江戸切子の職人さんに話を聞く機会があった。

彼曰く、江戸切子の職人には「眺めて美しい切子」を作る人と「使う時、美しい切子」を作る人がいる。

ちなみに、その人は「使う時、美しい切子」を作る派。

たとえばグラスやぐい呑なら、
指にしっくりくるように模様を彫り、
口元に持ってくるその角度で見た時、
一番映えるように作るという。

ちなみに、陶磁器は使えば使うほど味が出るものもあるが、
ガラス器は使えば使うほど古ぼけていくので、
残念ながら陶磁器のようにはいかないそうだ。

この二週間、テレビはソチ五輪まみれだった。

しかし中継以外の場所で、オリンピックの映像を使うのには、いろいろ決まりがある。

競技映像の使用できる時間は、一番組○分と定められている。
だが、競技後の選手のインタビュー映像は、これに含まれない。
と、いろいろ難しい。

たとえば、フィギュアスケートでキスアンドクライで結果が出るのを待つ映像は競技映像と見なされる。

リンクでは競技が行われており、時どき、リンクの様子が映るが、
その脇で選手を終えた選手にインタビューしている映像はグレイ。
使用可能か不可能か・・・状況に応じて日々変わるので、いちいち確認しないといけないらしい。

そんなこんなでスポーツ番組以外の現場も大変だったソチ五輪もようやく終わった。
だけど、しばらくはその余熱がテレビ界を温め続けそうだ。

荒木町の居酒屋で飲んでいたら、
隣のテーブルから「小山薫堂」という名前が聞こえてきた。

集っているのは、五十代と思しき男性三人と女性が一人。
マスコミ関係ではない様子。

「あのお酒が好きな人ね」

と誰かが相槌を打つ。

たしかに薫堂さんはお酒が好きだと思うが、
そんなことまで一般の人に知れ渡っているのかと驚いていると、

「BSで居酒屋の番組やってるよね」

それは、吉田類さんではないか？

小山薫堂と吉田類。
どういう勘違いなのだ。

さらに別の人は、
その番組のことを「麻雀放浪記だっけ」って言ってるし。

酔っぱらいの戯言のようにも思えるが、
最初に薫堂さんの名前が出た時、
「くまもん」と言うのが聞こえたんだよなあ。

なにがなにやらさっぱりわからない。

六本木のイタリアンに行った。

前菜が千円前後、メインが二千円前後。
安くもなければ高くもない。
よくあるイタリアンである。

喉が乾いていたので、最初はビールにしようと思った。
メニューを見ぬまま、
「ビールは何がありますか」
と尋ねると、店員が答えた。

「ウチは金麦だけなんですよ」

『金麦』はビールじゃないないよ。

たぶん、この手のことをやっている店はたくさんあると思うが、
正直に『金麦』と言ってしまうあたりは、まだ良心的か。

あとで見ると、メニューにはちゃんと「ビール」と書かれていた。

ダメじゃん。

特番の会議で、司会者案を出しあっていた。

「三宅さんはどうかな？」

という意見を聞いたADがホワイトボードに書いた。

「三宅久之」

なぜ、そんな間違いをする？

こちらの三宅さんはバラエティ番組の司会はやらないし、
そもそも、もう亡くなっているし。

しかし、よくその名前が出てきたと、逆に感心。

東京近郊に住む某有名人。

時々、テレビでその広い住まいを披露しているが、
ロケに行ったスタッフによると、

「普段はあんなに片付いてないんですよ。
　ロケ前にスタッフ総出で片付けるんです」

なるほど。

自宅ロケに応じるのは、掃除のためであったか。

ADの面倒な仕事の一つに、
打ち合わせの日程調整がある。

プロデューサー、ディレクター、構成作家、
単発の番組で、しかも最初の会議の日程決めは、困難を極める。

こういう場合、たいてい、

「再来週のスケジュールを教えてください」

というメールが来る。

しかし、この後、２パターンある。

「再来週のスケジュールで大丈夫なところを教えて下さい」
「再来週のスケジュールでダメなところを教えて下さい」

後者の尋ね方をされると、がっくり来る。

ダメなところがたくさんあるから返事するのが面倒というのもあるが、
あまりに自分本位じゃないか、という気がしてしまうのだ。

僕の場合の尋ねられ方の理想は、
「再来週のスケジュールで大丈夫なところを２、３ケ所教えて下さい」

そう言われれば、２、３ケ所、空いている時間を伝える。

さらに理想を言えば、それに対する返信は翌日中ぐらいまでに欲しいのだけれど。

知り合いが、
都知事選の投票所の管理人をやっていたのだが、
締め切り時間が来て、
票の入った箱をしかるべき場所に運んでいる車の中で、
「当確」のニュースを聞いたと言っていた。

また長年、国政の選挙事務に携わってきた方によれば、
投票事務を終え、開票事務に移ろうとした矢先に、
毎回、テレビで「当確」のニュースをやっていると言っていた。

よくよく考えると、なんかちょっとおかしなことになってはいないか

ネット＝世間ではない。
過去何回の選挙で、それはよくわかったはずだ。

今回の都知事選で熱くになっているあなた！

あなたの周囲はどうだろうか。
親、兄弟、配偶者、恋人、友人。
聞いてみたら、意外と温度が低いのではないか。

だったら、「一緒に投票に行こう」と誘ってみたらどうだろう。

一人では面倒な投票も二人ならもう少し気軽に行くことができる。

明日明後日が雪ならば、
帰りに暖かい何かを飲み食いすることを糧に出かける。
そんな週末も悪くない。

一人で熱くなっても、そこから得られるものは限られている。
大切なのは、その熱を傍らの親しい人に伝えることではないだろうか。

ここ数回の選挙の前に、必ずそう思うので、記しておく。

恵方巻きが全国区になったのは、
セブンイレブンが売りだしたから、
というのはWikipediaにも載っている話だが、
この件についてセブインレブンに取材しようとすると、
断られるという話を聞いた。

なぜだろう？

先日オンエアが終わった『世界ふしぎ発見！』のスタッフから、
番組の完パケDVDが送られてきた。

こちらからお願いしていないのに、
完パケを送ってくれること自体、珍しい。

DVD本体にも、
番組から切り取ったいくつかのシーンがプリントされており、
なかなか凝っている。

しかし一番驚いたのは、
ADさんの手書きの礼状が添えられていたことだ。
（ちなみに礼状の便箋も、
　番組ロゴなどをプリントしたお手製！）

放送作家の仕事を２０年以上やっているが、
こんなことはほぼ初めてに近い。

その制作会社の社員教育の賜物か、
それともそのADさんの個人的な資質かはわからぬが、
素晴らしいことだと思う。

こちらから催促しないと、
１ケ月経っても２ケ月経ってもギャラの話すらしてこない方々に、
見習ってほしいよなあ。