局の道楽日記

食道楽、着道楽、読書道楽  etc
生活色々を楽しんで暮らしている日々の記録です

怪談 猫屋敷

2006-06-01 09:43:22 | 記憶の箱
昨日 電車の中で声をかけられた。以前住んでいたマンションでお隣さんだった奥さんだった。
駅の反対側に引っ越した我が家だが、不思議に前の住人とはすれ違うこともなく、とても久しぶりであった。

そのマンションは12世帯のこぢんまりとしたもので、1階には専用の庭があり、緑も多くて住みやすかった。幼かった家の子たちもその庭で よく遊んだものだった。
ただ、時々増水する川のほとりだったので 盛り土をした上で マンションにはめずらしく縁の下があった。そこに使わない時のビーチチェアとかガーデニングの道具とか入れておいた。
で、当時、娘が大事にしていた猫のぬいぐるみがあった。誰かにいただいたか、買ってあげたかは忘れたが、茶色のトラ猫で電池が入っていて抱き上げるとミャーと可愛い声を出すものだった。
ある日の事、たんすの上のその縫いぐるみが 何も動かさないのに 朝から鳴くのである。今までそんなことなかったのにと思いながらも その日は一日 忘れた頃に夜まで鳴き続けた。
そして次の日の朝、晴れたので庭に出てみると ハエがやけに飛んでいる。おかしいな と思ってあちこちのぞいてみると ちょうど家の真下の縁の下に大きなトラ猫が死んでいたのである。
が~~ん!! 自分じゃどうにもならないので 保健所に相談して引き取ってもらえた。落ち着いたら昨日から鳴いていた猫のぬいぐるみの事を思い出してぞっとしてしまった。動かさなくても鳴いた日は その前の日一日だけ。死んだ猫を発見して処分してもらった後 ぬいぐるみは一度も静止した状態では鳴く事はなかった。
その後まもなく、縁があって今の家に引っ越した際に 何だか気味が悪くてそれも捨ててしまったような気がする。

そして、昨日の話に戻るが、私達の後に引越して来たのはまだ幼い3人の子供をもつ夫婦だった。同じ大家の持つアパートに住んでいたので顔見知りだった。手狭だから引越ししてきたらしい。よく道など掃除していた、東北出身らしい物静かできれいな人だった。その人は引っ越してきて 2年あまりで 乳がんで亡くなったらしい。
残されたご主人は三人の子供を連れて自分の実家 やはり東北に帰ったそうだ。
次に引っ越してきたのは、川の向こう側に住んでいた一家だった。一人っ子の男の子が家の息子と同い年で 同じ地域のサッカーチームに所属していたので やはり知人だった。感じのよいご夫婦で子供もしっかりした子だったのを覚えている。
そちらのご主人が やはり住んで2年目くらいに出張先で突然亡くなったらしい。
連絡がとれないので会社から家に電話があって 出張先のホテルの部屋で亡くなっているのが発見されたという話であった。
「局さん家は ご主人もお子さんもお元気なの? なんだか 続けざまにあの部屋には不幸があるから 気になっちゃって」と元隣人は言っていたが、彼女もその隣にずっと住み続けているのはいい度胸である。
例の猫の話は あんまり気持ちのいい話題じゃなかったので そのマンションの住人にはしなかった気がする。

あの鳴き声は偶然だったのだろうか? 今でもハエにたかられて軽く口を開けて死んでいた猫の姿が脳裏によみがえってぞっとすることがある。






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