トシの旅

小さな旅で学んだことや感じたことを、
まとめるつもりで綴っています。

日本で3番目のICカード、”ことでん”

2015年07月12日 | 日記

瓦町駅に到着した”ことでん”の志度線の電車です。電車の前面に「IruCaの10周年」を記念するヘッドマークを掲げています。”IruCa”は”、ことでん”の愛称をもつ高松琴平電鉄のICカード乗車券です。平成17(2005)年にサービスを開始しました。JR東日本の”Suica”、JR西日本の”ICOCA”に次いで、日本で3番目に導入しました。JR四国や大手私鉄に先んじての導入でした。

”IruCa”のヘッドマークです。”IruCa”は、今年で導入から10周年を迎えました。発行数は30万枚といわれています。平成21(2009)年には、香川大学の学生証が”IruCa”と一体型に変更されました。ICカード乗車券と学生証との一体化は国立大学では初めてのことでした。

”ことでん”の駅で見られる”いるか”のキャラクターがついた備品です。”ことでん”こと高松琴平電鉄は、平成13(2001)年、瓦町駅ビルに入居していた”コトデンそごう”の経営破綻に伴う経営難のため、高松地裁に民事再生法の適用を申請しました。当時の”コトデン”は必ずしも市民の支持を受けていたとは言い難い状況にあったそうで、再生に向けて「コトデンは要るか要らないか」という議論もなされたそうです。そんな経緯で”IruCa”と名づけられたといわれています。また、愛称も”コトデン”から現在の”ことでん”に変更しました。ところで、JR西日本の”ICOCA”は関西弁の「行こか(行こうか)」から名づけられたそうですね!?

これは、”ことでん”長尾線の林道(はやしみち)駅の待合室です。”IruCa”での乗降客は「出」「入」にそれぞれタッチしてから出入りされています。駅には乗車券の自動販売機も設置されていますが、私がこの日見た乗降客は、みんな”IruCa”を使っておられました。

この日は、”ことでん”の長尾線に乗ることにしていました。始発駅である”ことでん”の高松築港駅へ向かいました。

長尾線は、高松築港駅から瓦町駅、木田郡三木町を経由して、さぬき市の長尾駅まで行く鉄道です。路線のシンボルカラーは緑色になっています。明治45(1912)年、出晴(現在の瓦町駅付近)・長尾駅間が、高松電気軌道によって開業しました。志度線と同じく、軌間1067ミリの軌道線として開業しました。地方鉄道法による鉄道になり軌間1435ミリになったのは、昭和20(1945)年のことでした。

長尾線を経営していた高松電気軌道は、昭和18(1943)年、志度線を経営していた東讃電気軌道(後に讃岐電鉄となる)と琴平線を経営していた琴平電鉄と合併し、高松琴平電気鉄道になりました。現在の”ことでん”は志度線、長尾線と琴平線の3路線を運行しています。ちょっと見づらいのですが、真ん中の緑の駅名からは「農学部前」や「学園通り」など、学生の利用が多い印象を受けましたが、開業当初は四国八十八ヶ所霊場の八十七番札所長尾寺への参拝路線の性格もあったようです。

高松築港駅にあった長尾線の時刻表です。すべて長尾駅行きで区間運転はありません。日中は、毎時、08分、28分、48分発の20分間隔で運行されています。

私は”IruCa”を持っていませんので、この日も”一日フリーきっぷ”(1230円)を購入して改札を入りました。高松築港駅から長尾駅まで470円、往復で940円ですので、私のように途中の駅で自由に乗り降りしたい者には、ほんとにお得な切符です。

高松築港駅は2面3線の駅で、長尾線の電車は3番ホームに入ります。高松築港駅は始発駅ですが、待避線はなく折り返し駅になっています。

緑の長尾線の電車が到着しました。待っていた多くの乗客は、到着した方が下車するのを待って乗車します。602号車・601号車の2両編成です。”ことでん”の長尾線は2両の固定編成です。600形車両は名古屋市交通局の東山線(地下鉄)の電車で、平成10(1998)年琴電に移籍してきました。外から見て全面の左側の窓が2枚に別れた3枚窓のフロントマスクです。出発します。瓦町駅までは複線区間、琴平線の電車と共用になっています。

