党の議員(もちろんすべてではない)の選挙の手足として行動した。中には謀略的な行動もあちこちでやってきた。
 安倍元首相はマスコミでは保守派のといわれるが、わかりやすく言えば極右の総大将として自民党中枢を駆けのぼった。岸元首相の流れを引いて統一教会・勝共連合とは深い関係をもっていたはずだ。2,3年前の「世界平和統一家庭連合」の大会にも安倍氏はメッセージを送っていた。
 安倍氏はじめ自民党などは韓国政府と首脳会談もしないほどの対立関係にある。だが韓国生まれの統一教会・勝共連合とその実態は表に出せないほどの黒い関係があったことから、いまさらそれが表に出ては困るだろう。まして選挙の真っ最中だ。
 韓国の反共謀略団体の助けを借りて日本の政治運動をしていたということは国家の主権にかかわる重大問題ことだ。その自民党中枢が一方で慰安婦や徴用工で外交関係が寸断状態なのだから、いったいどうなっているのかといわざるをえない。
 だから、忖度するのだろう。忖度は恥ずかしいと思わないのか。



「気候危機が争点にならないことへの若者の異議申し立て」記事。出色の選挙報道記事だ。

2022年07月02日 22時42分12秒 | Weblog
 「朝日新聞」6月30日夕刊の「気候変動 なぜ問わないの」という記事は参院選関連記事の中で唯一優れたものだった。
 グレタ・トゥーンべりさんの運動に連帯したFFF Tokyoの若者が、今回の参院選で気候危機が争点になっていないこと、候補者たちの意識、理解度が貧しいことへの警鐘を鳴らしたことを報道した記事だ。
 わたしは、去年の衆院選で気候危機が争点として大きく浮かび上がるならば日本政治に光明がさすだろうと期待したが、そうはならなかった。今回の参院選ではましてウクライナ危機を奇貨として、専守防衛放棄、敵基地攻撃能力、軍事費2倍加、核共有が声高に叫ばれ、共産党、社民党以外、立憲野党の中にさえ軍事費増になだれを打つ状況だ。時流に乗り遅れるなといわんばかりの軍事大国化への動きだ。これに立ちはだかり、正気を取り戻せと闘うことさえ勇気がいる仕事だ。
 だから気候危機を争点として押し上げようという流れは弱くならざるを得ない。それゆえ、今回の朝日の若者の活動に焦点を当てて気候危機をもういちど選挙の争点として問い直そうという記事は意義が大きい。若者のこういう活動がもっと発展し、報道がこれを励ますという空気が強くなることを期待したい。





