知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

グローバル化と保護主義化2

2020年05月14日 | 国家論
お金を儲けるには、
 安く作って、高く売る
ことが重要となる。

イギリスによるインドの植民地政策のころから変わっていない。
プランテーション農業も同じ。

プランテーション農業とは、
 自国に輸出することを目的として現地に農園を開き、
 現地住民を安い賃金で働かせる
という農業。

 かつては、黒人奴隷などを働かせていた
わけですが、
 現在は、労働賃金の安い国の労働者を利用する
ということで、
 仕組みとしては同じ
です。

もちろん、
 労働者の給与が適切に支払われ、労働条件が適切であれば、
 仕事を創出してくれる
こととなるため、感謝される存在となる。

グローバル企業が、
 人件費の安い国に工場を建て、生産コストを抑えたい
というのは、
 価格競争力をつける
ためのもの。
つまり、
 よいものを安く買いたいと消費者が望んでいる
ということに、帰結する。

これは、消費者のメリットになっている。

グローバル化がもたらす側面として、
 ・一部の企業に国家権力を越える権力を与えることになる
 ・先進国の空洞化と発展途上国の経済成長(工場の移転)
 ・格差の拡大と固定化(国家による是正措置が働きにくい)
が挙げられます。

中国が台頭した理由も、
 安い人件費と膨大な労働人口
 都市機能・港湾設備などインフラ整備
 外国資本を受け入れやすくするための制度(受け入れやすく逃げにくい)
ということ。

安く作るには、人件費が安いことや、容易に労働者を集められ、
 他国に輸出しやすいように道路や港湾などのインフラが整備されており、
 社会保険料、税金などのコストができる限りやすい
ことが重要であり、
 その国が環境に優しいとか、人権保障をきちんとしているかなどは、考慮にならない
わけです。
むしろ、
 環境に優しい、人権保障を徹底している
とすると、
 環境税や、労働法制による労働者保護により、コスト高になる
ため、
 懸念事項
となるということです。

中国はこれにより、キャッシュを手に入れることができた。
これが、経済成長を支えることになる。
経済成長により、余力ができれば、国民にお金が回り、
 教育や生活水準の向上による民主化が図られる
と思っていたところ、
 余力は、野望の実現のための軍事予算と国民を監視するためのITに回る
ことになる。

中国の急成長による覇権国家への野望
 一帯一路構想 
   中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行) 
   港湾などの担保実行(租借地)
 IT(5G HUAWEI)による世界監視システム
   技術流用
 学者への資金提供(研究利用)
 孔子学院(親中派の育成)
 留学生(技術流用)
 メディア対策(内からの支配 広報戦略) 

2018.12.7 日経新聞
中国製造2025
中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が掲げる産業政策で、2015年5月に発表した。
次世代情報技術や新エネルギー車など10の重点分野と23の品目を設定し、製造業の高度化を目指す。
建国100年を迎える49年に「世界の製造強国の先頭グループ入り」を目指す長期戦略の根幹となる。

IT企業、自由主義、自由貿易促進(世界貿易機関 WTO)を利用する中国。
アメリカの国民は、
 格差が拡大し、自分が貧困層に陥りつつある
ことに気がつく。

中国の成長と共に、自分たちが貧しくなっていると気がついた人々は、
2つの動きを見せ始めます。

一つが、
 保護主義化(アメリカファースト)→トランプを応援する 2016 トランプ大統領就任
 敵である中国を叩いて、仕事を取り戻すことを解決方法と考える。

もう一つが、
 左派政党の支持
 金持ちから税金を徴収するか、国債を発行して、自分達にばらまくことを解決方法と考える。

左派政党は、
 国家権力により、強者から税金を取って、弱者に分配せよ
という
 福祉主義政策
を掲げています。

この福祉主義政策を推し進めていくと、
 強者から、すべてを奪って、みんなに分け与える
という共産主義(社会主義)へと移行することになります。

共産主義国家は、
 国家権力が強くなり
 官僚が国民を支配する
ということになります。

他方、
グローバル社会に歯止めをかけ、保護主義化し、 
 規制を強化し、自国の利益を守る
ということを徹底する場合も、
 国家に権力を認める
ということにつながります。

つまり、いずれも、
 国家権力の強大化
につながるというわけです。


歴史の大きな流れから考えてみると、
 なるほどな
と言う気になると思います。

各地方の部族が小競り合いをして
 戦争が絶えない時代。

その後、強力な王が登場する。
王は、再度、戦乱の世に戻らないよう、権力の承継による国家の維持を考える。
それが、王権神授説。

諸侯から権力を奪って、
 国王の権力は神が与えた神聖なものである
という王権神授説を唱えて
 国家権力が血統に基づく揺るがないもの
として固定し、
 絶対王政を築く。

