tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

さあ大変!安倍総理どうしますか?

2018年09月13日 12時45分41秒 | 国際関係
さあ大変!安倍総理どうしますか?
 今回の「東方経済フォーラム」での安倍総理、プーチン大統領の発言で、北方領土問題の環境は急変したようです。

 事の起こりはフォーラムの席上安倍総理が北方領土問題について「我々がやらないで誰がやる」、我々の子孫を「日露関係の膠着でこれ以上、悩ませてはならない」という発言をされたようです。マスコミは「今までのアプローチを変えるべきだ」と発言した、と伝えています。

 会場は大喝采だったようで、プーチンさんは、得たりや応とこれを受けて、「安倍首相の発言を聞いて今思いついた」それなら「平和条約を締結しよう、前提条件を付けずに」「その上で友人としてすべての問題を解決しよう」「今年中にどうか」発言している由です。

 TVで見ますと、安倍さんは笑みを浮かべ頷いたようにも見えました。日本人は、「相手がそういうだろう」と思った時にも頷くことがりますが、これは誤解を生むかもしれません。

 安倍さんは北方四島問題を解決してから平和条約という従来の姿勢は変えずに、その範囲で新しいアプローチといったつもりなのでしょうが、演説の中身が宇宙から、東アジア、日ロ関係まで壮大過ぎの感じがする中で、プーチンさんはキチンと具体的に捉えられるところだけを、引用したのでしょう。

 これを聞いた日本政府は、大変慎重に官房長官の談話で、ロシア発言へのコメントには控え、平和条約についての従来の方針を繰り返しただけでした。

 トランプさんだったら「俺が大統領で俺が言ったのだからそれでいい」というのでしょうが、安倍さんは、さてこれからどうするのでしょうか。

 国後、択捉は軍事基地化、太平洋への出口の重要性も含めて、ロシアはソ連以来の路線を変えることはないでしょう。
 安倍演説では、日本の経済協力で東アジアの明日をバラ色に描いて見せましたが、憲法9条を含めた改憲の動きやロシアの気にする防衛強化、イージスアショアなど、対米蜜月などとの組み合わせはどうするのでしょうか。

 演説はバラ色で済むかもしれませんが、外交は厳しい現実です。外交に関しては国内問題のように、都合のいい「忖度」などはないと解っているのでしょうか。
 ロシアに真摯に答えるために、いよいよ、日ロ関係についての「本音」、北方四島についての「本音」を、国民に、真摯に、丁寧に説明する時が来るのでしょうか。

 現状ではそれは至難でしょう。しかしこのままでは、東方フォーラムの安倍演説は、単なる壮大な絵空事になってしまいます。
 さて、安倍さんどうするのでしょうか。(やっぱり先延ばしの一手かな、などと考えてしまうのですが・・・。)

資源獲得競争か 省資源・材料転換か

2018年09月12日 14時28分22秒 | 科学技術
資源獲得競争か 省資源・材料転換か
 科学技術の発展は、このところ加速の一途のように感じられます。その中でますます必要の度が増していくのは多様な資源でしょう。

 最も基本的のものはエネルギー、さらには水資源。 そして多様な鉱物資源の必要度もますます強まっていくように感じられます。
 しかし、地球上の資源の賦存はかなり偏ったものですから、当然、資源獲得競争につながり、それが国際紛争につながることも多くなるわけです。

 石油資源を抑えた国が覇権を握る時代も長く続きました、イギリス、アメリカ、そしていま中国が資源獲得競争に本腰を入れていることは明らかでしょう。

 ところで日本はどうかと言いますと、石油資源獲得を目指して太平洋戦争の突入しましたが、それが大失敗だったことに気づき、資源獲得競争からは離脱という所でしょう。
 日本の選んだ道は、資源国は資源を売らなければならない、ならば買えるだけの原資を稼げば問題ない、という路線でした。
 オイルショックなど大変なこともありましたが、これは正しい選択だったようです。

 さらにもう一つ、日本がやってきたことがあります。それは省資源・材料転換です。ヨーロッパ諸国でもこの活動は盛んです。
 石油価格が1割上がったら、燃費の1割良い車を作る、石油の代わりに太陽光、風力、地熱などでエネルギー(電力)を活用しようという発想です。

