会計スキル・USCPA

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多国籍企業 VS 草の根中小企業  バーナンキ

2010-10-18 13:00:16 | 金融
バーナンキが金曜日に講演をしてまして、ちょいと気になったんで、



このバーナンキ講演は、大概は、FRBがもう少し踏み込んだ金融緩和政策を実施する、インフレ目標にもっとこだわる、とか言った観点で報じられてます、ってかそうなんでしょう。

たとえば、ファイナンシャルタイムズも、そんな感じです。

Bernanke hints at further stimulus

The incremasing likelihood of hundreds of billions of dollars of further asset purchases by the Fed – a strategy known as quantitative easing – will heighten tensions in international currency markets by weakening the dollar further. That may prompt other central banks to follow suit with currency intervention or QE of their own.

FRBが何兆ドルもの追加資産購入政策の可能性が高まっている。それは、量的緩和戦略として知られているわけだが、それは国際通貨市場でさらに米ドルが弱くなるとのテンションを高めることになるだろう。そして、他国の中央銀行が通貨介入や、彼ら自身の量的緩和策を促すことになるかもしれない。

Mr Bernanke on Friday also marched the Fed another step closer to adopting a formal inflation target – a politically contentious goal he has pursued since becoming chairman – saying that most of the body’s officials think that price rises should be “2 per cent or a bit below”.

バーナンキは金曜日にFRBがさらにステップを進め、公式的にインフレターゲットを採用するのに近いところまで来た。政治的には、彼は着任来、この議論の多い目標を追い求めてきたが、今回、ほとんどの会議の職員は価格は2パーセントがそれより少し低い位でないといけないと考えていると語った。

It is the first time that Mr Bernanke has put that number in a speech and linked it to the central bank’s inflation objective so clearly, a strong signal that the Fed will tie any new stimulus to getting inflation back to the 2 per cent goal.

これは、バーナンキが政策目標として、はっきりと数字を上げたのは今回が初めて。

ってな具合です。とっても分かりやすい記事ですな。
インフレターゲットに遅まきながら、ようやく米国も辿り着いたという感じも出てます。

状況が厳しくなると、いっそう踏み込んで行かざるを得なくなるんで、金融政策はカンケーありません、とは言っても許されないんですな。民主主義なんで。

日銀はどうなんだ、ってハナシも今後は、また出てくるに違いないんでしょうな。


さて、それはそうと、このバーナンキ講演の中で、気になった点というのは、

Bernanke's Speech on the Fed's Policy Objectives


The availability of credit to finance investment and expand business operations remains quite uneven: Generally speaking, large firms in good financial condition can obtain credit in capital markets easily and on favorable terms. Larger firms also hold considerable amounts of cash on their balance sheets.

投資やビジネス拡張のためのファイナンスの得やすさが、平等になっていない。一般的に言って、大企業は資本市場で簡単に有利な条件で調達できている。また、大きな企業は、巨額の手元資金を蓄えている。


By contrast, surveys and anecdotes indicate that bank-dependent smaller firms continue to face significantly greater problems in obtaining credit, reflecting in part weaker balance sheets and income prospects that limit their ability to qualify for loans as well as tight lending standards and terms on the part of banks.

一方で、調査や聞いた話によると、銀行に依存する、より小さな企業は、借入するのに大変な苦労をしている状況が変わらず、それは、金融機関の基準や条件が厳しかったりするためであるとともに、企業のバランスシートや、利益見通しが弱いことにより、ローンを受けるために必要な資格を満たせないことを反映している。


The Federal Reserve and other banking regulators have been making significant efforts to improve the credit environment for small businesses, and we have seen some positive signs.

FRBや他の規制当局は中小企業に対する金融環境を改善するために、かなりの努力を払い、若干の改善の兆候が出てきている。

In particular, banks are no longer tightening lending standards and terms and are reportedly becoming more proactive in seeking out creditworthy borrowers.

特に、銀行は、これ以上の貸出基準や条件の引き締めは行っていないし、もっと、かせる先を積極的に探すようになっていると伝えられている。


とか言うトコですな。

株価の回復が早い、とかいうのは、大企業の回復が早いとかいうハナシと結びついているんであって、そうじゃない草の根中小企業は苦しいままなんですな。

米国の政治論争には、ねじれがあって、

中央政府 VS 地方政府
大きな政府 VS 小さな政府
介入主義  VS 放任主義
現職議員 VS 新人候補
ウォールストリート VS メインストリート
エスタブリッシュメント VS 草の根

とかで、左 VS 右として整理されてるんですが、ってか整理されてしまうと、ちょいとねじれが生じて、ホントなら、もう一つの軸、

草の根 VS 多国籍グローバル大企業

ってのがあるはずで、草の根は左にあったんじゃないかと。

ブッシュは、この構図で敗れたはずなんですな。ナオミクラインや、エコノミックヒットマンも、多国籍企業が、世界中で暴れまわり、米国内でも乱暴狼藉、政権を乗っ取って好き放題自分を有利にもって行っている、みたいな。

これが、ウォールストリート VS メインストリートや 大きな介入政府 VS 小さな放任政府、構図で、打ち消されてしまって、反モスリムの宗教論争までが加わって、旧態依然の共和党に人気が移っている、とかいう流れで、ホントなら、ティパーティは左派であってもおかしくないんですな。ミドルクラスを破壊するのは共和党じゃないの?

本来は、草の根に手厚いのは左派のハズですが、ビンボー人や、共和党政策で被害を被るような人達が共和党支持に回っている感じがあって、これ、ビンボー人を動員した小泉政権時代の選挙に似てるかもですね。

今、とっても苦しくて、大企業やウォールストリートはノウノウとしている、これは政府や現職議員のせいだ、というわけで、介入か放任かみたいなところに議論がいっちゃってるんですが、部外者としては、大企業優遇はそもそも共和党の政策やろ、と突っ込みを入れたくなるんですがね。

ティーパーティ候補のポロが出たり、さすがにちょっと変か、と人々が思い始めて、民主党も支持を詰めているみたいですが、こっからどこまで、いけるかって感じでしょうか。

とまあ、依然として中小企業のファイナンス環境は厳しくて、人々の怒りの原因の一つに違いないこと、怒りの矛先は政府や現職に向かっていること、苦しい自分達じゃなくて、他の連中にお金を回すのはけしからん、という単純な図式にノルのは、ちょいと違うかも、ってことで。


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