無知の知

ほたるぶくろの日記

文化を生きる

2018-03-04 15:10:21 | 日記

先日の『慶長遣欧使節の謎に迫る』は面白く拝見しました。

支倉常長のどこまでも真面目な、力を尽くす姿勢には感銘を受けました。あの時代のスペインの権勢はすごいものがあったでしょう。その中心へ真っ直ぐに向かい、外交もこなした。

まずメキシコに行き、そこからスペインへ。さらにイタリアへ。総勢200人近かったようですから、かなりの大所帯。しかも戦国時代の最後、キリスト教禁教が徐々に実効性を持って来る時代でした。その中で洗礼を受け、キリスト教徒として生きると誓った。帰ってきて交易に成功したにしろ、失敗したにせよ、家の断絶との取引で出かけたこともあります。どのような扱いになるのかは未知であったでしょう。

その中でも誠意を尽くした。

もう一つ感銘を受けたのは、スペインの地方の教会や古文書図書館の様子。文献や過去の文物がよく整理され残されていることに文化の高さを感じました。世界史のある時期、確かに世界一の富を誇った国であったことが分かります。なるほどな、とおもいました。

彼らは今、政治的にはかなり引いた立場に甘んじていますが、不満には思っていないでしょう。彼らの様子を観ていると、彼らの先祖が築いた膨大な文化的遺産を整理し、研究することに一生懸命です。そして先祖の偉大さに心うたれているようです。

日本もだんだんとそういうフェーズに入って行くのだろうか、とぼんやり思っていました。

これからの日本のあり方について、どのようであるべきか、ありたいか、最近常に考えているのですが、やはり、ヨーロッパの国々過去の覇者の現在のあり方は参考にせざるを得ません。そして実際にそれらの国々を見つめるとき、その大変に豊かな文化的あり方に心を打たれるのです。

もう、狂騒(競争)の時代は終わったのだな、と静かに思います。