 鉱物資源では好例は強力磁石に必要なネオジムでしょう。中国がネオジムを値上げすれば、 ネオジム使用量10分の1で同じ磁力のでる磁石を開発するといった取り組みです。
 今、特に開発競争がし烈な蓄電池などの分野では、触媒や電解質などで多様な安価な新材料の開発が盛んです。

 日本はアメリカや中国のうに超大国ではありませんし、戦争をしないという憲法を持った国ですから、資源獲得競争などには不向きでしょう。だから仕方なく省資源や材料転換などでしのぐしかないという見方もあるでしょう。

 しかし本当はそうではないようです。太陽エネルギーは別ですが、地球の資源は有限です。資源の消費の方は限りがないでしょう。『成長の限界』はとうに論じられています。ブレイクスルーは省資源化材料転換しかないのです。

 結局そこに行き着くのであれば、最初からそれをやっていることが大変大事になってきます。
 偶々日本は、資源獲得競争に敗れて、「資源は人間だけ」と言われる4つの島に住む事になりました。そして、人間の能力開発にすべてを賭けることになりました。そしてそれが究極の勝利を握る手段だという事に気が付いてきました。

 アメリカは資源獲得競争に勝った挙句に、この所は行き詰まりつつあるようです。南沙諸島などで頑張る中国の将来はどうでしょうか。
 いつかは世界中が、省資源、材料転換しかないことを知るのでしょう。日本は経済政策、技術立国の道をそこに賭け続けるべきでしょう。
 それがいつかは世界の平和につながることも確り視野に入れながら。

北方領土問題:政府の本音は何処に

2018年09月11日 13時09分05秒 | 国際経済
北方領土問題:政府の本音は何処に
 個人の家屋敷の問題でも、隣家との地境の問題になると、何故かこじれにこじれるのがよくあることです。国と国の地境の問題になるとこれはさらに難しいでしょう。

 安倍さんはプーチンさんとウラジオストックでの首脳会談を終えました。共同記者発表ではプーチンさんから、領土問題では「ロシア、日本両国民が受け入れられるような決着を模索する用意がある」との発言があったと報道され、その中身は兎も角、具体的問題として(日本の)北方領土での共同経済活動の工程表をまとめたとのことです。

 領土の主張はともかく、共同経済活動ではwin=winの関係を作り出すことは可能でしょうから、海産物養殖や苺などの野菜の温室栽培などで日本の技術で協力し、双方にプラスになる事業展開が出来れば大変結構だと思います。

 ロシアが、国後、択捉の軍事基地化を進めたり、専守防衛の日本のイージスアショアの導入を問題視するのは、未だに国際関係は軍事優先と考えるお国柄を示すものでしょうが、軍事優先にも、それなりの経済的な裏付けが必要です。

 客観的に考えれば、ロシアが国後島や択捉島に住むロシア人にとって、そこが住みやすい素敵な場所にするのにはかなりコストのかかる仕事でしょう。そのコストを、出来れば北方領土問題解決を言いながら、日本との協力によって稼ぎ出そうという気持ちが大きいのではないでしょうか(下司の勘繰りですが、私だったら当然そう考えます)。

 しかし、それはそれで良いのではないでしょうか。日本としては、具体的な共同作業になかで、取るものを確り取り、経営・経済としてなり立つだけの付加価値を稼ぎ出せれば、続ける価値はあるでしょう。

 何時か政権も時代も変わり、友好親善が本物になる時期が来るかもしれません。
 領土問題というのは、そういう状況の中でないと、言い募れば募るほど、感情的対立があらわになり、解決が遠くなることは誰しも経験から理解しているところでしょう。

 願わくば、ロシアが、国際関係は軍事優先などといった好戦的な時代を卒業し、世界の友好親善が第一と考えるような国になることに、ほんの僅かでも貢献できればそれは意味ある事でしょう。