瓦町駅の改札口です。長尾線の電車は乗り換えはありません。瓦町駅を出ると琴平線と別れて進みます。

瓦町駅から0.9km、花園駅に着きます。昭和29(1954)年に信号場から駅に昇格して開業しました。

花園駅に入って来る長尾線の1306号車・1305号車です。京浜急行から平成23(2011)年に移籍してきました。長尾線はもともとが路面電車(軌道線)で開業したため、電車は民家をかすめて窮屈そうに進んでいきます。

長尾線の電車は県道10号線高松長尾大内線(長尾街道)に沿って走ります。花園駅の先でJR高徳線と交差します。写真は長尾線をまたぐ高徳線の高架です。

花園駅の次の駅は林道(はやしみち)駅です。花園駅から1.8km。長尾線の駅間の最長区間です。この先、木太東口(きだひがしぐち)駅、元山(もとやま)駅を過ぎると、市街地を抜けて田園地帯に入ります。その後、国道11号線を越える高架を走ることになります。

高架の駅、水田駅。高松築港行きの電車がホームで待っていました。伊藤園のラッピング電車、平成19(2007)年の京浜急行からやって来た1302号車・1301号車でした。  水田駅を出て、高架で高速道路で越えると田園地帯の中を下っていきます。次の駅、西前田駅に着きました。

西前田駅から、1.1km、高田(たかた)駅に着きました。2面2線の駅でしたが、右側のホームに停まりました。駅員の方がいらっしゃいましたので、フリーきっぷを示して外へ出ました。

香川県立高松東高校が川の対岸にありました。最初に受けた、学生の利用がが多いという印象は間違っていなかったようです。この日は日曜日でしたので静かでした。高田駅は高松市の最後の駅でした。1.3km先の池戸(いけのべ)駅から木田郡三木町に入ります。

池戸駅から0.8km。左側に見えた白い建物です。香川大学農学部と読めました。その先で停車しました。農学部前駅でした。ここで若い人が10人ほど下車しました。

農学部前駅です。1面1線の駅です。下車後、徒歩で農学部の建物に向かいました。農場があるためか、奥行きはかなりあり広々とした印象でした。

長尾線の駅名表示です。シンボルマークである緑に統一されています。

農学部前駅から0.5km。長尾線の駅間最短距離区間です。すぐに次の駅に着きました。平木(ひらぎ)駅です。乗ってきた電車と、対向車、ホームの裏に停車していた3編成の電車が並んでいます。手前から1254号車・1253号車、隣が水田駅で見た1302号車・1301号車。奥で休憩しているのは1216号車と1215号車、こくみん共済のラッピング電車です。1216号車と1215号車は、元京浜急行の車両で、平成17(2005)年に”ことでん”に移って来ました。

かつて、玉野市電の線路跡を歩いたとき(2014年11月20日の日記)に、玉野市のすこやかセンターで静態保存されている”ことでん”からの里帰り車両に出会いました。玉野市電で活躍していたモハ103号車が玉野市電の廃止に伴ってコトデンに移り、760号車と名前を変えて活躍しました。京浜急行から1216号車と1215号車がやって来たため、平成18(2006)年に玉野市に里帰りしたものです。写真は玉野市のすこやかセンターで余生を送るコトデン760号車です。

”ことでん”は「指定駅」では途中下車ができるようになっています。三木町の中心付近にある平木駅はその「途中下車指定駅」になっていました。

これは駅前にあった案内板です。いつ作製された地図かわかりませんが、この案内図には次の「学園通り駅」が描かれていません。学園通り駅が三木町の強い要望を受けて設置されたのは、平成14(2002)年のことでした。