王が死んでも、王の血統が継ぐことになる。

しかし、
 権力は必ず腐敗する
ため、
 長期政権により、既得権益や略取が横行し、
 富が偏在する一方で、貧しい民衆が増えていく。

民衆の不満がマックスに達すると、
 自由を欲する民衆によって、革命が起こる。

ここで、社会契約論。
権力は、国民が王に契約により委託したものであり、
 王が社会契約に違反した場合は解除できる。

今の王は、腐敗し、国民の権利を守るという社会契約を履行していないのであるから、
 解除する。
これが、革命の正当性の根拠である。
この理念により、
 自由主義に基づく近代憲法
が作られた。

憲法は、
 国民の権利を守るためのものである
という社会契約の根幹を法文化したものであるため、
 権力を制限する
という役割を担うことになる。

自由主義のもと、規制がなくなり、
 資本家が富を独占するようになる。

再び、既得権益や略取が横行し、
 富が偏在する一方で、貧しい民衆が増えていく。

民衆の不満がマックスに達すると、
 自由を欲する民衆によって、革命が起こる。

これにより、
 社会主義政権が誕生する。

これが、ソ連。

社会主義は、
 国家が政策を立案し、経済を動かす
ことになるため、
 非効率的でイノベーションが擱きにくいため、
 お金と欲望のため努力をする市場原理に敗れた(ソ連崩壊)。

革命まで行かなくとも、
 大多数の貧しい人の不満が投票行動に現れると左派政権が誕生する
ことになる。

左派政権は、
 国民の声に従い、お金のばらまき(財政出動)を余儀なくされる
ため、
 国家財政が一気に悪化する。

また、不満のはけ口として、大企業や富裕層が狙われることになり、
 結果として、経済も悪化していく。

これが、現在の韓国。


ちなみに、中国は、
 社会主義市場経済
と言われています。

全人代(中国共産党)による5カ年計画に基づいた国家運営という点で社会主義であるものの、
 市場経済が導入されている
ため、
 新自由主義的な超格差社会
が生まれているというわけです。

格差の拡大と国民の不満については、
 強力な国家権力と監視によって制圧する。

つまり、
 革命が起こらないよう、権力が徹底的に武力を行使する。


日本の場合は、
 社会主義的な民主主義国家。

今回のコロナや、東日本大震災のときに露呈したように、
 実際に権力を持っているのは官僚組織
であり、
 議員自体はお飾りにすぎない。
国会では、官僚が作った原稿を一生懸命に読んでいる。
おそらく、あまり理解できていない。

官僚組織は、GHQという国体の崩壊時(八月革命説)でも、生き残った。

つまり、
 不満のはけ口を政党に向けさせ、政権交代で国民の不満を和らげる。
しかし、
 実際は、自らの権力を奪われないようにし、
 陰の権力者として存在している。


話をグローバル化と保護主義化に戻して、
グローバル化による格差の拡大と国民の不満を
 グローバル化に歯止めをかけて、
 仕事を創出して暮らせるようにする
と約束するのが、
 保護主義化
ということです。

つまり、
 グローバル社会により格差の拡大(固定化)
が進むと、
 権力により制圧する独裁政権(中国、ロシア コロナ告発の医師が不審な飛び降り自殺)
か、
 左派政権(ばらまき、大企業潰し 韓国)
 右派政権(保護主義化 アメリカ)
で対応することになるというわけです。

日本の場合、
 安倍政権は右派と言われていますが、政策自体は、公明党の影響もあり左派に近い。
日本の場合、
 韓国と異なり、国際通貨の発行権限があるため、
 国債発行を行っても、直ちにインフレや財政破綻のリスクが低い。
そのため、
 国債発行により、財源を確保し、有権者にばらまいて、不満を抑えているにすぎない。


この点、アメリカは確実に右派です。
トランプの特徴は、
 減税
 自国への工場誘致
 関税
 安全保障費用の負担(世界の警察から世界の傭兵へ 「守って欲しければ金を出せ」) 
 米中貿易戦争(ルールを守らない相手への制裁措置 知財、情報の盗用、ダンピング)
 新型コロナ責任追及

独裁、左派、右派という見方で、
 国家の運営を見ていくと、クリアになってきます。

ただ、それでも、
 現在は、安全保障と環境の問題
 国家に匹敵する企業の登場
で、
 ややこしくなっていきます。
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