 戦前に、 石橋湛山が「日本は満州進出をやめ、韓国、台湾は独立させ、中国は支配するのではなく経済発展に協力し、経済発展した中国と貿易をしたほうがずっと優れた政策」と、国際関係の本質を見抜いた発言をしていますが、日本も、そしてロシアも、民生の安定発展に貢献するのかを政策の中心に置くような国になっていく日を願いながら、当面の win=winの関係を着実に進めていくことが出来れば、そしてそれが何かの出発点になればと思いつつ今後の展開を見つめていきたいと思います。

2018年4~6月期のGDP :企業活動の片肺飛行

2018年09月10日 12時19分26秒 | 経済
2018年4~6月期のGDP :企業活動の片肺飛行
 今日、内閣府から2018年4~6月期のGDP統計第二次速報が発表になりました。
第一次速報については、8月11日の当ブログで書いていますが、その時点での数字から見たところは、今年に入って、矢張り経済は減速基調か、というものでした。

 第二次速報で違った点は、企業設備の伸びが第一次速報より大幅に伸び、経済成長に貢献したという所でしょう。企業活動の積極さは増しているようです。
 このブログではいつも対前期の短期的な増減よりも、多少長期のトレンドを重視していますが、昨年度の企業収益の好調を受けて、この4~6月も企業の設備投資はかなり活況を維持しているようです。これがをうまく生かすような経済政策が望まれます。

 具体的な数字を見ますと、4~6月の対前年実質成長率は、第一次速報より0.3ポイントプラス修正です。これは全面的に企業活動によります。
 以下は昨年の4~6月期から今年の4~6月期前での5四半期の「対前年向期比のGDP伸び率」で、全て実質値です(物価の変動が入った名目値ではありません)。
 
主要なものを拾ってみますと(第一次速報の数字と修正点)
<GDP成長率> 1.6% 2.0% 2.0% 1.0% 1.0%
の最後(2018年4~6月期)の1.0%が1.3%に上方修正されています。

<家計最終消費支出> 1.7% 0.6% 1.0% 0.1% 0.1%
は変わっていません。

<民間企業設備> 2.7% 3.8% 3.2% 2.9% 4.0%
の最後の4.0%が6.4%に「上方修正」です(これが成長率を押し上げ)。 

 あとは、公的部門(政府)に数字にかすかな変化があった程度で変わっていません。勿論第一次速報と対二次速報があまり変わらないのは、正確性という面からは結構なことでしょう。

 結局第二次速報をこの1年の動きというトレンドで見ますと、個人消費は相変わらず伸びず、経済成長への貢献はほとんどなく、頑張っているのは企業の設備投資ばかりという事がハッキリすることになります。

 企業が 内部留保をため込んで経営が積極的でないなどとよく言われますが、現実には企業が投資に、それなりの積極性を持っていることで日本経済はなんとか伸びているということになるようです。

 しかし、設備投資は需要(消費)を前提したものですから、基本的な経済原則の通り、消費も伸びてくれないと、投資だけでは経済は片肺飛行です。
 国内需要が伸びなければ輸出でと言っても、最近のトランプさんの発言ではありませんが、それでは必ず問題がおきるでしょう。

 安倍さんは、3選されたら憲法論議と言っているようですが、日本経済の消費と投資バランスの悪さを置き去りにしたのでは国民生活の足元が揺らいできます。
 過日は 自然災害の犠牲の急増傾向の問題を提起しましたが、国民が今何を一番心配し、いかなる政策が必要と考えているかを政策の第一に掲げてほしいものです。

茄子にまつわる諺など

2018年09月08日 22時01分39秒 | 社会
茄子にまつわる諺など
 今日の東京はいい天気でした。一時パラパラと雨が降ったりしましたが、また、多少風が強かったりしましたが、秋の風に吹かれて庭の草かじりをしました。

 狭い庭ですが、先日から雨が多かったせいで、雑草、私の記憶では「地しばり」がランナーを延ばし大変です。
 図鑑などでは花が咲くことになっていますが、花は見たことがありません。

 去年まで花壇だったところに植えた茄子の根元にもどんどん伸びていきます。未だ茄子は元気で花が咲いていますので、雑草は取って、秋茄子を食べようと思っています。

 日差しは結構強く日に焼けますが、それも気持いい感じなのはやはり秋だからでしょう。
 ナスを2つほど収穫して、糠漬けにしようか、焼きナスにしようかなどと考えながら「この堅さは秋ナスだな」など感じていると「秋茄子は嫁に食わすな」なんて言ったな、などという記憶な蘇ってきます。