平木駅から0.6km。学園通り駅に着きました。長尾線で最も新しい駅です。付近は近代的な雰囲気がただよう三木町の中心地です。駅におられた方にお聞きすると、「新しい町で近くに三木高校があるので、学園通りと名づけたのでしょう」とのことでした。

三木高校に行こうと歩き始めました。駅前のショッピングセンターの近くにあった三木町文化交流プラザです。近代的な雰囲気はこの建物を中心に広がっています。

その先にあった香川県立三木高校です。新しい駅に「学園通り」と名づけた三木町の人々の誇りを感じる学校です。

駅に隣接した「花の駅」です。線路の脇に手入れの行き届いた花壇がありました。三木町の人々のこの駅にかける思いが伝わってきます。

学園通り駅に戻ります。駐輪場の屋根の上にある青いラインはホームの屋根です。今は明るい雰囲気の駅ですが、昭和53(1978)年、長尾線の100年を超える歴史の中で唯一の死亡事故が、この駐輪場のすぐ傍の踏切で起きました。長尾駅発瓦町駅行きの750形2両編成の上り電車とダンプカーが衝突して電車は脱線し線路北側の田んぼに転落しました。電車の運転士とダンプカーの運転手が死亡、乗客2名が重傷を負うことになりました。この事故で750形車両1両が廃車になってしまいました。

学園通り駅から見た、次の白山(しろやま)駅方面の風景です。”東讃富士”(三木富士)と呼ばれる白山の優雅な姿が見えます。

学園通り駅から1.3km、白山駅に着きました。優美な姿を見せていた東讃富士のふもとにあります。1面1線の駅です。

これは、駅の脇にある踏切から見えた東讃富士。この先に白山神社があります。

登り切ったところにある白山神社の拝殿です。背後に見えるのが東讃富士です。白山駅に向かって下ります。次の井戸駅までは0.5km。農学部前駅・平木駅間と並ぶ、長尾線での駅間の最短距離区間です。そして、井戸駅から0.6kmで、公文明(くもんみょう)駅に着きます。

公文明駅です。高松築港行きの1254号車・1253号車が出発して行きました。1面1線の棒状の駅です。この駅は鉄道ファンにはよく知られています。この先に”お立ち台”があるからです。

駅から出て線路と並行して走る県道10号高松長尾大内線に出て長尾方面に向かって歩きます。その先の橋を渡って、左側にある鴨部橋梁に向かって歩きます。鴨部橋梁上を走る長尾線車両の撮影スポットなのです。

やって来ました。伊藤園のラッピング電車、1301号車・1302号車です。この日は撮影していた人は一人もいませんでした。この先はさぬき市です。

さぬき市にある長尾駅に着きました。終着駅です。線路の間にあるのは、ATSの標識です。”ことでん”のATSは時速20km、15km、10km、5kmの4段階で速度照査をする仕組みになっているそうです。その15kmから5kmまでのの標識が車止めに向かって並んでいます。

長尾駅のホームから見た瓦町方面です。東讃富士と呼ばれるとおり東讃地方のどこからでも見える白山の姿です。

長尾駅の外観です。日曜日のせいか駐輪場はがらがらでした。

長尾駅の近くにある長尾寺です。四国八十八ヶ所霊場の八十七番札所です。長尾駅から10分ぐらいのところにありました。

地方鉄道でありながら、ICカード乗車券をいち早く導入した”ことでん”高松琴平電鉄。乗降客に優しい便利で清潔な駅。全車冷房完備の電車が走る、すてきな鉄道になっていました。


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2 コメント

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Unknown (えぬ)
2019-03-27 20:09:58
白山駅は"しろやま"ではなく、"しらやま"だったと思います
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Unknown (ゆう)
2023-02-16 15:24:10
地元民です。ようこそおいでくださいましたという気持ちで拝読しました(≧▽≦)

えぬさんが書かれている通り白山駅は「しらやま」と読みます。駅を降りてから山に向かう参道は桜が立ち並んでおり、3月下旬にはちょっとした花見が出来ますよ(*^^*)
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