無知の知

ほたるぶくろの日記

食べ物のこと

2012-03-10 17:08:12 | 日記
先日の朝、目の覚めたばかりの頭にふと浮かんだのは、昔は腸内細菌が土壌とヒトの消化器との間をぐるぐる循環していたのだろうな、ということでした。想像しますとちょっと美しくなかったりするのですが、この微生物循環はきっと生物にとって重要なものなのかもしれないとおもいました。自分が住んでいる環境にうまく適応するためにはその土地の微生物を体に入れることが重要だということです。腸内で微生物同士のあいだでの有用酵素遺伝子の水平伝播もあるでしょう。その土地に住む方々と微生物をシェアするのです。俗にいう『水が合う』というのは、その土地の『微生物が身体に合う』と言い換えられるのかもしれません。

そんなことを考えていて、ドイツに住んでいたときのことを思い出しました。あちらでお世話になったドイツ人のおばさまと、クリスマスからお正月にかけて四泊五日で旅行に行ったときのことです。普段私は一人で暮らしていましたから、大体和食が基本の毎日を過ごしていました。それがドイツ人の方とドイツの民宿のようなところで四日を過ごしたのです。食事も完全にドイツ風の日々が続きました。三日目くらいまではなんとかなっていたのですが、その後はどうも食が進まなくなってしまいました。そして帰ってきてから、顔に発疹が出て、乳製品全てが食べられなくなってしまったのでした。どうあっても食べたくないのです。ひたすらごはんとみそ汁、のような生活を1ヶ月ほど続け、やっとまたヨーグルトやチーズ、生クリームなどが食べられるようになったのでした。

幸い顔に出た発疹は一週間くらいで収まりましたし、その後は健康には別に何の変化もなかったのでしたが、貴重な経験でした。食べるものというのがこうまで健康に影響するものなんだと改めて認識させられたのでした。特に、決して贅沢な食事ではなく、ドイツ人のごく普通な『健康的な』食事だったのにこうなったということ、が私にとってはかなりショックでありました。こうまで日本人であったのか~ とてもドイツに定住はできないな~ と思いました。

きっと乳製品をきちんと消化し、解毒する酵素系、腸内細菌類が弱いのだと思います。身体の中に何かが溜まって行くような感じでした。それが一気に顔に吹き出てきたように思いました。私は若いときに何度か酷い蕁麻疹や貨幣状湿疹のようなものを患ったのですが、一度は顔にもでたことがありました。体感的にはそのときの感じに似ていまして、ちょっと困ったなと思ったのでした。いったんその湿疹が始まると約一年くらいは完治しないからです。しかし、和食に戻ることができたので、一ヶ月でなんとかなったのではないでしょうか。あのままドイツ食を続けていたら病気になっていたと思います。ドイツの水が合わなかったのでしょう。しかし、その一方でときどき患うことのあった湿疹はドイツでは一度もおこらなかったのです。それはまさにドイツならではの乳製品多めの食生活と食材に多いカルシウムのせいかと思っています。日本に帰ってきて、なんとなく怪しい感じがするときはカルシウム剤などを摂ったり、チーズを摂ったりしていますが、なんとずっと酷い湿疹になることはありません。つまり、要はバランスとそれぞれの身体の作りに合った食事、ということになりましょうか。こんな経験をしていますと、どの食べ物は身体に良いとか悪いとか、なかなか難しくて言えません。あくまでも、それぞれの人の身体の状況で日々変化するのだと思います。

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