 これには、「おいしい秋ナスは嫁には食わせない」という嫁姑の葛藤という解説と、「秋茄子を食べると髪の毛が抜ける」という嫁思いの解説(茄子は毒性の「ハシリドコロ」などと同族)があるようで、巧くバランスが取れているな、などと感じます。

 ついでに思い出してしまうのが「親の意見となすびの花は、千に一つの無駄もない」です。
 確かに茄子は、花が咲くと必ず実がなります。秋ナスは少しひねくれた実も多くなりますが、これは諺の通りです。

 一方「親の意見」の方はどうでしょうか。我々の世代は、そう言われて、100%とは言わないまでも「確かにそうだな」などと割合素直に聞いたものですが、最近マスコミでは毒親とか鬼親とかいう言葉も結構出て来て、どうもこの諺は簡単に「そだねー」とは言えないという意見もありそうです。

 最近は情報が多くなって色々な親がいることが知られてしまったからか、それとも、世の中が昔と違ってきたのか、その辺りは解りませんが、折角諺があるのに、何か残念な気持になります。

中国のアフリカ進出の行方

2018年09月07日 16時09分05秒 | 国際関係
中国のアフリカ進出の行方
 去る9月の3、4の両日、「中国・アフリカ協力フォーラム」が北京で開かれました。中国は一帯一路の先にアフリカを見ているのでしょう。

 この会合は既に2000年から3年ごとに中国とアフリカで開催されて、実績を積み上げて来ています。
 今回は特に中国が6.6兆円の援助(4分の1は無償援助)を表明したことで注目を集めたようです。

 中國はアジア諸国にも積極的な援助を行っていますが、中国自体がいまだに低開発地域を持つ中でのこうした援助政策は、いろいろな憶測を呼んでいるようです。

 中国自身もこうした援助活動は「多目的」なものと考えての事でしょう。アフリカの人口は13億といわれ、ほぼ中国と同じですが、中国は1国、アフリカは54か国で、今回のフォーラムには53カ国が参加しています。
 1国1票の国連などでは、アフリカの賛成を得ることは政治的に極めて有利でしょう。

 もちろん資源獲得に力を尽くす中国としては、アフリカの持つ多様な資源は魅力で、すでにアフリカからは資源を、中国からは工業製品をという中国サイドの加工貿易体制が確立し、中国が最大の貿易相手国になっている国々もあるようです。

 また、中国はインフラ整備や工場進出などの際、中国人労働者を大量に派遣しているようで、これも重要な一面でしょう。

 そんなこんなで、中国のアフリカ進出については「新しい植民地主義」などという批判も絶えないようです。
 習近平さんは、フォーラムの席上で、アフリカへの援助は「いかなる政治的条件も付けない」「私利を図るものではない」と明言しています。

 フォーラムの席上で、中国は債務返済の難しい国については、一部の債務を免除するなどの姿勢も打ち出していて、「新しい植民地主義」という批判は当たらないと外部からの批判には反論もし、現実の行動でも示そうとしているようです。

 おそらく胸を張ってアフリカ援助を進めるという習近平さんの胸の内には、アフリカの開発、アフリカの発展のためにという気持ちも強いのでしょう。
 気持ちとしてはアフリカの発展とともに中国も発展するという戦略を描いての行動でしょうが、問題は、中国も決して豊かな国ではないという事です。

 国内で富の偏在を前提に、巨大な金を対外援助に使うという事が、常識的に言って、どのような結果を招くかは、誰にもおよその見当はつくでしょう。
 第二次大戦後、アメリカが図抜けた経済力で世界の面倒を見ようとした歴史は、貴重な先例になるのではないでしょうか。

 そのアメリカも、1970年には、経常赤字による金準備(当時はドルは兌換通貨)の減少に悲鳴を上げ、ニクソンショック(ドルのペーパーマネー化)になるのです。
 今の中国は、アメリカの利上げによる人民元安、その結果のマネーの海外流出を恐れて、人民元の価格維持に気を使うような状態です。