軍事費倍加・敵基地攻撃能力。お国のために全生活を犠牲にするか

2022年06月29日 12時56分49秒 | Weblog
 参院選挙予想がでている。自民党勝利、維新倍加と恐ろしい予想だ。
 ロシアのウクライナ侵略以降、日本も軍事力を強化しないとウクライナのように侵略されるという議論が自民党や維新などを中心にさかんにふりまかれ、世論が大きく軍事国家化へ動いたかのように見える。具体的にはウクライナ以前から持ち出していた敵基地攻撃能力(最近は本質が見破られると反撃能力にいいかえている)と、これを担保するための防衛費2倍化論だ。アメリカ、中国に次ぐ世界第3位の軍事大国に躍り出ることになる。安倍氏をはじめとする勢力の長年の宿願をウクライナを利用して一気に進めるということだ。
 5・5兆円近くの軍事費を2倍にすると11兆円だ。その財源をどこから持ってくるのか。考えられるのは、消費税で賄うとすれば最低2%増税だ。でなければ、医療費の本人負担を倍加する(現役は3割から6割に、年金者は2割から4割に)、年金給付の大改悪などが考えられる。いずれにしても世界第3位の軍事大国ということは、戦争準備態勢に入るということだ。日本の過去の例でも明らかなように、全国民がその生活の費用を投げ出してお国のためにささげるのだ。その決意を問うのが今度の参院選なのだと思う。しかし、岸田与党・維新らはずるい。ウクライナを見ろ、軍事費を倍加しなくてどうする、敵基地攻撃能力をもたなくてどうする、いまこそ核兵器も持とうじゃないかと恫喝をして、ここで一気に国民の了承を得たといいたいのだ。だが、ずるいのは、欲しがりません勝つまではと生活破壊前提の消費税か、社会保障破壊で予算を賄うとはいっさい言わないことだ。財源なしの大軍拡計画なのだ。安倍もひどかったが、こんなひどい話はきいたことがない。
 やられる前にやってしまえとばかりの、酔っぱらいの酒屋談義なみの宣伝が相当浸透してきた。
 だが軍事対軍事ではいずれ戦争に突き進むことは明白だ。問題はいかにして戦争を起こさないかにある。そのための平和外交を徹底できるかにある。こんどのウクライナ侵略でも欧米側を分析すれは外交の失敗がある。開戦に至る2か月間のアメリカ政府の動向を見ると、戦争になったら悲惨な人道危機に陥るという危機感をもとにした、戦争をさせない、戦争をくい止めるという必死さがなかった。戦争はアメリカにとってはありふれたこと。
 戦争をさせない、戦争を起こさせない。これが核心だ。だが今の日本の自民・維新らのいうのは戦争が起きることを前提にした対処方針だ。根本的に間違っている。憲法9条にのっとっていない。
 選挙を前に、かつてない危機的な情勢の下、軍事対軍事ではなく、いまこそ平和外交をと声高々に主張しているのが日本共産党だ。立憲民主党も軍拡にひきずられている。
 共産党の言うのは平和外交で戦争をしない地域づくりの例として東南アジア諸国連合ASEANに学ぼうということだ。かつてベトナム戦争で苦難を強いられた東南アジア諸国が、今は1年間に1000回も会合を持つ平和の枠組みをつくりあげたのだ。意見対立を戦争にもちこませない、これこそ政治の仕事だ。戦争準備は平和のためのものではない。
 ウクライナを見ろ、戦争準備をすすめよという恐ろしい流れがあるが、共産党ががんとしてこれに立ちはだかり、押し戻そうとしてきた。少しずつではあるが、押し返しつつある。でもまだまだだ。選挙の結果は政治的結論として確定する。だから恐ろしい。憲法9条平和外交の旗を高く掲げてここに多くの国民が結集するのを期待したい。




小池晃さんの街頭演説を聞いていた小学生

2022年06月06日 09時34分21秒 | Weblog
 6月4日午後、阿倍野キッズモール前で行われた共産党小池晃書記局長の街頭演説を聞きに行った。遅れて天王寺に着いた。いつもの天王寺ミオ前ではなく、近鉄百貨店の電車道をはさんで西側だ。
 着くとたつみコータローさんの話はおわり、小池さんの話が始まっていた。大型トラックの大きさのビジョンカーに、路上で演説している小池さんが大写しになっている。話は、岸田首相が防衛費の大幅増をバイデン大統領に約束したけど、その防衛費2倍増の財源はどうするのかを国会で問うた。消費税増税か、医療年金社会保障削減か、はたまた戦時国債かというくだりだった。
 聴衆の後ろを大回りで歩いていると、男子小学生二人が聞いているのを見つけた。へえ、小学生も関心をもって聞いているのか、理解できるのだなと思いながら見ていた。演説の一区切りで拍手が沸いた。すると小学生も拍手した。通りがかりで聞き入ったのだろう、二人はここで立ち去ったが、政治演説でも道理をつくしたものは小学生をも引き付けるのだと納得した。



