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古い曲が気になる

『冬の花火』

2010-11-19 | 日記・エッセイ・コラム

                          

渡辺淳一が夭折の歌人・中城ふみ子さんのことを書いている。『冬の花火』だ。

(『冬の花火』は、すでに文春文庫ででているが、きょうまた、集英社から文庫本が発売された。映画かテレビドラマが制作中なんだろうか? そのキャンペーンなのか? なぜいままた、中城ふみ子さんなんだろう? )

『冬の花火』は、小説だ。事実とは、何の関係もない。そのように読んでほしい。

函館の質屋で、子供の毛布で金を借りた、その質屋の女主人が偶然にも女学校の同級生・浦谷初江だった、とか適当なことを書いている。同窓会名簿「常磐同窓会 会員目簿」にそんな名前はない。同級生で函館に住んでいる人はいない。

冬の花火 (集英社文庫)

渡辺淳一は、北海道上砂川町出身の作家だが、札幌医大卒業の医師だ。作家を専業にするまで札幌医大の付属病院に勤務していた。歌人・中城ふみ子さんは、この札幌医大病院で、31才で亡くなった。

中城さんが亡くなったは、1954年(昭和29年)8月3日。渡辺淳一が札幌医大に入学したのは、このおなじ年だ。

中城ふみ子さんは、帯広の野江呉服店の娘さんだ。(結婚まえの名前は、野江富美子。結婚して中城富美子になったが、昭和27年、離婚した。“中城ふみ子”は、ペンネームだ)。

中城ふみ子さんは、昭和24年、26才のとき、帯広にもどって、家業の呉服店を手伝いながら作歌に励んだ。わたしが帯広駅前でレコード店をやっているとき、まだ野江呉服店は広小路で営業していた。

                 

『乳房喪失』の「冬の海」には九首ある。きのう紹介した「冬の皺~」はすごいが、わたしは、この歌も好きだ。なんど読んでも動揺する。

   黑きショール疊みて砂濱にわれは坐る海よその話の續ききかせよ

   (黒きショール 畳みて 砂浜にわれは坐る 海よ その話の続ききかせよ)


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