終電後のLUUP

2024年07月18日 15時20分04秒 | ホラーのかけら
近所の酒場で怖い会話を聞いた。
 
 
男:この前、新宿で終電逃しちゃって、
  いつもはタクシーで帰って来て、
  5000円ぐらいなんだけど、
  息子に「LUUP使えばいいじゃん」って言われて、
  使ったら、500円で帰れた。
 
女:それいいー。今度やる私も!
 
男:ベロベロの時はダメだよ。
 
女:ベロベロになんかならないもん!
 
男:これだから酒が強い奴は…。
 
 
 
明らかに、
酒を飲んでいて、
終電に間に合わなかった時を想定している会話ですね。
 
真夜中に走っているLUUPの運転者、
こういう人もけっこう多いのでは。
 
本人が事故るのは知ったことじゃないけど、
巻き込まれる可能性があるから怖い。

車窓の古書店

2023年09月30日 17時38分34秒 | ホラーのかけら

 

上りの南武線が武蔵溝ノ口駅に到着する直前、

右手に、アーケードのある商店街が見える。

 

 

商店街といっても、今や店の大半は飲み屋だ。

 

 

母親が溝の口の病院にしていた十数年前、

そこに1軒の古書店があった。

 

 

先日、歯科医院に行くため南武線に乗ったところ、

一瞬、あの古書店が見えた。

 

 

「まだあったんだ」

 

 

というのが正直な気持ちだった。

 

 

近々行かねばと思っていたが、

なかなか時間が取れず、

今日ようやく行くことができた。

 

このアーケード街の中ほどだったはずだ。

 



昼過ぎだったので、大半の飲み屋はシャッターを下ろしている。

 

 

3分もかからずアーケードを通り抜ける。

 

 

古書店はなかった。

 

戻ってみる。

閉まっているシャッターもしっかり確認する。

 

 

やはり古書店はなかった。

 

 

ネットで調べると、すでに閉店していた。

 

 

車窓から見えた、あの古書店はなんだったのだろう。

 

僕の願望が、今はなき古書店のまぼろしを見せたのだろうか。

 

火災と老婆

2023年02月26日 09時01分02秒 | ホラーのかけら



四方からサイレンが聴こえてくる。

消防車が集まってくる。

黒煙が上がるのが見えた。

火災だ。

消防車が通り過ぎた道沿いの喫茶店から、
老婆のグループが出て来た。

「どこかしら?」
「ウチだったら泊めてね」

一同、静かに笑う。

若者たちがこの会話をしたら、
不謹慎に感じるところだが、
上品そうな老婆たちだったので、
なんともいえないおかしみがこみ上げてきた。

面白がっている場合ではないのだが。

でも、面白いものは面白い。




人を斬った刀

2022年05月14日 12時19分28秒 | ホラーのかけら
家人が幼い頃の話だ。

刀の手入れをしながら祖父が言った。

「これは人を斬った刀だ」

家人が覚えているのはそれだけだ。

それからしばらくして祖父は亡くなった。

その刀がどのような由来のものかわからないが、
近所の好事家に頼まれ、譲ることになった。

しかししばらくすると、その好事家は亡くなり、
刀は家人一族に本家に戻ってきた。

そのまま家に置いておくのも、
なにか気味の悪い感じがしたので、
近所の寺に預かってもらうことにした。

しばらくすると、今度はその寺の住職が亡くなった。

寺が預かり続けるのを拒んだのだか、
本家側が引き上げることにしたのかは不明だが、
またしても刀は戻ってきた。

今もその刀は本家にあるという。

いつ頃のものなのか。
誰が作ったものなのか。
専門家が見れば、わかるかもしれない。

僕が携わっている番組に出演してもらい、
詳しく調べることができないかと提案しているのだが、
残念ながら、今のところ断られている。

調べてみたいなあ。

最愛の自転車

2022年01月02日 12時49分00秒 | ホラーのかけら
酒場で聞いた話だ。

彼は中学生の頃、
自分の自転車をとても愛していた。
「さゆり」と名前をつけたほどだ。

彼は毎日のように「さゆり」に乗った。
「さゆり」の手入れをした。

何度か「さゆり」が盗まれたことがあった。
でも必ず見つかった。
空き地に放置されていたところを発見されたこともあった。
なぜか「さゆり」のライトを点灯し、
日暮れになりそれが目撃されたのだ。