 人の志は立派でも、経済は往々それを許しません。中国は将来の資源枯渇を予見して、資源確保を中国経済のベースにと考える様子が透けて見えますが、中国のアフリカへの肩入れも習近平さんの思うようにはいかない可能性も小さくはないでしょう。

 中国内でも、国内の貧しい部分を放置して海外の援助とは、との意見も出ている由。恐らく、アフリカの発展に善意を一貫させることも、資源で覇権を握ることも容易ではないでしょう。

 中国の諺「愚公山を移す」ではありませんが、山を移すのには時間がかかるのです。習近平さんは少し急ぎ過ぎでしょうか。 さて、中国は何処へ行くのでしょう。

頻発する自然災害と人類

2018年09月06日 12時00分16秒 | 環境
頻発する自然災害と人類
 自然災害の異常ともいえる連続に心を痛める日々です。人類を生み育ててくれた地球を大事にしないことの咎めでしょうか。何か恐ろしさが募ります。
 犠牲になられた方、被害を受けられた方々には申し上げる言葉もありません。

 今、人類は繁栄の絶頂にあるようで、一部に驕り高ぶる人々や国々もあり、自然に対してあまりに不遜になっているような気がします。
 自然を征服し、 自然を自分たちの思うが侭に活用(収奪)して、「今」の生活を謳歌しようという自尊と我儘が強すぎるのではないでしょうか。

 古来「母なる自然」とか「母なる地球」と言う言葉はありますが、現代人は地球の自然を「母」のように「敬愛」しているでしょうか。
 月や火星に住めるという「浮気」も研究としては結構ですが、それが地球を蔑ろにすることにつながったのでは、恐らく人類の未来はないでしょう。

 今回は、地球環境における2つの大きな問題が連続したことに恐怖感に近い驚きを感じていますが、地球環境破壊の結果の異常気象と、地球の構造自体に由来する地震の連続です。

 今回の北海道に山崩れは、この両者の複合によるもののように感じますが、このところ「これまでに経験しなかったような」という形容句が余りに頻繁に使われることで、自然災害のレベルが一段上がったように感じるのは私だけではないでしょう。

 異常気象問題は議論としてはそれなりに尽くされているようにも思われますが、地震については、余りに未知なことが多く時に専門家が、首都圏で直下型地震はなどと「確率の形で地震予知」などやり、マスコミも報じますが、どう信用していいのかわからにというのが実情でしょう。

 まだまだ人類にとって自然は解らない事ばかりでしょう。気象予報の正確度は増しましたが、出来るのは予報だけです。
 地震の場合は、予報も役に立つようなものではありません。

 残念ながら現状では、人類は、自然に如何なる現象があっても、受け入れるしかないのです。異常気象問題ではCO2濃度などの研究は進んでいます。因果関係についての「異見」もありますが、研究は大事でしょう。地震についても研究が大事な事は当然です。

 しかし、今の人類が驕り高ぶり、予測、予知も可能とか対策も可能のように考えるのは行き過ぎでしょう。

 縄文以来、日本列島に住む人々は、自然災害と戦いながら、その影響をいかに緩やかなものにするようにと対応策を考え、時に凶暴な自然と巧みに共存することに知恵を絞って来ました。
 この状況は、基本的には今も変わらないと思います。残念ながら、人類は地球環境が人類にとって些か凶暴の度を強めるようなことをしてきてしまったようです。

 今現在できることは、些か凶暴さを増した自然環境に対し、その影響を和らげるような防衛策を早期に講じ(治山治水のレベルアップ)、今日の自然と共存できる体制の再構築をすることでしょう。

 そしてより長期的には、多様な研究を進め、さらに基本的な所で自然との共存の在り方を高度化するといった努力を続けることではないでしょうか。
 そして、地球の自然は、あくまでも人類(すべての生物)の「母」であることを常に忘れるべきではないでしょう。

