YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

Quality Time

2010-03-08 02:05:28 | 雑記
もう10年以上も前に、知人宅でのホームパーティーで、ミシガン大学の大学院で哲学を専攻している人と会話した事がある。東洋思想に興味があるという事で、「竹林の七賢」等の話をした事がある。東洋思想との関係は明らかではないが、奥さんは日本人だった。

哲学的ではある(?)が下世話な私が、大学院で哲学を学んで将来何になるのかという質問をしたところ、アンラッキーな人は教授などのアカデミックな職しかないが、ラッキーは人はタクシードライバーになるとの回答をもらった。良く考えられた古典的な答えではあるが、真理を突いていると思う。(多分この手の質問は多かったのだろう)

先週はオハイオ州へ一泊二日、インディアナ州へに日帰りと、車の出張ばかりで、約1,100 マイル(1,700 キロ)(時間にして15時間位)運転した。

私の車にはサテライトラジオが搭載されていないので、受信状態の良い地元の放送局を探しながらの運転となる。中西部は山が無いので、受信状態は悪くなく、自分好みの放送はだいたい見つけられる。でも、最近はローカルラジオ局も経営が難しく、独自のパーソナリィエィが減ってきており、全国放送のディストリビューターみたいになってきている。以前はスポーツ系が好きだったのだが、最近は、ニュースや政治系の放送を聞く事が多くなった。聞き方もいい加減になってきており、雑音が入ったりすると聞くのを止める事も多い。

レンタカーでサテライトラジオが装着されていると、同じ局をどこまで聞けるので便利は良いのだが、意外な番組や放送に出会う面白みが無く、飽きる事も多い。そんな時は 80's POP (私にとっての懐メロ)に逃避する事にしている。

中西部や南部でのドライブは、フリーウェイでオートドライブをセットしてオートパイロット状態なので、頭はほとんど使う必要が無い。ラジオが流れていても頭が空っぽになっている事がある。

こんな時間こそが、Quality Time、私の哲学的な時間である。

この頭が空っぽな状態が、とっても貴重である。日常生活の中で、ボーとしていられる事は先ず無い。いつも何かを対象にして頭を使わざるを得ない状態ばかりである。

哲学を研究した人の様にタクシーを運転しながら思考は深まらない(?)が、覚醒しているのに頭脳ををあるがままにしていられる。こんなに贅沢で幸せな時間の過ごし方は他には無いと思う。

氷河が削った中西部の大平原とサテライトラジオも付いてない車に感謝している。

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6 コメント

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ワーキングメモリ (Drなかがわ)
2010-03-08 23:12:38
>覚醒しているのに頭脳ををあるがままにしていられる
脳内には自動処理するためのワーキングメモリという機能が前頭葉に備わっている。例えば、15%以下の頻度で出現する微妙な変化にだけ反応するとかその逆に歌詞のあるBGMや会話騒音であってもそれを無視して読書にふけるなどの情報処理に使われている。
運転は、五感を使う。しかもハイウエイ走行は五感への負担をできるだけ少なく自動処理するようにしないとつかれてしまうからその程度は顕著である。
脳の自動情報処理として五感すべてが奪われているとき、それでもヒトが自在に操れるのは、哲学する脳 思索する脳だけである。
ただし、不自然な座位を求めるようなあるいはあまりに手足の動きを必要としない、つまり路面との対話が得られない車の場合には、哲学以前の問題が生じてしまうだろう。
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お久しぶりです (ysjournal)
2010-03-09 02:13:10
Drなかがわ様

今の車(2008年 フォード トーラス)の乗り心地ぐらいが、私にとってはちょう良いようです。

ワーキングメモリの件、ちょっとだけ調べてみたのですが、今一分かりません。もう少し考えてみます。
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working memory (kaetzchen)
2010-03-09 14:55:31
>ysJournal さん 今日の中国地方は大雪で,私も腹下しで早退しました.

Drなかがわ さんの書き込みに付け加えると,前前頭皮質に任意の単位で蓄積される記憶 (メモリ) は,あたかもPCの内蔵メモリのように有限かつ少量でしかなく,それが記憶として大脳に残るかどうかは年齢や訓練によって変わるという,60年代の理論がもとになっています.

という訳で,science についての専門家でない ysJournal さんはあまり難しく考える必要はないかと思います.

要するに,Drなかがわ さんは auto drive モードであっても,自動車のコンピュータに運転を任せっきりにせずに,運転に集中しないと怖いですよという意味で書かれたのではないかと思います.私たち専門家って,深夜に眠くなったりして集中力が落ちたりすると,ついつい専門用語を振り回して相手を混乱させてしまうことがありますから.救急ゲンバにいた私は患者さんのご家族に病状を説明する時,できるだけ権威を持ち出さずに不安を取り除くくせがついています (だから精神科の研修も一通り受けています).
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そういう考え方好きですね (Lilac)
2010-03-10 16:44:04
哲学者の欲しいのは地位やお金ではない。
考える時間と考察対象なんでしょうね。
アカデミックな職なんて、授業もあるし、学生の面倒も見ないとならないし、学内の雑用(Faculty会議など)もあるしで大変。
タクシーの運転手なら、都市の様子を見ながら、色んな人に会い、思索の時間もある。
なるほど。
でも本を書く時間はあるかな。

アメリカって、本を音読したCDとかPodcastが良くありますけど、こういうときに使うんですね。
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確かに地位やお金は要りませんね (kaetzchen)
2010-03-10 18:30:36
>Lilac さま

>アカデミックな職なんて、授業もあるし、学生の面倒も見ないとならないし、学内の雑用(Faculty会議など)もあるしで大変

そうそう(泣) 非常勤だから雑用とか学長選挙から逃げられているけど,常勤になったらと思うとぞっとします.それに私は学問などとっくに捨てたゲンバの技術屋ですし.

でも,田舎だと嫌でも目立つんですよね.院生たちにラテン語やギリシア語を教えていると,何でそんなの覚えないといけないんですかって屁理屈を言われたりして困っています.若い内は目先の技術より科学の哲学を覚えて欲しいって親心が通じないようです.(愚痴ってごめんなさい)

そいえば,日本でもオバマ氏の演説CDは結構売れていますよ.<「英会話」教材として
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人それぞれ (ysjournal)
2010-03-10 21:14:10
Lilac様
最近、運転中の Texting 禁止になってきておりますが、アメリカ人私のボスは、お構い無くやりまくっております。一緒に出張して彼が運転すると生命の危険を感じます。

この辺は、個人的な資質(彼はせわしなく、頭がいつもくるくる回るタイプで、未だ30代半ば)もあると思います。彼は、考えたい人のようです。


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