知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

日本の問題点⑤ 規制緩和ができない(縦割り行政)

2021年05月18日 | 国家論
行政学では、
 官僚組織の特徴として、権限の拡大を目的とした行動に向かう
ということを学びました。

これで、色々なことの説明がつきます。
些細なことで、法律を作りたがるのは、
 許認可の権限が欲しい、もしくは監督する部署を作りたい
からです。

免許証の更新の際、資力検査、写真撮影、講習など色々な手続が盛り込まれ、
 手数料を払う
ことになります。

飲食店ビジネスをする場合、
 様々な法律により、
 保健所の検査があったり、
 衛生管理者としての免許を取得したり、
 テナントの防災管理者の講習を受けたり、
やることがたくさんあることに気がつきます。

正当な理由に基づいて許認可や資格取得が要件となっていることもありますが、
 一度できたものは、そこに既得権益が生まれる
ので、
 なくなることはありません。

こうやって権限を拡大し、規制がたくさんでき、
 縦割り行政に応じた独立行政法人が、社会を網羅する
ようになると、
 国民の自由、事業のスピード、コストを奪う
ことになります。

自転車事故が増えることで、自動車のみならず、自転車の強制保険ができたり、
 自転車の車検制度ができる
おそれがあります。

階段の崩落による死亡事故が起きたことから、
 車検と同じように、アパート、マンションの所有者には、
 設置物の点検義務を義務づける法律ができ、
 国土交通省が所管する独立行政法人建物検査機構ができ、
 建物検査機構が認定した建物安全管理の資格を有する建物安全管理者による検査を2年ごとに義務づける
というような感じです。

実際に、火災報知器の検査は、防災管理者による検査が義務づけられています。

そういう法律ができると、アパートの所有者は、自ら建物安全管理者の講習を受け、資格を取得するか、
 建物安全管理者に検査料を払う
必要が出てきます。

天下り官僚は、運営を外注に丸投げし、手数料収入と税金によって運営し、
 多額の報酬と退職金を取得する
というわけです。
目的は、このポストです。
ちなみに、高級官僚は上のポスト、
国家二種などの国家公務員でも講習員や運営スタッフのポストを得ることができます。
実際に、厚生労働省は、労働環境について、安全管理者の講習を所管しています。

問題は、規制は増えることがあっても、なくすことはできない。
独立行政法人などを解散する必要が生じるからです。

今の日本は、戦後75年の間に膨大な法律ができ、規制や資格が誕生していますが、
 規制の見直しなどの本格的な改革が行われた
ことはありません。

誰もやりたくないからです。

規制緩和ができない理由に、
 縦割り行政の弊害
があります。

縦割り行政は、
 省ごとがいわば派閥のようになっていて、権限拡大のために闘争をしている
ということです。

コロナ対策がうまく進まないのも、
 拡大防止は厚生労働省
 鉄道は国土交通省
 施設は文科省
 経済対策は経済産業省
 労働者・貧困対策は厚生労働省
 給付金は定額給付金は総務省、持続化給付金は経済産業省
 中小企業対策は中小企業庁
 GO TOトラベルは国土交通省
 GO TOイートは農林水産庁
 具体的な施策は都道府県を管轄する総務省
と縦割りで、決定されるわけです。

緻密な配慮などできません。
というか、他の省庁を利することや、負担をかけることは、許されない。
なんで、あの省庁の権限が増えることをするんだと、省内で批判されたり、
うちは聞いてないので、協力しませんと、実行を妨害されたりするからです。

戦争で負けたのも、陸軍と海軍とで権力闘争が行われ、
 国益に適った戦争終結ができなかった
ためです。

各省庁は、予算をぶんどることや、権限を拡大すること、
 理想は、コロナが終わっても生き残る独立行政法人を設立し、未来永劫予算や手数料を獲得できるようにすること。

独立行政法人を設立できれば、再就職のポストがいくつか増えるからです。

縦割り行政でみんなの意見が一致するのは、
 すでにできた規制はなくさないようにしよう
ということです。

この点については、みんな諸手を挙げて賛成します。
どこかの省庁が、
 国民のためには時代に応じた規制改革が必要だ
と言い出した場合、
 全官僚の裏切り者と認定される
ことになるはずです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする