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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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We Wish A Merry Christmas / various artists

2008年11月24日 20時05分29秒 | JAPANESE POP
 細野晴臣と高橋幸宏がつくったYenレーベルの参加アーティストが集い、83年に作ったクリスマス・アルバム。83年といえば、既にYMOは解散していたけれど、YMOの後遺症のようなものは日本人アーティストにまだまだ蔓延していて、かくいうこのYenレーベルなども、いまして思えば、本家細野と高橋を筆頭にYMO後遺症にかかったミュージシャンたちが、なんとかYMOの幻影から決別すべく、集団的なリハビリをしていたようなレーベルだったと思う。参加アーティストは、御大2名の他、ムーンライダース、越美晴、大貫妙子、伊藤銀次、立花ハジメといったおなじみの面々だが、このアルバムで個人的に好きなのは、なんといっても、上野耕路と戸川純というゲルニカのコンビが二手に分かれて提供した2曲だ。

 上野耕路の提供した曲は、「Prerude et Choral」というオリジナルで、日本語にするとフランクの曲みたいな「前奏曲とコラール」といういかにもクラシカル然としたものだが、内容もシンセでオーケストレーションされているとはいえ、まったくのクラシック的なもので、ベルク的な粘着質で饐えたような世紀末な感覚、シェーンベルクの「浄夜」を思わす冷え切った夜の感覚や弦楽のダイナミズムなどなど、2分半ほどのスペースの中に私の大好きな新ウィーン的なムードがつめこまれていて、めっぽう楽しめる。
 前記「前奏曲とコラール」をまさしく前奏曲的に配置して現れる、戸川純の「降誕節」もいい。いかにもクリスマス然としたドリーミーなオーケストレーションと打ち込みのリズムにのって、幼児パワーが炸裂したみたいな戸川純の天衣無縫なボーカルが、ちょっと変なクリスマス気分を演出していて、これまた楽しいのだ。

 という訳で、毎年このシーズンになると、この2曲は私の定番だったりするのだが、他に大貫妙子のひとりスウィングル・シンガーズ・スタイルで仕立てた「祈り」とか立花ハジメの「WHITE & WHITE」とかも楽しい。もちろん額縁になった御大2人の曲も悪くないし、ポップス的な3曲も良いアクセントになっている。ピエール・バルーのボサ・ノバ作品とか昔はちっともおもしろいと思わなかったが、さっき聴いたら、こういう「苦み」は昔はわからなかったんだろうなぁ....などと思いつつ、けっこう味わい深かったりもした。全体に気取りすぎなところはあるけれど、やっぱこのアルバム楽しめる。
コメント (8)
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