納得した




映画「教育と愛国」をぜひ! 6月3日まで第七芸術劇場へ

2022年05月28日 11時58分54秒 | Weblog
 出遅れたがやっと十三の第七芸術劇場で斉加尚代監督の「教育と愛国」を観た。安倍政権下で強められてきた教育と教科書への権力の介入は身の毛もよだつというレベルのものだ。とくに大阪では維新の地方権力の下で学校と教員への抑圧は全国的な教育反動化の突撃隊の役割を果たした。大阪の教育実践を率いてきた中学校教員平井美津子さんへの維新系の介入攻撃、維新教育行政による弾圧。教育の条理ではなく権力に従うかどうかが基準にされる不条理。
 教科書攻撃の中で、社会科で優れた教科書をつくってきた日本書籍が倒産に追い込まれた。維新の国会質問に政府が結託して、従軍慰安婦、強制連行の記述の変更を教科書改訂の時期でもないときに無理やりさせる。ロシア的な風景だ。
 映画の中での育鵬社の歴史教科書の監修者の伊藤隆氏へのインタヴューにはびっくりした。監督の「歴史に学ぶものは何ですか」という問いに、高齢になった伊藤氏は、「歴史に学ぶものはありません」といってのけた。みずから歴史教科書を執筆し(かつては山川の、その後育鵬社の)監修している人物の発言を聞いてここまで言うかと愕然とした。彼は、「教育は、左翼でない、反日でない、ちゃんとした日本人をつくることだ」と断言した。かつての実証主義の歴史学者としての矜持も捨てて、教育反動化の旗振り役として右翼イデオロギーをまき散らすことに専心しているようだ。
 映画は7、8割方の客で埋まっていた。6月3日で終わりになる。多くの人に見てほしい。









カジノ住民投票署名の成功を願う

2022年05月27日 12時18分15秒 | Weblog
 5月25日(2022)夕方、谷町のターネンビルの「カジノの住民投票をもとめる会」に自分の分と港区の何人かの受任者の分をあわせて持ち込んだ。160人分ほどあった。うまくいくか心配していたが、しり上がりに盛り上がってきたのでギリギリ行けるだろうと思っていた。
 会の発表では15万7716筆だ。必要数14万6000を1万上回った。選管の審査では、番地に間違いがあるとか、部屋番号がないとか、その他記入漏れ箇所があるとかではねられるものがでてくるだろう。目があまり見えないという方に署名したもらったが、字が重なったり、偏が欠けていたり、誤字ととられかねないものもあったので、はねられたら残念だ。選挙の投票では、不完全な記入でも投票者の意をくんで有効票としているのだから、直接請願書名でもそう願いたい。完璧な記述ができない人も一定数はいる。記入日、住所、氏名、生年月日の4つすべてが完璧でないと有効署名とは認めないのは民主主義の道を狭めるものだ。
 愛知県で維新支部長や高須クリニック所長、河村名古屋市長らが、アルバイトを雇って佐賀県で偽造署名を大量にやったいかがわしい請願書名とはわけがちがう。ネットカジノなるものがもう広がっていることを初めて知らされた時に、その犯罪性と依存症の危険を目の当たりにして、不幸を広げてはいけないとの切なる思いで集まった署名だ。
 有効署名が必要数を超えてくれることを切に願う。

