会計スキル・USCPA

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グリーンスパン インタビュー

2007-12-18 02:33:51 | 英語情報
グリーンスパンの回想録で自分はリバタリアンだと書いておられます。経済的観点から言えば市場重視派、というか、保守的な立場ですね。いわゆるリベラル派と異なり政府の介入を嫌う立場ということになりますな。私的財産権の重要性を何度も強調しています。

何度も何度も米国経済の柔軟性について、強調しています。911ショックからの立ち直りの速さを感動をもって眺めておられたようです。米国の自由で柔軟なマーケットが問題を迅速に調整して解決してゆく、再び成長を始める。ダイナミックな動きを議長の立場から冷静に眺めておられたんですね。

著書を読んでの印象。そうですな、数字、データの重視。もともと自分でコンサル会社を立ち上げて民間の事業会社に需要予測などの情報を売っておられました。鉄鋼需要はこうなるので設備投資はこうすべき・・・。綿密にデータを積み上げて正確な情報を提供して顧客を増やして行きました。

まあ、そういうこすっからいおっさんなわけでして、データオタクが面白がられて、結構役に立つじゃないかと取り立てられて、最後はFED議長にまで出世したって感じです。最初は民間のコンサル。最後は世界経済のコンサル。数字を積み上げて数字で説明する。こういう姿勢が彼への信頼を支えているんでしょうな。感情やイメージに訴えたりすることはしない、地味だが着実なわけです。FED議長だから当然ですがね。

現役引退後も注目され続ける理由はそんなところかも。

さて、そのグリーンスパンさんが、ABCのインタビューに答えて曰く。

Greenspan repeated his assessment that the probability of a U.S. recession had moved up toward 50 percent but noted that corporate America's debt levels were in good shape, which should help cushion the blow from tightening credit terms.

リセッションに陥るリスクが50%。

"The real story is, with the extraordinary credit problems we're confronting, why the probabilities (of recession) are not 60 percent or 70 percent," he said.

こんなひどい問題が発生していて60%や70%じゃないんだ。まあものはいいようですが、柔軟な米国経済をもってしても今の問題は大変だということなんでしょう。

Greenspan said real estate prices will stabilize only when the overhang of unsold new-construction homes begins to ease, and estimated that financial losses could be in the range of $200 billion to $400 billion as securities tied to failing subprime mortgages lose value.

全体のロスを2千億ドルから4千億ドルと見積もっている。確かOECDの見積もりが1.5千億ドルだったはずですが、それよりは多いわけですね。

He warned against any sort of government bailout plan for homeowners that interfered with the normal functioning of markets for home prices or interest rates, saying it would "drag this process out indefinitely." Offering cash to stricken homeowners instead would cause less long-term damage, he said.

これ、リバタリアンらしい発言ですな。これは政府がやろうとしている金利リセットの延期を批判しているんですかね。マーケット機能を阻害する施策をとるべきでない。変なことしないで、困っているホームオーナーにキャッシュで支援する方がまし。

"It's only when the markets are perceived to have exhausted themselves on the downside that they turn," he said. "Trying to prevent them from going down just merely prolongs the agony."

グリーンスパンさんはやさしい顔をして、実はチョー厳しいスパルタ親父なんですな。落っこちるやつは落っことしてしまえ、なまじ助けると問題が長引く。

そこまで言われると、ちょっと引きますな。しかし、著書では日本の長期停滞についても触れておられまして、政策にもいろいろあって、日本は金融危機の時に体面を重んじるのでダメージが大きく、時間も長くかかる先送り方式(だめな銀行も破綻させない)方式をとったように書かれています。当時の宮沢蔵相がグリーンスパンの早期解決の助言を否定して『それは日本のやり方じゃない』と説明したそうです。

長期的にみるとスパルタ親父の方が正しいんじゃないかって気もしますな。



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