無知の知

ほたるぶくろの日記

芽吹き

2020-03-14 21:23:01 | 日記
閉塞感があります。人々が思いっきり笑ったり、動いたり、好きなことを好きなだけできる「自由」を感じられない。

心理的にはすでに「緊急事態宣言」状態なのかもしれません。

ということもあってなのか、昨日の夕方、品川駅の光景はちょっとびっくりしました。
エキナカで男の人があっちでもこっちでも列を作っている。

なんだ? と訝しく思いつつ、私も夕飯のための買い物にエキナカへ突入。
すると、頭の上に大きな看板が
「White day! 3.14」

あー、ホワイトディ。 凄い人の列で、もちろん皆さん殆どの方はマスクを装着。
まあね、そのくらいはしたいですよね。


そして先日は別のびっくりが。
覚えていらっしゃいますでしょうか、正月明けにバッサリ切られた街路樹。

ひょえ〜と思っていました。一体どうやって回復するんだろう。
回復できるんだろうか?と大変心配しておりました。

で、先日のことです。
ばっさりやられた木の部分になにやら緑が見える。


おや、むむむ



おぉ、新芽が出ていました!

こうやって、わーっと新芽が出てくるんだ、と明るい気持ちになりました。

春が来た、と思ったことでした。

簡易検査キット

2020-03-13 07:46:35 | 生命科学
クラボウが輸入するそうですね。

ガイアの夜明け(3月10日放送)で日本のベンチャーが開発中との放送もあったと今朝知りましたが、抗原を手に入れるところで頓挫していた様子です。

中国でどの程度このキットが使われているのかは知りませんが、正式な検査法として導入されているのか調べてみました。

環境感染学会のHPに
<中華人民共和国国家衛生健康委員会>
がありました。

これによれば検査法としては2種類上げられています。

-------(抜粋)---------
(1) Pathogenic findings: Novel coronavirus nucleic acid can be detected in nasopharyngeal swabs, sputum, lower respiratory tract secretions, blood, feces and other specimens using RT-PCR  and/or  NGS  methods.  It  is  more  accurate  if  specimens  from  lower  respiratory  tract (sputum  or  air  tract  extraction)  are  tested.  The  specimens  should be  submitted  for  testing as soon as possible after collection.

(2) Serological findings: NCP virus specific IgM becomes detectable around 3-5   days after onset;  IgG  reaches  a  titration  of  at  least  4-fold  increase  during  convalescence  compared  with the acute phase.
-----------------------(ここまで)

(1)で通常のリアルタイム RT-PCRを上げています。そして(2)で抗体の中の一つの種類IgMの検出を上げています。先日のhiさんがご教示くださった記事の抗体検査はこれを使ったものだったかもしれませんね。

IgMの検出とありますが、クラボウのキットの写真にもIgMの表示が見えました。
一応中国では正式に使用されているものではあるようです。

ただ、おそらく『抗体検出』のみではなくPCRも併用しているのではないか、と思います。

ちなみにCDCでの検出法は今でもリアルタイム RT-PCR法となっていました。
感染研も同じくです。

厚労省がこの抗体検査をどう扱うのか、注意したいと思います。

追記:この抗体検査はイミュノクロマトなので、全血が使えるようです。遠心などによる血清分離は必要ありません。

イタリアがんばれ

2020-03-10 07:30:05 | 日記
昨年の暮れに、東京駅で
EATALY
を見つけて狂喜乱舞していた私。

大のイタリアファンです。

ジャンドゥーヤも売ってます〜 ヨーロッパ風に量り売り!


ヨーロッパにいた時、フィレンツェ、ローマ、バチカンを訪ねました。
懐かしい想い出です。

いつかはミラノとナポリに! と思っていました。

どうしたことでしょう。
本当に哀しい事態です。

イタリアがんばれ!

抗体の検出キット誕生なるか?

2020-03-09 23:13:54 | 生命科学
今日の日経に次の記事がでていました。

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新型コロナ、ウイルス抗体を検出 横浜市立大
2020/3/9 16:49

横浜市立大と横浜市は9日、新型コロナウイルスのウイルス抗体の検出に成功したと発表した。血清を使って免疫反応を調べることで、感染者の血液に含まれる「抗体」の有無、分量が検出できるという。検出法は2種類で、最短15分程度と短時間なのが特徴だ。インフルエンザの検査キットに似た簡易検査キットの開発などに役立てる。

横浜市大の梁明秀教授らの研究グループが日本医療研究開発機構(AMED)や関東化学などと連携して開発した。同大がコムギの胚芽を用いた合成技術でウイルスが持つ「抗原」というタンパク質を作れるようになったため、抗原との免疫反応により抗体があるかを調べられるようになった。

検出法は血清を垂らせばリトマス試験紙のように15~30分で感染の有無がわかる「イムノクロマト法」、約2時間30分で抗体の分量を測定する酵素免疫測定法(ELISA)の2種類。感染者が免疫反応によって抗体を作るのに数日かかり、感染から数日が経過していれば検査できるという。

