その日暮らし

田舎に暮らすこの虫は「カネ、カネ、カネ」と鳴くという。

雲と自由が棲むという里で百姓に成りきれるかな?

妖怪『キク』

2014-09-20 14:01:15 | 暮らし

儚くも さだめは定め ときを待つ (by 夢屋)

従兄『コウちゃん』の出棺、火葬、収骨、そして告別式と、別れの儀式は滞りなく進んでいく。(注;山形県置賜地方の葬儀は、告別式に先立って火葬が行われます。)予想していたとおり、彼の交友範囲の広さから会葬者の数は非常に多かった。今は亡き我が家の古老やお袋の葬儀の場合は、喪主として仕切り、緊張もしているからお客様への接待などと言うことも気が回らないのでありますが、『コウちゃん』は母方の従兄であるから、日頃、話す機会のほとんどない母方の叔母たちの昔語りに付き合う、可愛い甥っ子『夢屋』であります。

「○木家(母の実家)には三亥の女傑がいる…『オコちゃん』、『キッコおば』、『ハコちゃん』である。」と『キッコおば』が自ら語るのであるから間違いないであろう。長女の『オコちゃん』から末娘の『ハコちゃん』までふた回り24年…91歳から67歳まで、父親広助さんはよく頑張ったものだ。唯一の男児『長治さん』は、6人の姉妹に囲まれて育った訳だから、苦労も多かったろうに^^;
『キッコおば』は気も強いが、自他ともに認める美人である。「『キッコさん』は全然変わらないねぇ…何かやったり、飲んだりしてるでしょう?」『キッコおば』より20才も若いはずの姪たちの関心は、自然とそちらの方向に向いていくのであります。
「何も食ったり飲んだりしてないよ。ただ、歳だけ喰ってる。」などとシャレた切り返しなど期待するが、彼女は案の定「何もしていない」としか応えない。「こうして若い者が近づくと、その精気を吸って生きているから、近づかない方がいいよ。」などと、可愛い甥っ子『夢屋』が毒を吐くものだから、また『キッコおば』に睨まれるのであります^^;

クモの糸に絡んだ小さな「ヒシバッタ」でありますが、糸から逃れようともがくものだから、その振動が糸を伝わって傍らに待つ「ジョロウグモ」が糸を絡めに動き出す。以前であれば可哀想などという誤った考えを持って、「ヒシバッタ」を救ってやるところですが、バッタにはバッタの運命というものがあり、ジョロウグモにも生活がある。生の営みには極力介入しないことにしている『夢屋国王』であります。

『キッコさん』…決して貴女を「ジョロウグモ」に見立てた訳ではありません。さてさて、体調の戻った『夢屋国王』は、今年もお袋が残したレシピで、山形の「青菜漬け」を作りますよ。そして、送ってあげます。
「年寄りはなぁ、傍らでひっそり暮らしていれば良いんだよ。若い者の邪魔にならないように。」と語る『キッコおば』。「そうそう、年寄りと仏壇は似たようなものって言うんだよ。ありがたくもあり、邪魔ではないかと言われれば、少々邪魔ではあるってね。」(夢屋)
「よく言ったな、夢屋!その内、天上界から睨みつけてやるから…。」と毒を吐き合う叔母と甥でありますが、いつもモダンな『キッコおば』には、漬物が似合わないんだよなぁ…^^;

コメント
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