鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

十勝の自然46 フルマカモメ

2015-08-11 10:10:37 | 十勝の自然

Photo by Chishima, J.
フルマカモメ 2011年7月 北海道十勝沖)


(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん 2015年7月22日放送)


 「カモメ」と言うものの、港でよく見るカモメの仲間ではなく、外洋性の海鳥、ミズナギドリの仲間です。ミズナギドリの特徴の一つに、嘴の付け根に管鼻(かんび)という管状の鼻のあることがあります。管鼻からは鼻の穴が開いていて、嗅覚が他の鳥より著しく優れています。確かに、50m先すら見えない濃い霧の沖合で操業する漁船に、廃棄される雑魚を求めて一瞬で群がって来ることがあります。霧の多い外洋で生きてゆくには鋭い嗅覚が必要なのでしょう。
 「フルマ」とは何でしょう?昔の北欧の言葉で「臭いカモメ」という意味です。この鳥には独特の臭気があって、大群に近付いてゆくと魚の油みたいな、お世辞にも快適とは言えない匂いに包まれます。時代を経た現代でも、浜の漁師さんからは「臭ぇ鳥」と呼ばれています。
 千島列島やオホーツク海など北の海で繁殖し、十勝では厳冬期以外、沖合で普通に見られます。
 最近、北大西洋の北極圏で繁殖するフルマカモメの9割近くの胃にプラスチック片が見られたという論文が発表されました。廃棄されて劣化する過程で海に流れ出したプラスチックは風や海流に乗って世界中に拡散し、数は500万兆、重さは26万トン以上といわれます。餌を食べる際に海鳥の体内に入ったプラスチックは消化管を詰まらせるだけでなく、環境ホルモンとして作用し、次世代への影響も危惧されます。20世紀後半以降の地球は、プラスチックの大量消費で成り立って来ました。一人一人ができることは僅かですが、木や陶器の食器を使う、買い物にはマイバッグを持ってゆくなど、できることからプラスチックの消費を減らしてみませんか。


(2015年7月20日   千嶋 淳)

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