現在実施されている「PCR検査」は6時間程度かかるため、新たな検出法の実績を積み重ね、医院などでも使用可能な検査キットの開発などに役立てる。横浜市の林文子市長は9日の記者会見で「感染は世界的に拡大している。できるだけ早期に実用化していただきたい」と述べた。
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先日hiさんのご質問に答える中で、今後の可能性として、「抗体」検出による感染の判定法について書きましたが、既に研究がなされていたようです。

どのような抗原かは企業秘密でしょうが、検体が血清であることから、RT-PCR法と比較して、感度が上がると思います。しかも被験者の負担も少ない。

まだ、本格的な稼動までにはいくつかのハードルがあると思いますが、是非使えるものにして頂きたいと思います。

大いに期待致します。

新型コロナウイルスに関わる陰謀論について

2020-03-08 08:43:33 | 生命科学
先日、私の記事に一瞬表れていたコメントをご記憶の方もおられるでしょう。多分そこに書かれていた内容について気になっている方も多いかと。

そこで、折角ですので、この機会に「ある種の典型例」として取り上げさせて頂こうと思います。コメント主の方には大変申し訳ないのですが、お名前は伏せさせて頂きますので、コメントを利用させて頂きたいと思います。

別の見方をすれば、私のコメント主の記述に対する返答、とも言えますでしょう。

さて、件のコメントは次のようなものでした。

「素晴らしいまとめですが…ちょっと残念に思うことは、
コウモリやハクビシンのウィルスが変異し人へうつる、との
説?の根拠です。・・・(中略)・・・第一、コロナも誰かが2018年すでに特許を取っているとか(数人ネット情報)、主犯は分かりませんが…仕事人は日本にもいる等、実名入りで載っていましたよ。
インフルエンザとHIVのウィルスを合体させる等、
遺伝子組換えのプロ中の、
プロしか出来ない高度な裏術
です。
コウモリ⇒変異⇒人は、歴史を都合のいいようにネジ曲げたと同じように、
私は真逆ではないかと思います。・・・云々

まず最初。
  • ちょっと残念に思うことは、・・・・(中略)・・・・説?の根拠 
「SARS, MERSがコウモリを起源とし、それぞれ自然変異を経てハクビシンやヒトコブラクダからヒト界へ入ってきた」という説は、遺伝子配列の分析など多くの論文としての根拠もある説であり、後に再度述べますが専門家の多くが同意しています。

逆に何を根拠に疑問だ、と主張されるのでしょうか?具体的に説明頂きたい。どのような反論をされるのか非常に興味があります。

  • 第一、コロナも誰かが2018年すでに特許を取っているとか(数人ネット情報)
ネット情報の裏は取ったのでしょうか?「ネット情報である」ということは根拠になりません。この部分特に悪質です。特許の事実はありますが、全く別の目的です。こちらに詳細な検証その解説があります。是非お目を通して頂ければ幸いです。

  • 遺伝子組み換えのプロ中のプロしかできない高度な裏術
とはどういうものを言うのでしょうか?こう言われるからには、「遺伝子組み換えのプロの技」がお分かりになるはずかと思います。詳細に説明頂きたい。

  • コウモリ⇒変異⇒人は、歴史を都合のいいようにネジ曲げた
とのことですが、何を根拠にそう言われるのでしょうか?これも説明頂きたい。


今回の「新型コロナウイルスが人工物である」という言説に関してはNature誌などでも明白な反論が行われています(詳細は後掲の解説を参照)。またHIVとの関連云々については先日の記事でもデマであることを書きました。

この小さなコメントに対する反論や「なぜこの新型コロナウイルスが自然物と考えられるのか」を説明するにはかなりの時間を費やすことになりますし、何よりも専門的な基礎知識を土台とした議論となるため、一般の方に明確に説明するためには、それこそ数年かけて遺伝学、分子生物学を学んで頂く必要があります。

そこをどう乗り越えるのかは、生命科学者としての私の能力を超えるものがあり、大変憂慮していました。

そんな中、今回「東洋経済online」に良い記事が書かれているのを見つけました。かなり長い記事ですが、是非ご一読頂きたい。素晴らしくよく説明されています。

この記事について分かり難い部分がありましたらお知らせください。
できる限り説明させて頂きます。

そういうことで私は結論のみ書かせて頂きます。

1)新型コロナウイルスは完全に自然の産物である。
2)新型コロナウイルスはHIVウイルスとは関係ない。


本来、ウイルスへの対策に邁進しなくてはならないはずの研究者がこれらのデマへの対応で時間を浪費し、疲弊します。それはすなわち、ウイルスへの対策がさらに遅れることを意味し、社会的な損失を招いています。

今は様々な情報がネット空間に漂っています。今までは大学や研究室の内部について窺い知ることもできなかったのに、それについての情報も出されています。それは素晴らしいことです。

しかし、だからこそきちんとした情報をつかまえ、己の考えをまとめきる「力」が必要な時代となっています。

公の場所に何かを書く場合、必ず責任が生じます。個人の自由な意見表明だから、とおっしゃられると思いますが、その意見が「デマ」であったり「社会不安を煽る」ものであったり「他を誹謗中傷する」ものであった場合、訴訟の対象になります。

先日のコメント主におかれましては、ご自分のやっていることは愉快犯を通りこした犯罪であることを認識して頂きたい。

根拠のないデマを拡散することは止めてください。