ダーウィンの悪夢というドキュメンタリー映画があって、少し前に話題になったのですが、タンザニアのビクトリア湖に外来魚のナイルパーチが放流されて、そのナイルパーチは繁殖力が強くて輸出すると金になる。水産業が発展し豊かになったのは間違いないが、その陰で悲惨な状況が産まれ・・・。
どう悲惨か、というと、在来魚で生活していた漁民はナイルパーチ以外採れなくなって失業。もともと貧しく自給自足に近い生活をしていた地域にいきなりドル経済圏が生じて、ナイルパーチ全面依存経済となった。
ナイルパーチ経済にアクセスできたものは裕福になり、何でも買うことができる。何せドルには非常に大きな価値がある。しかし、そこに入れなかったもの(在来魚の漁民達のような)は超貧乏。なんせ、いきなりの貨幣経済で、売れるものといえばナイルパーチしかなく、ドルを得る手段のない農民や漁民は生活ができない。つまり、みんなドルのために働くようになるのでドルがないと何も買えないんですね。貧富の差が強烈で日雇いにでもありつければよいほう。売春婦になったり、子供は食べ物を奪い合って暴力の日々。
『スティグリッツ教授の経済教室』
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=uscpa04-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4478000840&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0">iframe>
まあ、映画は解説抜きのインタビュー中心で、ドル云々、貨幣経済云々は私の解釈に過ぎません。この映画は生態系の破壊といった環境問題関連で取り上げられることが多いんですが、テーマはグローバル経済ですな。ネットで探してもそれをまともに論じている評論が見当たらないのですが、変ですな。地域通貨の論者など絶好のテーマだと思うんですがね。以前ご紹介した『使い方は皆さんが考えてください』とぶん投げたずっこけ教授はどうしてるんでしょうな。
本書を読むと実にすっきりします。自由貿易によって格差が拡がったとしてもやがて富めるものから貧しきものにおこぼれが行く、いわゆるトリクルダウン説をきっぱり否定します。確かに長期的にはそういうことがあるかも知れないが、長期的にはわれわれは皆死んでしまう、というケインズの言葉を引いて。
いわゆる市場原理主義者、米国流グローバリズムを徹底的に批判しています。IMF、ボロボロです。彼らの指導に従ったらとんでもないことになる(従った国は不況になり無視した国は栄えた)そうです。
グリーンスパンさえ批判の俎上に乗せられています。ブッシュの減税を支持したことをこき下ろしているんですね。最近グリーンスパンが著書を出していて、ブッシュ減税を批判しているのだとか、テレビ番組で紹介されていましたが、この辺の指摘を意識しているのかも知れませんね。今度翻訳が出るそうなので読んでみますかね。
スティグリッツは中央銀行がインフレに過度に警戒することを批判しています。金利を上げすぎて経済を失速させるんですな。少しインフレがあっても問題ないし、もしインフレが亢進しかけてもそれを抑えるコストなど、予防的に金利を上げて失業を増やすコストより高くはつかないそうです。
いずれアメリカの政権が変われば、こういう本書が指摘するような問題に対する取り組みが行われるんじゃあないでしょうか。単に自由にやっていれば繁栄する、という単純な保守主義は間違っていて、あるいはそういう主張は偽善に基づくもの(富者がもっと富むだけ。それをわかってて自分が得するので主張している)であって、しっかりとフェアな仕組みを作り上げなければいけない、という考え方ですな。
ブッシュの8年間は長かったし、問題も多かったと反動がくるかも。本書はその課題リストとして読めるような気がしますがね。
どう悲惨か、というと、在来魚で生活していた漁民はナイルパーチ以外採れなくなって失業。もともと貧しく自給自足に近い生活をしていた地域にいきなりドル経済圏が生じて、ナイルパーチ全面依存経済となった。
ナイルパーチ経済にアクセスできたものは裕福になり、何でも買うことができる。何せドルには非常に大きな価値がある。しかし、そこに入れなかったもの(在来魚の漁民達のような)は超貧乏。なんせ、いきなりの貨幣経済で、売れるものといえばナイルパーチしかなく、ドルを得る手段のない農民や漁民は生活ができない。つまり、みんなドルのために働くようになるのでドルがないと何も買えないんですね。貧富の差が強烈で日雇いにでもありつければよいほう。売春婦になったり、子供は食べ物を奪い合って暴力の日々。
『スティグリッツ教授の経済教室』
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まあ、映画は解説抜きのインタビュー中心で、ドル云々、貨幣経済云々は私の解釈に過ぎません。この映画は生態系の破壊といった環境問題関連で取り上げられることが多いんですが、テーマはグローバル経済ですな。ネットで探してもそれをまともに論じている評論が見当たらないのですが、変ですな。地域通貨の論者など絶好のテーマだと思うんですがね。以前ご紹介した『使い方は皆さんが考えてください』とぶん投げたずっこけ教授はどうしてるんでしょうな。
本書を読むと実にすっきりします。自由貿易によって格差が拡がったとしてもやがて富めるものから貧しきものにおこぼれが行く、いわゆるトリクルダウン説をきっぱり否定します。確かに長期的にはそういうことがあるかも知れないが、長期的にはわれわれは皆死んでしまう、というケインズの言葉を引いて。
いわゆる市場原理主義者、米国流グローバリズムを徹底的に批判しています。IMF、ボロボロです。彼らの指導に従ったらとんでもないことになる(従った国は不況になり無視した国は栄えた)そうです。
グリーンスパンさえ批判の俎上に乗せられています。ブッシュの減税を支持したことをこき下ろしているんですね。最近グリーンスパンが著書を出していて、ブッシュ減税を批判しているのだとか、テレビ番組で紹介されていましたが、この辺の指摘を意識しているのかも知れませんね。今度翻訳が出るそうなので読んでみますかね。
スティグリッツは中央銀行がインフレに過度に警戒することを批判しています。金利を上げすぎて経済を失速させるんですな。少しインフレがあっても問題ないし、もしインフレが亢進しかけてもそれを抑えるコストなど、予防的に金利を上げて失業を増やすコストより高くはつかないそうです。
いずれアメリカの政権が変われば、こういう本書が指摘するような問題に対する取り組みが行われるんじゃあないでしょうか。単に自由にやっていれば繁栄する、という単純な保守主義は間違っていて、あるいはそういう主張は偽善に基づくもの(富者がもっと富むだけ。それをわかってて自分が得するので主張している)であって、しっかりとフェアな仕組みを作り上げなければいけない、という考え方ですな。
ブッシュの8年間は長かったし、問題も多かったと反動がくるかも。本書はその課題リストとして読めるような気がしますがね。
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