ロシア入国禁止に志位委員長も

2022年05月09日 09時51分31秒 | Weblog
 ロシアが5月4日、岸田首相ら63人の日本人をロシアへの入国を無期限に禁止すると発表した。中心は政権幹部や自民党外交防衛関係者、衆参の「沖縄・北方特別委員会」メンバーだ。官僚も同様だ。メディア関係も政府寄りの人々が並んでいる。その中で異質なのが共産党志位委員長だ。ちょっとした話題になっている。志位委員長はこの間何度も厳しいロシア批判をおこなっている。
 世間では日本共産党はロシアの仲間だと勘違いしている人がけっこういるから、驚きもしただろう。テレビで世界のありとあらゆる事象を知ったかぶりで解説している池上彰さんでさえ「そもそも日本共産党は北極星ではなく、ソ連という恒星のまわりを回る惑星でしかなかった。今の日本共産党は、惑星にもなれずに宇宙を漂っているようにも見えます」という「見解」を「朝日新聞」4月9日付けの特集記事で開陳している。池上さんの謬論にはあとで触れるとして、日本共産党はソ連・ロシアの親戚か仲間だと思っている人がいるのは事実だ。
 志位委員長と日本政府とのロシアのウクライナ侵略批判の立脚点に違いがある。志位委員長は徹頭徹尾、国連憲章違反、国際法違反の立場から批判を展開している。ロシアも常任理事国として曲がりなりにも承認している国連憲章・国際人道法を正面に掲げて追及されると正面からは反論できない。共産党の井上参院議員のNHKテレビ討論でのロシア批判にいきり立ったガルージン駐日ロシア大使は井上議員に会談を申し込んだ。駐日大使が日本の国会議員に会談を申し込んだ例を知らないが、そこでもロシアとの共通の土台の国連憲章・国際人道法からの批判に抗弁できずに本国に伝えると引き下がらずを得なかった。
 これにたいし、政府や日本政府の主であるアメリカ政府は、西側陣営の価値観からの批判が一番効き目があると信じている。政府はもう30年以上前に国連第一主義を投げすて、日米軍事同盟(安保条約さえも乗り越えた)第一主義をかかげ、価値観外交をすすめてきた。ロシアに対して国連憲章・国際人道法を押し出して批判する態度をとっていない。北方領土問題でも国際法に基づく議論をしまいままきたのでロシアに手玉に取られてきた。安倍氏に至っては27回もお食事をして「ウラジミール。君と僕は同じ未来を見ている。行きましょう、ゴールまで、ウラジミール」などと気味の悪いことばまで吐いて、結局打ち捨てられた。
 主人のアメリカも岸田氏もなぜ国連憲章をかかげてロシア批判をしないのか。アメリカが国連憲章を踏みにじってアフガニスタン・イラク侵略をしてきたからだ。いまさらロシアに国連憲章を守れとは言えない。だから西側の価値観で批判となるのだ。
 ロシアは、西側の価値観で批判されてもなんとも思わない。これに対しては大ロシア主義の価値観をふりかざす。ウクライナもベラルーシもロシアも同じ民族だ、ウクライナ政府はネオナチだと根拠もなしに反ナチを持ち出せばなんでも正当化できると思い込んでいる。
 ロシアは日本政府及びこれに近い反ロシアと見た人々を入国禁止にした。人選をした駐日ロシア大使館は、やり込められても反論できない日本共産党も入れなければ憤懣が収まらないのだろう。
 日本共産党は30年以上前の旧ソ連時代から、ソ連は社会主義ではなく覇権主義、大国主義でしかないと批判してきた。私などは若い時代からソ連とは精神的に縁を切ってきた。北朝鮮には1972年からもうこれはダメだと断を下した。
 「朝日」の特集記事の池上さんの長いインタヴュー記事には、いささか信用してきた人物だけに、乱暴な意見にがっかりした。 
 日本共産党は、日本の代表的思想家・鶴見俊輔氏によって1945年までの時代、日本の知識人にとって自分がどれだけ時流に流されたか、どれだけダメな人間になったかを知る北極星の役割を果していたと評された。(久野収、鶴見俊輔『現代日本の思想』、1956年、岩波新書)
 ところが池上氏は、そもそも北極星ではなく、ソ連のまわりを回る惑星にすぎず、今は惑星どころか宇宙を漂っているだけだと評する。だが、ソ連は日本共産党を自己の支配下に置こうと覇権主義的干渉をつづけたが、日本共産党は自主独立を貫きつづけた。ソ連のチェコスロバキア侵略(1968年)、アフガニスタン侵略(1979年)に対しては徹底批判し、即時撤退を要求した。1991年ソ連共産党は解散し、ソ連も解体した。日本共産党はこれに対し「大国主義・覇権主義の党と30余年にわたってたたかってきた日本共産党としては、巨悪の党の終焉をもろ手をあげて歓迎する」と長大な声明を発した。これをどうしてソ連の惑星といえるのか。
 ソ連共産党もソ連も姿を消したが、覇権主義と大国主義はおさまらず、いまやプーチンは19世紀的ロシア帝国の復興に必死になっている。ソ連という恒星が亡くなったから惑星は行き場を失って漂っているという例え話は、歴史事実との整合性が全くない。池上氏の妄想でしかない。
 ロシアが志位委員長を入国禁止にしたことで、日本共産党がロシアの親戚でも仲間でもないことが証明された。










