ファンタジーなど

基本的に、いろいろなことの変なとこに突っ込みます。

ユグドラシルの樹の下で paiちゃん著 宝島社

2020-02-04 21:19:46 | 本と雑誌
なろうコン大賞受賞作のようです。
1が2014年10月、5が2015年12月。
6も2016年に出ているようですから、今更ですけど。

剣と魔法と呪い、獣人+エルフ他、魔物の西洋の中世より少し前
くらいの世相のファンタジーです。

ただし、実年代は、地球の遙か未来、世界大戦を乗り越えた先
となっています。

で、変なとこを

主人公達が住むことになる別荘の仕掛け:
 鍵で別荘を囲む森の障壁?がオン・オフすることになっていますが、
 魔法でも魔術でも呪術でもない分類不能の、トンデモしかけになって
 います。
 機械仕掛けなら可能そうですが、描写は機械仕掛けに見えません。
 生えている木立が移動するし、360度どころか空中からもアクセス
 できなくなるという仕掛けですから。

魔物の生態:
 弱肉強食は守られていて、食物連鎖も考えられているようです。
 残念ですが、繁殖のことが忘れられています。
 ある獣ないし魔獣がいたら、それ1匹とか2匹とかで終わっちゃ
 だめでしょというツッコミが随所で可能なのです。
 ゴキブリが1匹いたら、30匹(だっけ?)いるはずというあれです。
 親が必ず雄雌の2匹は必要でしょうとか、子供1匹じゃすぐ絶滅
 するでしょうとか。
 絶滅せずに存続するためには何匹必要かという論文もあるようです。

魔法や武器の届く範囲の注意:
 ゲームなどの影響が出ているように感じます。
 魔法をターゲット限定や、仲間あるいは敵限定の効果にしてしまった
 のは、初代のドラゴンクエストやファイナルファンタジーなどのゲーム
 で、歴代のゲームは、それらに準じたのです。
 まあ、効果を限定しなければ、魔法なんて敵味方が分かれている戦場でしか
 使えないシロモノです。そのままじゃ戦略ゲームの序盤=対峙している時に
 しか使えないのですから。
 ついでに?、ゲームでは、武器も敵にしか効果を及ばせないものになったの
 でした。位置取りや、武器の振り回しをきちんとしないと味方を殺してしまう
 ことになり、それに気を遣うようじゃゲームにならないというのが理由でしょう。
 この本では、一応考えられてはいますが、まだ抜けています。
 当たらなかった遠隔武器・魔法の行方です。取り囲んで戦う場面では、投擲
 武器や、弓矢、魔法は当たらなかった時こそ危ないのです。

武器のメンテナンス
 使った後のメンテナンスは省けないのです。
 時代劇が、刀などの虚像を広げてしまいました。時代劇では暗黙の了解で
 見ているのがほとんどですが、世界に広げちゃうと違和感がタップリです。

  1:切った後、武器を振るえば、血糊が取れる:紙や布で拭うことが必須です。
   そのまま収納してしまったら、血糊で抜けなくなります。包丁を使ったことが
   ある方なら、振った、水や熱水を掛けただけでは、汚れが取れないことは
   ご存じでしょう。スシを手作りする場合、濡れた布巾で汚れ=油を落とし
   ながらでないとスシネタを切り続けられないこともご存じでしょう。

  2:刀で切っても、打ち合っても曲がらない、刃こぼれしない:
   人を一人でも切ったら、よほどの名人であっても曲がる、骨に当たったら
   刃こぼれするそうです。刃で打ち合ったら確実に刃こぼれし、戦闘中すぐ
   にも折れるのです。現代に残る名刀で半分の長さになったのがあるのも
   当然の結果なのです。基本、刀は戦場の主武具にはならないってことに。
   塚原卜伝の水を張った盥に刀を一杯浸けておいて戦ったという話は実話か
   どうかはともかく多人数相手は、こうしなければいけないということなのです。
   (血は水に溶けます。油脂は残ってしまいますが、用意した刀の数以上の敵が
    襲ってきた場合は、とりあえずの処置ってことです。)