しかし、彼の恋人ができた。
デートに自転車は不向きだ。
彼が「さゆり」に乗る機会はめっきり減った。

しばらく時が経ち…。

ひさしぶりに彼は「さゆり」に乗った。
だが、走り出すことはなかった。
またがると、突然サドルが折れたのだ。
普通ではありえない壊れ方だった。


路上の飯ふたたび

2021年10月11日 19時51分11秒 | ホラーのかけら
以前、路上に白飯の塊があったことを書いたが、
その後また、別場所で同じような白飯の塊を見つけた。
しかも、この一ヶ月の間に二度も。

ゴミ捨て場を漁ったカラスが落としたにしては、
整った形状。
謎は深まるばかりである。

この話をしたところ、
知り合いからこんな見解が出てきた。

「野良猫を殺生するためではないか」

飯の中に毒を混ぜているのではないかというのだ。

そんな事件が過去にあったのだろうか。

知り合い曰く、
「今後も続くようならば、役所に連絡した方がいいよ」

彼の見解も単なる推測だ。
裏をとったものではないが…。

もうしばらく様子を見ることにしよう。

封印された門

2021年09月11日 10時44分54秒 | ホラーのかけら

 

蔦に護られた門。



何かを入れぬためか。

それとも、

何かを出さぬためか。



妄想は膨らむ。

盲腸の音

2021年06月17日 07時49分57秒 | ホラーのかけら

知人の母の話だ。



真夜中に腹痛を訴えた。


救急車を呼ぶべきか迷っていると、
母親が言った。



「今、音がした。盲腸が破裂する音がした」

にわかに信じがたい話だったが、
すぐさま救急車を呼び病院へ。



診察の結果、
たしかに盲腸は破裂しており、
緊急手術となったそうだ。



盲腸が破裂する音…


本当に聴こえるものなのだろうか。

曲がった首

2021年02月10日 08時35分24秒 | ホラーのかけら
知り合いの知り合い、つまり僕は直接知らない人の体験談である。

北関東の片田舎の夜道を友人たちとドライブしていた時のことだ。
勢いづいて、酒が入っていたのかもしれないが、
道を外れて、草むらに突っ込んでいった。

草をかきわけるようにして、なんとか進むうちに、
何かにぶつかったような衝撃があった。
しかし、外に出て確認することなく、通り過ぎ、家路についた。

車を運転していた彼に最初の異変があったのは、翌朝のことだ。
首が曲がっている。
正面を向こうとしても痛くて向くことができない。

家族も出払っていたので、仕方なく一人で病院に行くことにした。
首が曲がった状態で車を運転するのは危うかったが、
車でなければ病院に行けないような場所だ。

県道を走っていると、次の異変が起きた。
前を走っているトラックの荷台から金属製品が落ち、
彼の車めがけて飛んできたのだ。
幸い車をかすめただけだったが、
直撃していたら大きな事故になっていたはずだ。

その後、病院で検査を受けたが、特に首には異常は見られなかった。
ただただ首が曲がっている。
精神的なものではないとも言われた。
しばらく様子をみるしかなかった。

釈然としないまま病院の建物を出た時、次の異変は起きた。
車寄せのところに立っていると、タクシーが突っ込んできた。
今回も寸前のところで衝突を避けることができたが、
危ないところだった。

なにかある。

そこからどういう経緯でそうなったのかは、知り合いも詳しくは知らないのだが、
霊能力者に見てもらうことになったという。
一連の出来事とここ数日の行動を話すと、
霊能力者は、あの夜、車が何かにぶつかった場所に原因があると言い出した。

半信半疑で、あのとき一緒だった友人たちと再び草むらを訪ねた。
車が草をなぎ倒した跡があったので、
目的な場所まで行くのは、容易だった。

あの時、衝撃を感じた場所には、古い地蔵が倒れていた。


祟りというものを僕は信じていないが、
こういう話を聞くと、もしかすると…とも思う。

何かが来た

2020年12月29日 08時58分41秒 | ホラーのかけら
午前4時、
ふと目を覚ますと、
隣のベッドで眠っている家人が、
唸り声を上げている。
そしてその直後、
なにやらぶつぶつと呟く声がしばらく続いた。

寝言か。

翌朝、
「寝言を言っていたよ」
と指摘すると、

「何かが来たの」

あの呟きは、その何かを祓っていたらしい。

というか、何かってなんだよ!

我が家、大変なことになっています。

意外な頭痛の原因

2019年12月11日 08時46分23秒 | ホラーのかけら

知り合いの体験談だ。

ある時、頭痛に襲われた。
そこでロキソニンを服用。
すると、頭痛は無事おさまった。

しかし、翌日、また頭痛が復活。
ロキソニンを飲む。
頭痛がおさまる。

そんな生活が1ヶ月ぐらい続いた。

さすがに心配になり、頭痛外来に行くと、

「ロキソニンを止めなさい」

医師曰く、
体がロキソニンを求めて、
頭痛を引き起こしているというのだ。

鎮痛剤中毒の禁断症状が頭痛?