春野菜を楽しむ

2022年05月05日 09時39分56秒 | Weblog
 新春以来、季節の野菜を楽しんできた。5月連休となって春野菜の季節が過ぎようとしている。
 これまでいくつかのスーパーを巡って、春ならではの季節の野菜を手に入れ調理してきた。
 まずは菜の花だ。年明け早々から各地のものが出回った。さっと湯がいておひたしに。てんぷらもよかった。
 八尾の若ごぼうはお気に入りだ。一束は量が多い。ほとんど成長していない根っ子つまり牛蒡部分から長い茎、そして緑の葉まですべてを使いつくす。根っ子はひげをこそげて細切り、茎は斜め切り、葉は縦横に適当に切る。全部を大きなボウルで混ぜる。3分の1はてんぷらに、あとは佃煮風に煮る。てんぷらは風味が抜群だ。佃煮風は味を濃くしないように注意すると、若ごぼうとして楽しめる。
 山蕗はすじを取らなくてもいいといわれるが、煮物にするには丁寧にすじ取りをした方がいい。あくをとって、4センチくらいに切る。出汁で煮て塩と少しの醤油で少し味をつける。山の風味抜群だ。
 ふきのとう。最近は栽培した形の良いつぼみ状態のものがスーパーに出た。いまはもう時期が過ぎた。つぼみを少しむいててんぷらが最高だ。ふきのとうといえば、90年代から5月連休に志賀高原に行ったとき、道端、リフトの脇などで採取してみやげにしたものだ。今は長時間運転を体力が許さずコロナの規制もあって遠い世界になった。
 うるい。3月から4月のいっとき、きれいなうるいが少量スーパーに並んだ。すぐに手が出た。出汁に少量の塩でさっと煮ると、シャキシャキして産地山形の風が吹くようだった。もう見かけない。
 タラの芽。今は栽培しているものが店に出るようになった。形までそろっている。てんぷらにする。うるいほどの喜びはない。
 こごみ。今は長い期間出まわる。てんぷらと、おひたしにして胡麻ドレッシングかな。でもワンパックの量が少ないから。
 独活。うどは春に限らず出まわるので、見かけるたびに買う。5センチに切って皮をむいて、太いところは拍子切りにしてきんぴらに。先の方と途中から伸びている芽の部分はてんぷらに。太いところを吸い物の具にするのもいい。志賀高原の帰りに高速に入る手前の農協のオランチェという店で、天然のうどをたくさん買ったことがあった。太陽をさえぎった穴で栽培するうどは色白だが、信州の天然物は全身緑だ。葉っぱも平気で伸びている。元気いっぱいだ。てんぷらにしても食べきれない。
 蕨。わらびは今が盛りだ。山に行けば取り切れないほど顔を出している。折るとポキッと音がする。店の輪ゴムの一束でも結構ある。重曹であく抜きする。重曹は何年経っても減らないが一箱置いてあると便利だ。わらびを4、5センチに切って出汁、塩、少しの醤油で少しの歯ごたえと風味をたのしむ。花かつおをかけてもいい。
 わさびの花。5月3日の扇町公園の憲法集会に行った帰りに梅田の阪急に立ち寄った。わらび一束とわさびの花二束買った。よくスーパーにあるわさび菜はセイヨウカラシナというもの。わさびの花は白い小さい花が咲いていて、茎は空洞だ。熱湯をかけて、水で冷やす。3センチに切り薄い出汁醤油をちょっとかけて食す。ほのかにわさびの味がする。
 ほのかな苦みを楽しむ春野菜の季節ももう終わりだ。夏に入っていく。