  3:人を切っても返り血を浴びない
   そもそも、血がドビューと飛ぶというのは時代劇が作りました。
   ニワトリの首を落とすというのは少年時に結構やらされました。血が出ますが、
   ドクドクという感じです。飛びません。人間も同じ動物ですから、それほどの
   違いは無いと思います。現代の殺人場面でも、壁への飛び血は少ないよう
   ですからドビューは無いでしょう。
   向き合って切って、元に戻って対峙したままなら、相手も動きますから、その
   動作で血が飛ぶことになり、結局、血を浴びることになります。血を浴びない
   ためには、一刀で切り捨てて離れるということを繰り返し続けることです。

数千年以上を経たオートマタが動く
 全部が金属なら可能かもですが、絶縁体のための合成繊維無しで作れるかは、
 かなり疑問です。カーボン繊維で何かできるかもですが、カーボンには核分裂
 する同位体があり、これを除く技術は未だありません。核分裂すということは、
 カーボン繊維を維持できなくなるってことです。
 ふぁんたじーでは、ここは手抜きでいいかもです。
 核分裂物資が存続して発電を続けていては、かなりまずいかもです。
 レールガンが登場しますが、現在では、電力の関係で連発できず、レールも
 1発撃てば補修しないと使えず、数発撃てば使えなくなる消耗品です。
 将来は使えるって事でいいでしょう。

機械?仕掛けの鳩時計
 歯車が木製って無茶設定です。機械仕掛けなら、ゼンマイ近くの歯車は金属で
 ないと持ちません。その前に、木は伸びる方向と太る方向=年輪を重ねる方向が
 あります。チークや樫などのオモチャに使うような堅い木はともかく、日本にある
 木材のほとんどはどんな板にしようが幼児でも簡単に割る・折ることができます。
 要は年輪間が育ちが早いだけにもろいのです。木製でもいいですけど、小さい
 のはだめなのです。(木製時計というのがありますが、外側が木というだけです。
 中身はしっかり金属ないし、合成樹脂です。)
 以前のブログでも触れましたが時代の違いですね。時計に機械仕掛けの雰囲気が
 ありません。機械仕掛けは、振り子かテンプルで定時性を維持しますからチクタクと
 表現される音が出ます。(機械式腕時計の壊れたのがあれば、開けて見て下さい。
 テンプルを使っています。)
 機械仕掛けの鳩時計は、ほとんどが振り子が付きものです。テンプルだけでは、
 鳩を動かせないのが理由でしょう。
 挿絵にも振り子がありませんから、デジタル+電動が一般認識になってしまった
 ようです。
 電気式時計でも、振り子かテンプルの定時性を使うのものが多分全部だったので、
 小さい音ながらチクタクします。

ノコギリのこと
 現代のノコギリは、結構メンテナンスをサボっても切れます。とりあえずの昭和40年
 代までのノコギリは、頻繁なメンテナンスが必要でした。父親もノコギリ屋だった兄も、
 使った後は、必ず、トンカチで目立ての修正を行い、ヤスリでノコの歯を研いで
 いました。鉄や、鉄鋼・鋼鉄程度の素材なら、メンテナンスが必須なのです。

ブーメラン
 ゲームではドラゴンクエストが採用しています。敵の多人数に当たっても戻ってくる
 という無茶仕様です。摩擦ゼロってことになります。ゲームでは受け止めるのは絶対
 無理だろうというような外側が全部刃の円月輪や、ペンタクルスなど戻るの無理だろ
 うというのも一杯登場します。
 基本のブーメランだけで、当たったら戻れないか戻り位置が変わるという形で採用
 されていますが、刃付きのブーメランですから、当たっても戻り位置が変わって戻る
 というのは危険すぎです。戻るコースに誰かがいたら、ぶっ飛ばさないと助けられな
 いし、戻るコースに複数いたら助けられません。
 刃付きのブーメランは、オートマタだけが扱えるというのは納得です。
 回転して飛んでくる刃物を素手で受け止めるのって、人には無理スジですから。
 まあ、忍者なら可能ってファンタジーも。
コメント
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