米銀行ってナニ?
ラオスにあるアメリカの銀行ってこと?
チャイまんがな、コメ銀行でんがな。
本書によれば、ラオスに米銀行なるものがあるらしいんですな。
ラオス 豊かさと「貧しさ」のあいだ―現場で考えた国際協力とNGOの意義 | |
クリエーター情報なし | |
コモンズ |
著者は女性で、JVCというNPOに所属し、20代でラオスに派遣されて農業支援にあたったとかですが、行く決意したというだけでもかなりすごいです。
JVCってどんな団体?
で、本書に、コメ銀行なる仕組みが紹介されてます。
まあ、仕組みは簡単で、銀行なんですが、お金を貸すのではなくて、コメを貸す。農家は、田植えの時期が一番忙しいが、その時期には、手持ちの米が底をついていて飢えてしまう。それで、ビンボーな農家は、他人の田植えを手つだって小銭を稼いで飢えをしのぐが、自分トコの田植えができない。で、ますます貧しくなってしまう。
という悪循環を断ち切るために、考案された仕組みで、皆で米を供出しあって、困った人に利子を付けて米を貸す。それで持ちこたえながら、田植えをする。
利子率は、村で話し合って決めて、
たまった利子は、道路を治したり、村の公共事業に充てる。
ポイントは、お金じゃなくて、お米を貸すという点ですな。
半分、自給自足経済みたいなところでは、お金を借りるより、コメを直接かりる方が現実的だ、というわけで。お金を借りても、それで米を買いにいくことになるんで、じゃあ、最初からコメにしとけよ、ということ。
こういう、貨幣経済以前の段階での金融(ってのも変ですかね)をみていると、個人向けの消費者金融が、本来どんな機能を持っているのか、ということがなんとなくわかるような気がするんですな。
これが、コメでなくて、お金でやっているのが、マイクロファイナンス、と言えるかもしれません。
マイクロファイナンスも、実際のところは、牛や鶏をあらたに仕入れて事業を始める、という事業資金よりも、次の収穫までのつなぎ資金として借りられることが多い、とかいう指摘を読んだことがありますが、
食いつなぐという目的なら、お金じゃなくて、コメでも良いわけですな。
貨幣があって、中央銀行を中心とする銀行システムがあって、金融市場があって、金利で市場が均衡して、みたいなのは、我々にとっては自明な存在ですが、
そうじゃない世界も存在する、と言うことで。
金融以前の金融。余計なものを全てそぎ落として、お金さえ無くしてみて、果して本質としてはナニが残るのか。
コメを貸す。
シンプルで良いですねえ。
こっちはユニセフ版の米銀行の説明ですが、
ユニセフ 米銀行ができて
ラオス北部にあるサンキン村は、米銀行ができる前は、村の71%が1年に5~7ヶ月も米不足に苦しみ、100%の高利で米を借りていました。2003年にユニセフの支援で5トンの米が支給され、村人は米不足の時は10%の利率で米銀行から米が借りられるようになりました。2003年4月に50世帯が米銀行から米を借り、収穫後の12月には利子も含めて全てが返済されました。米銀行の収益は、経済的に困難な状況にある20人の女の子の支援や、村の学校の改修、学校用の教材の購入などにあてられました。
米銀行ができたことで、村人の生活には余裕ができました。100%の利率で借りた米を返すために、隣の村の田んぼであくせく働く必要がなくなり、今は村の中の農場で働いています。空いた時間を幼い子どもたちの世話にあてることができるようになり、乳幼児の発育にとっても良い影響がありました。サンキン村の米銀行は効果的に運営されており、収益は引き続き女子教育の支援に使われる予定です。
NPOの関与には、ローンシャークから貧困層を守る、という意味もあるってことですね。マイクロクレジットと同じです。
さて、
ちなみに、本書によると、
どうも村人たちは、コメが不足しているはずなのに、なぜか飢えて死ぬ人が居ない。おかしいな、と調べてみたら、森や田からいろいろなモノが採れて、タケノコを採ったり、虫を採ってきて食べたり売ったりして結構豊かに暮らしている、というハナシなんですな。
虫で暮らすというのは、どういうことか。
よくイメージできませんでしたが、
これでよくわかりました。
LAOS: Edible Insects
著者のような人も居れば、こういう人達もいるってことで。まあ、かなり楽しそうですが。
Backpackers In Laos - Laos
クスリのやり過ぎで、死ぬ人もいるみたいですな。
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