経団連会長「採用選考に関する指針」から撤退を表明

2018年09月05日 16時42分46秒 | 就活
経団連会長「採用選考に関する指針」から撤退を表明
去る3日、経団連は大学生の就職活動について出していた指針を2021年春入社の学生の就職活動から廃止するという方針を示しました。
 未だ、経団連としてではなく会長の意見という事のようですが、早速、政府、経済団体、大学その他から 色々な意見が出て来ています。

 何時のものブログでは書いていますが、企業を職務の集合体とみる欧米の考え方と、企業は人間の集団とみる日本の考え方の違いから、日本では新卒一括採用という習慣が取られてきています。
 
 企業もその考えは変えず(ただし正社員と言われる人達が対象、非正規社員は欧米流の職務別採用)、学生も、大学もそれに慣れ親しんでいますから、企業は新卒をまとめて取りたいし、学生は卒業式の後は4月1日から会社勤めと考えて学生生活を送っています。

 平成不況の真只中、就職氷河期などと言われた時期に卒業した学生の中には、そうした希望の就職が出来ず、非正規を転々として、日本流に言えば「定職にもつけず」社会に不適応になって、問題になるといった後遺症は未だに残っています。

 今は未曽有の人手不足と言われ、企業は優秀な新卒採用に血眼ですから、皆、他社に先駆けて新卒学生の選考や内定をしたいのは当然でしょう。
 経団連の指針は、仁義なき採用競争は避けたいという事で、公平、公正、透明な採用を目指し、選考や内定の解禁日を決めて、皆で守りましょうといっています。

 しかし現実はどうでしょうか、「指針」は、経団連の約1500の会員企業には徹底できても、それ以外の企業は採用活動は勝手に出来るという事になってしまったようです。
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 これでは経団連傘下の企業だけ割を食う事になりかねません。他社の内定を取っても、あとから経団連傘下企業(主として大企業)の内定をもらえれば、そこに決めるという学生も多いでしょう。しかしそれも公平、公正、透明なのかなどとなりそうです。

 報道によれば、中西会長は「経団連が采配することには極めて違和感がある」と言われていますが、まさに本音でしょう。

 「就職協定」といわれた時代には、文部省や労働省、大学側の組織、大企業中小企業の代表なども関わって、経団連(当時は日経連)が幹事団体になって、議論を繰り返しつつやっていたようですが、それでも、最後には、1996年、就職氷河期の中でやめています。その後、大学側と企業側の協議で「倫理憲章」(大学側は「申合せ」)となりこの所、経団連の「指針」となったという事でしょう。

 いずれにしても、前々から「高速道路の80キロ制限標識」などと言われ、ほとんど守られないものでしたから、廃止の話は常にあったようです( それでも無いよりは良いのではという意見もあったようです)。
 考えてみれば、 根本原因は「企業は人間集団」と考える日本の経営思想、それが生まれる日本的な「人間中心の哲学」にあるのでしょう。

 それが日本的経営の原点で、日本の強さの源でしょう。その結果である新卒一括採用方式を「善し」としながら、就職問題の在り方を模索するのも、困難でも、まさに日本らしさの表れでしょう。
 自分中心をある程度譲歩し、全体についてベストな方法を、学生、大学、企業を中心に、文殊の知恵で考え続けてほしいと思う所です。

企業の「内部留保」過去最高は当たり前

2018年09月04日 15時10分19秒 | 経営
企業の「内部留保」過去最高は当たり前
昨9月3日、財務省から、平成29年度の「法人企業統計年報(概要)」が発表になりました。昨年度は、我が国の企業経営は総じて好調で、それに支えられて、消費不振という問題は抱えながらも日本経済は何とか順調に推移してきました。

 ご承知のように、「法人企業統計」には年報と四半期報があり、速報性のある四半期報と、企業経営の中身が確りみられる年報で、日本の企業経営の状況は適切に把握できる優れた統計です。

 報道では、主にその中で「企業の内部留保」を取り上げたものが多く、「内部留保史上最高」とか「安倍政権発足以来毎年増加」などというのもありましたが、何か、安倍政権の賃上げ奨励を意識してでしょうか、企業が儲け貯めこんでいるといったトーンが感じられるものが多かったように思います。