国連を侮辱するロシア・プーチン、違反しながら国連憲章に従ったという厚顔無恥

2022年04月30日 23時13分22秒 | Weblog
 グテーレス国連事務総長が4月26日ロシアでプーチン大統領と会談した。その場面は異様なものだった。例の7、8mもある長いテーブルの両端にすわる。グテーレス氏を端にすわらせる。侮辱的な扱いだ。2人での会談ならそれにふさわしい机が用意されてしかるべきだ。14、5人の会議ならわかるが、フランスのマクロン氏にも同じ扱いをした。失礼極まる対応をあえて世界に流すという根性の悪さは並ではない。
 ショイグ国防相にも7、8m対応をしていたが、マリウポリ制圧報告を受けたときは小さいテーブルをはさんで今度は近すぎると思われる距離で話し合った。相変わらず一方的にまくしたてるプーチン氏だ。プーチンは深く腰かけ、しかし右手は机の角をずっと握って離さなかった。国防相は椅子にちょこんと腰かけ頭はうなだれるような格好だ。距離は近づけてもらったが、その様子は主君と臣下の関係だということをみごとに表していた。
 4月28日、グテーレス氏はウクライナのキーウでセレンスキー大統領と会談したその日に、ロシアはミサイル5発をキーウに打ち込んだ。民間人が死亡した。この動きにゼレンスキー氏は「ロシア指導部が国連を辱めようとしている」と抗議した。まったく同感だ。国連の代表に対してこれほど失礼な、侮辱的な行為があろうか。今も国連の5大国の一角を占めていながら、もはや国連を舞台にした外交を語る資格はない。
 ロシアでのグテーレス・プーチン会談では、プーチンが指をさして一方的にまくしたてたといわれる。根拠のない、独裁者のいつもの弁舌とふるまいだ。製鉄所地下にいる市民の非難について道をつけることができたが、停戦については提案にも至らなかった。しかしグテーレス氏は、他国の領土への武力行使を禁じる国連憲章を示し、「私たちはウクライナ領土への侵攻があったと信じている」と断言した。
 話し合いは、屁理屈をならべたてて一方的にしゃべりまくれば勝ったというものではない。プーチンは「特別軍事作戦(プーチンがウクライナ侵攻をさすことば)は国連憲章に従って始めた」「東部の住民の集団殺害を止めるために(2つの親ロシア派地域の)独立を承認する必要があった」と述べた。無意味なしゃべりの中でこれは貴重な証言だ。
 特別軍事作戦は国連憲章に従って始めたとは、よくいえたもんだ。一方的な侵略戦争は国連憲章違反だとプーチンも知っていたから特別軍事作戦とごまかしているにすぎない。旧日本が英米などへのアジア太平洋戦争を「自存自衛の戦争」すなわち自衛戦争だと言いつくろって始めたのと同類だ。プーチンは東部住民殺害を止めるために独立を承認し、その「独立国」との集団的自衛権の行使だというのだ。だが待て。まずその「独立」が当事国の合意のない一方的なもので国際法的に独立国とは認められない、したがってロシア以外に承認する国もない。旧満州国のようなものだ。ありえないけれども、100歩ゆずって「独立国」との集団的自衛権が成り立ったとしても、その「独立国」への攻撃の証拠を示さなければならない、しかも国連安保理が必要な措置を取るまでの間、自衛権があるというに過ぎない、自衛権の行使でロシアがとった措置はただちに国連安保理に報告しなければならない。ロシアはこうした措置をとっていない。かってに集団的自衛権の行使だといっているにすぎない。しかもウクライナから「独立国」への攻撃があったとしても自衛権はそれへの反撃であってウクライナへ3方向から政権転覆までめざす全面戦争を許すものではない。そもそも国連憲章51条は、加盟国に対して武力攻撃が発生した場合、国連が必要な措置を取るまでの間自衛の権利があるのであって、2つの「独立国」は国連加盟国ではないし法的に独立国とは認められないものだから対象外だ。プーチンが国連憲章に従って特別軍事作戦を始めたというのはまったく成り立たない。国連憲章違反の結果しか残らない。国連憲章に従うというのなら、3月2日、国連総会緊急特別会合で141ヵ国の賛成でロシアのウクライナ侵略は国連憲章違反だと断定し、軍の即時、完全、無条件撤退をロシアに求めた決議に従うべきだ。
 プーチンのごまかしのための一方的しゃべりに意味はない。