こんにちは! ただち恵子です

政治と社会、日々の暮らしの小さな喜び。思いつくままに綴ります。

「介護報酬の引き下げ」がもたらすもの

2015-01-10 23:54:15 | 社会保障
「介護報酬の引き下げ」のニュースを聞いて「いいことだ」という、ご意見を電話で伝えてくださった方がありました。

「報酬の引き下げは、保険料や利用料の引き下げにつながるから」と。

そのように思わせる報道の仕方だと思います。


しかし、「介護報酬の引き下げ」は高齢者や家族の幸せにつながらない。矛盾をいっそう、大きくするものだと思います。そして政府の対応としては、大変無責任なものです。


介護職員の人材不足の解消のために、処遇改善加算を上乗せするといいますが、以前に実施されたように全額公費のでの「処遇改善」ではなく、一定の条件(職員の正規化など)により施設への加算となるようです。

そうであれば、特別養護老人ホームなどの基本報酬の引き下げで、良心的な経営をする施設は財政悪化し、介護労働者のいっそうの処遇後退や、利用者のサービス低下に繋がることは明らかです。


「保険料がどんどんあがるのがイヤなら、安上がりの介護を」という選択を迫るのではなく、公費で責任を持った介護労働者の抜本的な処遇改善をしなければ、問題は解決しません。


命を預かる仕事にふさわしい社会的評価と、それにふさわしい処遇を。

夢と志をもって介護の仕事を選んだ若い人たちが働き続けられる保障を。


年末の総選挙の結果、大きくなった国会議員団が、年末に厚生労働省に提出した「申し入れ」の全文は以下の通り。


介護・障害福祉報酬削減の中止の申し入れ

 来年度予算案の編成のなかで介護報酬の削減が急浮上している。

 介護事業所の3割は赤字経営であり、しかもこの間、消費税増税とアベノミクスによる資材・水光熱費等物価上昇が経営を直撃している。本来なら、介護報酬の引き上げが検討されてしかるべきであるのに、逆に、報酬削減が強行されるなら、介護事業所・施設の経営に大打撃を与え、地域の介護力の低下や介護難民の増大など、深刻な事態を招くことになる。

 介護報酬削減は、平均月収が全産業平均の3分の2水準という介護現場の労働条件をいっそう悪化させる。政府からは、人材確保に向けて介護職の処遇改善部分だけ増額するという案も出されているが、たとえ処遇改善に係る部分を少しばかり加算したところで、報酬全体を引き下げてしまえば、労働条件の悪化と介護現場での深刻な人手不足を加速させることは必至である。

 そして、介護報酬削減による介護事業所・施設の経営と介護現場の労働条件の悪化は、利用者への介護サービスの内容の切り下げ、劣悪化に直結する。国民・利用者にとっても、社会保障の重大な後退をもたらすものである。

 特養待機者が52万人を超え、現役世代の介護離職が毎年10万人にのぼるなど、「介護の危機」が深刻になっているときに、介護報酬の大幅削減を強行することは、政府としての役割を自ら放棄するものと言わざるを得ない。いまやるべきは、介護関係者はもとより、地方自治体からも強く要求されている、介護保険の国庫負担割合引き上げを行って、低所得者の利用料減免をはじめ利用者負担を抑制することである。

 介護報酬削減の動きに対して、介護事業者、労働者をはじめ、幅広い方々から危惧と反対の声がわき起こっている。障害福祉報酬も連動して下げられるのではないかという懸念も広がっている。“選挙が終われば、さっそく社会保障の削減――これが安倍内閣のやり方か”という批判も当然である。政府は、介護現場からの切実な声に耳を傾け、介護報酬削減を中止すべきである。
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