 マスコミが内部留保と言っているのは、法人企業統計の「資産・負債の部」(B/S)の中の「自己資本の中にある「利益剰余金」のことで、企業経営の基本から言えば、企業は(資本金で経営しているのではなく)過去の経営実績で積み上げた利益剰余金で経営が成り立っているというのが常識でしょう。

 つまり、資本金1千万円で会社を設立しても、1千万円では大した仕事はできませんから、最初は借金して資金量を増やし、年々の利益を蓄積して(内部留保)、利益剰余金を増やし、それで借金を返済して、出来るだけ自己資本で経営するようにし、強靭な財務体質の企業に成長していくという事でしょう。

 というわけで、多くの皆様はとうにご存知でしょうが、利益剰余金というのは、剰余金と言っても遊んでいるカネではなくて、企業経営の基幹的な資金として運用しているカネなのです。その増加は企業の成長の原動力の増加ということでしょう。

 法人企業統計の数字を表にして見ました。
     
     過去11年の利益金処分と利益剰余金・自己資本(単位:千億円)

      資料:財務省「法人企業統計年報」

 右端の自己資本は年々増加しています。長期不況の中で、自己資本充実は日本企業にとっては必須で、リーマンショックで大幅減益の時も、増資その他で何とかしのぎ、増加を維持しています。
 本来自己資本は、表の左端の当期純利益から配当を支払った残りの内部留保が利益剰余金の形で積み増されて増加していくのですが、流石にリーマンショックの時は2年にわたって内部留保はマイナスになり、利益剰余金を取り崩して配当もやり、結果、21年には利益剰余金は減少しています。

 これは企業経営としては異常事態で、その後の順調な増加は喜ぶべきことですが、剰余金の増加に兎角の批判があるのは、賃金をあまり上げずに利益を出す企業、利益をため込んでもイマイチ投資に積極的でない企業といった見方が原因でしょう。

 経済は投資と消費で成り立っていますが、今の日本では最も慎重なのは消費者でしょう。この所の 消費性向を見ますと、可処分所得は増えても消費支出は減ることが多いようです。
 それに比べれば企業の方はいくらか 積極性があるようです。

 というようなことで、企業が内部留保(利益剰余金)をため込んでいるという批判があるすれば、それは何が起こるか解らない状況に何とか対応できるようにと、企業・消費者共に経営・生活の態度が慎重になっているという事でしょう。
 その原因には、種々の波乱含みの国際情勢もあるでしょうが、政府・日銀の経済・金融政策の先行きが見えないといういわゆる将来不安も大きいでしょう。

 本当に論ずべきはそちらの問題ではないかと私は思っています。アメリカや中国の身勝手な行動、それに対して国民を安心させることの出来ない政府・日銀の対応でしょう。
 民間が将来に希望を見出しその気になれば、日本経済はもっともっと伸びる力があると思っています。

公務員と憲法第9条:ただし聖徳太子の「17条の憲法」です

2018年09月03日 15時53分39秒 | 政治
公務員と憲法第9条:ただし聖徳太子の「17条の憲法」です
 今日は9月最初の月曜日で、公務員の方々も、夏休みの時期を終えて、いよいよ秋、改めて本格的に仕事をスタートという日でしょうか。

 トランプさんの影響か、日本自体の問題か解りませんが、この所、政治の問題が、行政組織にまで多大な影響を与えているようで、大変なこととお察しする次第です。

 それと関係あるかどうかは解りませんが、この所、障害者雇用の問題で、多くの省庁や出先機関で雇用率の水増しがあると報道され、公務員への信頼性が問われているようです。

 民間企業にしてみれば、行政の厳しい態度で、時にはいろいろ無理な算段もし、出来るだけ納付金を支払わないで済むように努力しているところなので、怒り心頭の方もおられ、マスコミの論調も、それを代弁するという意味もあるのでしょう。

 結果、各省庁はどうするのか知りませんが、身障者雇用納付金を払わないので、すぐの対応は困難でしょう。雇用可能な障害者もそう多くはないようですし、では納付金を払えといっても、国庫が払って国庫に納めるのですから民間には関係ありません。

