局の道楽日記

食道楽、着道楽、読書道楽  etc
生活色々を楽しんで暮らしている日々の記録です

鈴香と黒い家

2006-07-15 16:41:18 | 読む
角川ホラー文庫で出版されている 貴志祐介氏の著作に 「黒い家」がある。
確かホラー大賞を受賞し、森田義光監督で映画化もされているから 知っている人も多いと思う。
主人公は大手の保険会社の社員で、偶然保険をかけられている子供が自殺してしまった事件の第一発見者となる。それが、保険金目当ての犯行ではないかと その両親とかかわっていき、自らも恐怖の事件に巻き込まれるといった内容だった。

狂気の母親役は 大竹しのぶが熱演していて、それが ものすご~~く怖かった。無表情に 「お金(死んだ息子の保険金)払ってもらえませんの?」 と聞く口調。夫を身体障害者にして保険金をとった時、切断された 手(足?)がむきだしに入ったビニール袋をちゃぽんちゃぽんさせながら 病院の待合室を小走りする姿。 まさに熱演というか怪演だった。

今回の秋田の事件、どうも母親が自分の子供をも殺してしまっているような気配になってきたけれど、私は彼女が逮捕された頃から この 黒い家の話を連想していた。原作では母親(菰田幸子)の幼少期の作文が出てきたが、それを心理分析して この人間には心がない と 言うところが印象的である。 心の無い人間、というか 人間的な心の無い人 というべきか。
鈴香も自分の子供を殺し(まだ確定ではないが) 隣の家の何の罪も無い子供を殺し、子供の写真と一緒に学校行事に参加し、いけしゃあしゃあと被害者面してインタビューを受けて 嘘ばっかりを全国にたれ流す。やっぱり普通の人間ではないと思っていた。
しかし 事実は小説より奇なり って いうけど、こんな異常な人間が小説の世界ではなくて現実に存在することはつくづく怖いものだ。
心の闇の部分っていうのは 多かれ少なかれ誰でもは持っているのかもしれないが、現実に人を傷つけたり殺したりしてしまう方向への踏み出しと言うのは かなり大きなものを超えないとできないと思う。
それを簡単に超えてしまえる人間が最近増えているようで本当に嫌だわ。

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