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Killing Jesus

2018-06-27 15:34:57 | 書評
"Killing Jesus" は Fox News Channel の人気キャスターだった Bill O'Reilly と Martin Dugard の共著で、史実に基づいた内容が売りの "Killing" series の一冊である。

「史実に基づいた」が、イエスについて歴史的な視点から勉強したい私には殺し文句。

イエスに関しては、基本的には新約聖書の内容と被るのだが、イエスが起こしたとされる奇跡等が間接的にしか記述されていないので(そのような噂があった史実が存在するのだろう)宗教的な臭味が無い。

イエスの事を勉強し始めると、必然的にイエス誕生前のローマとユダヤ人の歴史を学ばざるを得ない。シーザー、クレオパトラ、ブルータスたちが、イエスの登場に陰影を与えていることに、驚きと自分の無知さ加減を思い知らされる。

なぜ磔になったのか、なぜ安息日の一日前の処刑なのか、それらに必然性を知ることで、イエスを身近に感じることが出来、裏切者ユダにさえ親近感を覚える。

さて、キリスト教への帰依は三位一体を信じるかどうかに掛かっているのだが、いまだに理解出来ないのでいる。信仰に理屈っぽさはいらない。どの宗教にもある受け入れがたい戒律と共に、敷居を高くしている。

キリスト教への傾倒に影響はなかったのだが、イエスの生き方には大きな感銘を受けた。

キリスト教の教えが、宗教としてではなく社会規範として、私の価値観に大きな影響を与えていることは否定出来ないが、特定宗教ではなく、神の存在を信じるだけの宗教観で生きていける気がする。シンプルなユダヤ教(具体的に何を言っているのか自分でも不明だが)が性に合っている気がする。

翻訳本は出版されていないようだが、お薦めの一冊。


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