YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

Fracking

2011-12-10 17:43:08 | 化石燃料、エネルギー関連
日本語でもシェールガスのニュースを頻繁に見る様な気がする。

アメリカでは、この10年でアメリカ国内の生産量は5倍でになっているし、莫大な埋蔵量があるし、石油に比べて価格も安定的に安くなっているので、エネルギー自立の可能性と相まって、経済的にも政治的にも良いこと尽くめな感があるのだが、採掘が環境に及ぼす影響に対する懸念が出てきている。

の問題である。

固い岩盤に閉じ込められたシェールガスの存在は以前から知られていたが、フラッキングと呼ばれる技術が開発された事で、一気に採掘が進んだ。(NY Green Fashion というサイトの記事『水道の蛇口からガスが出る?水圧破砕法(ハイドロ・フラッキング)によるシェールガス開発の危険性』、採掘方法や問題点、上手くまとまっている)

基本的には、2つの問題がある。

まず飲み水の問題。アメリカの田舎は上水施設の普及が低く、井戸水の所が多い。天然ガスが存在する岩盤は、その井戸水の水源より遥か深い所にあるのだが、当然水源をパイプが通る事になる。因果関係はハッキリとはしていない様だが、汲み上げた水から、フラッキングに使用される化学薬品が検出されるとしている。(『米ワイオミング州の水汚染はフラッキングに関連か』(オリジナル記事は、"EPA Ties Fracking, Pollution" (12-9-11))


また、天然ガスが溶け込む事があり、蛇口から出る時に気化して(?)、ライターを向けると火をを吹いたりする事がある様だ。

このイラストの "Aquifer" が、帯水層と呼ばれる地下水がある所。(これを見る限り、化学薬品が漏れ出したり、天然ガスがとけ込んだりするのは難しそうだ)



もう1つは、フラッキング用の水の確保の問題。テキサス州とかの南部で乾燥地帯では、フラッキング用の水の確保自体が問題になっている。採掘井戸1本当たり 6M Gallon (1,585 ㎥)の水が必要である。因に、640エーカー(1 square mile)で20万ドル(約 1,600 万円)のコーンを育てるのに 407M Gallon (107,516 ㎥)が必要らしいが、これだけの水があれば、$2.5 B (約 2,000 億円!!)のガスがとれるそうだ。

水の争奪戦が激しくなると予想されている。

また、フラッキングに使われた水は、ガスと一緒に上がってきて再利用されるのだが、循環する度に化学薬品の濃度が高まることや地表で漏れだす事の心配もある。

この化学薬品の開示は(企業秘密扱いという事で)義務付けられておらず、懸念を拡大する要因になっている。(上のリンク記事で、『ブッシュ政権時の2005年に制定されたエネルギー政策法により、(飲料水安全法の)規制から水圧破砕法を除外する旨の改正が加えられたのです。
当時副大統領だったのは、天然ガス掘削設備を製造するハリバートン社の元CEO、ディック・チェイニーであり、現在この法律は「ハリバートンの抜け穴」とも呼ばれています』とあり、怪しげな展開になりそうである)

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Willy)
2011-12-12 14:31:22
確かミシガンはUPを除くほぼ全域にoil shale があったような。安全上の問題はあるでしょうが、州の復興に少し期待してしたりもします。

環境汚染の問題と、既存エネルギー源の所有者からのロビー活動は区別が付きにくく、素人には判断が難しそうですね。
返信する
Oil (ysJournal)
2011-12-12 20:48:16
煩雑になるので、天然ガスでしか書きませんでしたが、この技術 Oil にも使えます。(原理的には同じなのでしょうが)

もし、Oil で、井戸水に染み出す事例がないとすると、天然ガス採掘だけを問題にするのは、根拠が薄い様な気がします。

現在、ワイオミング州で騒がれていますが、地盤構成などの特殊要素が原因だとも言われているようです。
返信する

コメントを投稿