読書:『万年前座/立川キウイ』

2009年12月07日 23時40分07秒 | エンタメのかけら

本文中にも出てくるが、
キウイさんは談志師匠の命で
古舘さんについていたことがあった。

その当時、
落語に関する知識ゼロの僕が、
ひょんなことからある落語家さんの仕事を手伝うことになり、
キウイさんから何度も資料をお借りした。

そんな縁とよぶにはあまりに細い縁もあり、
最近出たこの本を読んだ。

内容を書いてしまうのは野暮なので省くが、
これを原作にコメディ映画が1本できるのではないか。

それにしても本書を読んでつくづく思ったのは、
よく16年も前座が続けられたということだ。

未来になんの保障もないまま、
16年という時を生きる。
そんな生き方、普通はできない。
少なくとも僕にはできない。

だから、そんな生き方ができるのも、
一種の「才能」ではないか。
そう思ったのだ。

宇治:片翼の鳳凰

2009年12月07日 22時48分10秒 | 旅のかけら

宇治の平等院に行き、
10円玉でおなじみの景観を眺めていたら、
「シャッターを押してもらえませんか」
母娘で観光に来たと思しき二人にそう頼まれた。

旅先で写真を頼まれるのが苦手だ。
だから一人旅の時は、
「俺に頼むな」という雰囲気を発散するようにしているが、
今日はそのスイッチが入っていなかったのだろう。

鳳凰堂をバックに並ぶ二人に向けてカメラを構えると、

「入りますか?」

鳳凰堂は鳳凰が翼を広げたような形をしている。
だが、通常のデジカメで人物の顔がわかるように撮るとなると、
中堂とどちらか一方の翼廊しか入らない。

その旨を伝えて、
片翼の鳳凰をバックにシャッターを押した。

最近、写真を頼まれるのがさらに苦手になったのは、
デジカメだとすぐその場で写真をチェックされてしまうからだ。

だから返したカメラを二人が確認する前に、
足早にその場を立ち去った。

今の時代、太宰治の小説のような真似はもうできない。