近所のイタリアンで一人の夕食をとっていると、
隣の席のカップルの男が、
彼女がトイレに立った隙に、
「バースデーデザートを」
とシェフに頼んでいた。

お、サプライズか。

彼女がトイレから戻って来てしばらくすると、
シェフがデザートの皿を運んできた。

そして、そのデザートは・・・。
え？
隣ではなく別のテーブルのカップルのもとに。

呆然とする隣の席の男。

すると、再びシェフがデザートを持って現れ、
隣の席においた。

「実は、今日、お二方、お誕生日だったんです」

なんという偶然！
これがアメリカあたりなら、
この偶然に双方盛り上がるかもしれないが、
日本だと微妙な空気が流れる。
隣の男にしてみれば、
なんとなくネタばれしてしまったようで、
彼女の驚きも今いちだし。

これもまた、
日常のささやかなコメディ。

深夜に飲食店に入ったら、
メニューに「今日のおすすめ」という欄があった。

美味そうな料理が並んでいるので、
その中から注文すると、

「すいません。今日、もう終わっちゃったんですよね」

これが２回続いた。

なぜ、もうないものを「おすすめ」する？

メニューを渡す際に、
これとこれはもうないと教えてくれるか、
あるいは、メニューそのものに表示しておいてくれてもいいではないか。

おすすめにふられた時ほど、
虚しいものはない。

自分が逆の立場であれば、
この気持ち、わかると思うのだが。

我が家にあった、
生協のカタログを見ていたら、
こんな商品があった。

「アンパンマン　こうや豆腐」

高野豆腐といったら、
年寄りくさい食材のひとつ。
そんなところにまで進出するとは・・・アンパンマン、恐るべし。
これで、高野豆腐の消費層の拡大を狙っているに違いない。

靴を買いに行く。
渋谷のセンター街にある、
大きな靴屋に。

気に入ったデザインのものがあったので、
「２６．５」
という自分のサイズを出してもらう。

「すいません、２６．５は切らしているんですよ」

しばらく待たされて、そう言われる。

仕方ない。
再び店内をさまよって、
別の靴を見つけ、２６．５を出してもらう。

今度も、２６．５は売切れだった。

この店とは相性が悪いと思い、
近くにある似たような店に入り、
そこで見つけた靴の２６．５を出してもらう。

嫌な予感がしたが、
やはり今度も２６．５は売り切れだった。

決して買うことのできない、２６．５の靴。


それはさておき、
靴屋でサイズを探しに行く時の、
あの待たされる時間はなんとかならないものか。
待たされてあればいいが、
ない時はかなり消耗する。
２回も続けば購買欲はゼロになる。

なんとかならないものか。

渋谷にある某デパートのエレベーターに乗ろうとすると、
２基あるエレベーターが、両方とも５、６階から上昇中だった。

「これだから古いエレベーターは」

そう不満を漏らしていると、
ふと、壁に貼られたハリガミが目に入った。

「当エレベーターは、各階の待ち時間を均等にするため、
コンピューターで制御しています」

え？

そう驚いた瞬間、
２基のエレベーターのドアが、
ほぼ同時に開いたのだった。

なんだよ、それ。

コブシメ

そんな名前のイカがいる。

コブシメ。

なんと美味そうな名前なのだ。

生物の名前ではないが、

ユビキタス、

という言葉も、
何となく美味そうな響きだ。

いつも思うのだが、
試着室の中は暑すぎやしないか。

狭い空間なので、
どうしても熱がこもる。

しかも、試着という作業は意外と体を動かすので、
気がつくと、汗がひと筋流れている。

もっと快適な試着室にできないのか。

レジを打ち込む手元が、
明らかにおぼつかなかった。

「１６１０円です」

そう言われたので、
２０１０円出した。

店員がレジを打つ。

「１」

２０１０円出したのに、いきなり「１」だ。
明らかに間違っている。

しかし、店員はそのまま１０１０円と打ち込んで、
ようやく気づいた。

「あ」

あわてて、間違って入力した金額をクリアして、
再度、金額を打ち込んでいく。

「３２２０円」

どうやら先ほどの金額が消えていなかったらしく、
加算されてしまったようだ。

一瞬、固まった店員は、気を取り直して、店主に叫ぶ。

「すいません、また、間違えました！」

「また」なのかよ。

「響きますよ」

首や背中を揉んでもらっている途中で、
マッサージ師がそう言った。

響く？
どういうことだ？

次の瞬間。
猛烈な痛み。

痛痛痛痛痛痛痛！

これが「響く」という事態なのか。
それにしても、何がどう響いているというのか。

今日、初めて耳にした謎の言葉だった。

溺死体は、指先がブヨブヨになっており、
通常のやり方では指紋がとれないという。

では、どうするのか。

まず、注意深く、死体から指紋部分の皮をはがす。

で、はがした皮を自分の指にかぶせ、
まるでハンコのようにして、
指紋をとるそうだ。

まあ、また聞きのチシキだが。

「ここで止めてください」

そう言ったその場所に停めることができず、
タクシーはさらに数メートル進んだ。

と、メーターがあがった。
まあ、よくある話だ。

だが、珍しかったのは、
メーターがあがる直前に運転手が、

「あ、あがっちゃう！」

そう、漏らしたこと。

そして、それはやけにせつなそうな声だったのだ。

放送禁止用語以外にも、
テロップで出す際に、
注意が必要とされている言葉がある。

たとえば、「子供」はＮＧ。
「子ども」でなければいけないそうだ。

最近、知ったのは、ある局では「次男」がＮＧ。
「二男」でなければいけない。

どうして「次男」ではダメなのか？
そう尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「”次”ってことは、”先”があるだろうってことになるからだってさ」

わかったような、わからないような。

いや、全然、わからん！

でも、次男はダメなのだ。

相変わらず腸の按配が悪く、
胃腸科に行く。

で、点滴を打つことになった。

「塩分やアミノ酸、そういったものの点滴、ま、味の素だよ」

おそらくアミノ酸なども入っているため、
成分が味の素と似ているところからきた医者の定番ギャグだと思って、
説明を聞いた。

そして、いざ点滴。
黄色い液体の入ったビニール袋を見ると、
そこにはこう書かれていた。

「ＡＪＩＮＯＭＯＴＯ」

そうか、点滴も作っていたのか。

１年半ぶりに人間ドックに行くことになっていた。

３ケ月ほど前に予約したのだった。

だが、人間ドックをあさってに控えて、
激しく嘔吐と下痢。

こんな調子で検査したところで、
まともな結果などでやしないだろう。

どうしたら、いいのだ？

とりあえず明朝、病院に電話して相談する。

会議室に入ると、
なんと半数がマスクをしている。

風邪なのか。
花粉症なのか。

この時期のマスクマンたちは、
その見極めが難しい。

できることなら、
花粉症のマスクマンには、
そのマスクに「花」のマークをつけてほしいものである。