それから二週間、ロキソニンを断った。
それは辛い日々だったという。
床に這いつくばって頭痛に耐えた日もあったそうだ。

しかし、二週間が経とうとする頃、
次第に痛みが弱まってきて、
最終的に頭痛はおさまった。

医師は言った。

「あなたはこの先、もう一生ロキソニンは使わない。
 そういう心構えでいて下さい」

着信アリ

2019年11月30日 23時07分09秒 | ホラーのかけら

家人がひとりで家にいた時のことだ。

どこかで携帯が鳴った。

自分のスマホは手元にある。

僕が忘れたのかと思い、
連絡がきたが、
僕は忘れてはいなかった。

じゃあ、あの音はいったい?

実は一週間ほど前に叔父が亡くなった。
身寄りがないため、
僕が遺体の引受人となり、
病室から遺品を持ち帰ってきた。
その中に携帯があり、
電源が切られていなかったのだ。

いったいどこから電話があったのか。

後で確認すると、
かかってきたのは「0120」から始まるフリーダイヤル。

それにも関わらず、
「こうてい」
と相手の名前が残っていた。

叔父が登録してあったのだ。

こうてい?

皇帝、校庭、工程…。

なんだ、「こうてい」って。

折り返しかけてみるべきかどうか、迷っている。

浸水・・・カビの恐怖

2018年12月27日 08時26分48秒 | ホラーのかけら
大水で床下床上浸水の後、
一番厄介なのは「カビ」だという。

素人考えでは、
たとえ床上浸水したとしても、
最悪、壁や床を張り替えれば、
構造部分はそのまま再利用できる、
つまるり「ビフォーアフタ」レベルのリフォームをすれば、
なんとかなるのではないかと思ってしまうが、
必ずしもそう上手くはいかないという。

よく乾燥させたつもりでも、
水分が残っており、カビが発生。
それによる健康被害が出ることがあるそうだ。

見えないところでカビは大量発生している。

ボランティアの女性が、
床下にたまった泥出しの作業をした時の話だ。

長時間の作業を終え、
宿舎でようやくシャワーを浴びると、

「髪を洗ったら、水が緑だったんだよ」

緑の原因がカビなのかコケなのかはわからない。

ヘルメットをして作業をしていたにも関わらず、
床下にビッシリ生えた緑の何かが髪に付着していたという。

怖い話だ。

動じない子ども

2018年07月21日 09時10分19秒 | ホラーのかけら

子どもを抱いた母親とその夫が、優先席に座った。
すぐに子どもが泣き出す。
座るのが嫌だったのだろう。
しばらくあやしていたが泣き止まず、
仕方なく母親が再び席を立った。

その直後、怒声が聞こえてきた。

「今、うるせえって言っただろ?」

夫が優先席の端に座っていた老人を怒鳴りつけていた。

「赤ん坊が泣いてうるせーって言ってただろ」
「言ってないよ」
「そういう目で俺を見てただろ!
お前も泣かせてやろうかっ!」

恫喝する夫の腕を、「止めないよ」と妻が引く。

するといつの間か泣き止んだ子どもが言った。

「なんで怒ってるの?」
「お前が泣くからだろ」

一連の光景を見て、夫にも老人にも思うことはあるが、
一番怖かったのは子どもの様子だ。

なぜ、平然としている?

父親があんな大声で突然怒鳴りだしたら、
普通、自分が叱られているわけではなくても、
もう少し動揺するはずだ。しかしその様子はまるでない。

なぜか?

おそらく見慣れているのだ、父親が怒鳴る姿に。

「なんで怒ってるの?」

そう考えると、
無邪気な子どもの姿が、だんだん怖くなってきたのだ。

侵略者:ナガミヒナゲシ

2017年05月13日 00時03分49秒 | ホラーのかけら






「ナガミヒナゲシ」のことは最近知った。

驚異の繁殖力で在来植物を脅かしている「外来種」である。


この事実を知って家の近所を見ると、
いたるところにナガミヒナゲシがある。



いつの間にこんなに増えていやがったんだ!



だが一番怖かったのは、
意識するまで気づいていなかったことだ。



視界には入っているけど認知していない。



そういう人も意外と多いのではないか。



ここでSF的妄想が広がる。

 

 



彼らは侵略者なのだ。

増え続け、ある臨界点を越えたところで突然変異を起こす。

香りの成分が人間を含む高等生物にとって猛毒になるのか。
花粉が神経組織に寄生するのか。

 

そんなふうに考えて見ると、
路傍のオレンジの花がやけに不気味に見えてきた。