 こうした問題は、個別の問題を取り上げ、それを糾弾することも大事かもしれませんが、それよりも、公務員とはいかに大事な仕事をする立場なのかという事を、公務員全体が理解し、国民から信頼される公務員になるという自覚と矜持を1人1人の公務員が持ち、それによって自らの行動を律することを改めて徹底するしかないのでしょう。

 それにしては公務員の雇い主である政治家が問題だという意見が、必ず出てきましょう。これこそ本当に困ったことです。
 しかし現実には、雇い主はちょいちょい変わりますが、公務員は一生の仕事です。一貫性が大事という立場からは、公務員が確りしてくれなければという気持ちは国民にも強いのです。

 政治家のほうも確かに問題ですが、出来得れば、公務員自体、さらには公務員という組織全体が、国民の政治家への不信や政治家の泥仕合、数の暴力の行使、などの不祥事に影響されずに、正義(Justice=公正)の実践に邁進してほしいと思うところです。

 このブログでこんなことを書かなくても、1500年も前に聖徳太子がその17条の憲法の第9条にこう書いています。
第9条「信是義本」ですが、今様に言えば、「信(まこと)は正義の本(もと)」という事でしょう。その後の説明の中には「群臣(公務員)に信(まこと)の心があれば何事も成る」と書いてあります。

 ホモサピエンスの脳は進化しているわけではないので、人の心の問題は生物学的には進歩はしないのでしょうが、それを、ホモサピエンスが作る「社会の在り方の進歩」によって、より良い社会、より信頼のできる社会システムにしてくことが、我々には求められているのではないでしょうか。

日銀は何をしているのか、政府との関係は?

2018年09月02日 16時26分33秒 | 経済
日銀は何をしているのか、政府との関係は?
 銀行経営が苦難の度を増し、特に地銀などにおいては、存続もままならないのではないかといった意見もある中で、日銀の金融政策は何か動きを止めているように見受けられます。
 
嘗て、「デフレ3悪」で書きましたが、これはデフレが必然的に伴う経済への悪影響で、①消費不振、②利益圧縮、③金融不安(金融の機能不全)という深刻な問題です。

 日本は2013年からの異次元金融緩和で、異常な円高時代から脱出、基本的にはデフレではなくなりましたが、その後も長期にわたって異次元金融緩和がゼロ金利(プラス量的緩和:最近少し見直し)という形で残り、どうもその結果、デフレ3悪の中の3つ目の問題である金融不安、金融の機能不全の問題が次第に深刻化してきたようです。

 もともと、日本の場合、異次元金融緩和は、国際投機資本、マネーゲーマー達に働きかけ、円安を実現するために使った手法(便法)で、日本の場合、アメリカのように金融が回らなくなって、経済活動が動かないことを懸念したのと些か違うように思われます。

 これは、アメリカの不況の深刻化の問題が、もともとサブプライムローンの証券化(不良債権を優良債権に見せかけた)という金融問題から発したのとは違い、日本の場合は、経済の実力に合わない異常なまでの円高を押し付けられたことにあったという事から見れば、ゼロ金利政策(異次元金融緩和)の目的自体が違ったのも当然かもしれません。

 問題は、2度にわたる金融緩和政策(いわゆる黒田バズーカ2発)で40円幅の円安を実現し、日本経済は正常に復したのですが、そこで金融緩和を見直せば、また円高に逆戻りという恐れがあったという事でしょう。

 その怖れを引きずって(2%インフレ目標を口実に)異次元金融緩和を長期に続けてしまったところに問題があったようです。 
 適切な時期に、正常化した円レートの維持は、本来の経済政策、為替政策に委ね、金融政策は金融政策としてまともなものに戻す作業に取り掛かるべきだったのでしょう。

 正常な円レート維持に気を使い過ぎ、異次元緩和を続け過ぎた結果、「金融の機能不全」が残ってしまい、さらにそれが、預金に金利が付かないという問題から「消費不振」につながるという 副作用も持ってしまったという気配です。

 これをまた政府が利用することになったのも、大きな問題です。ゼロ金利なら、国債を発行してもコストは僅少、当然国債の安易な発行につながり、国債残高が巨額になるにつれて、「財政再建を困難にする金利の正常化(引き上げ)は困る」という逆圧力になることは当然考えられます。(最近トランプさんも同じことを気にしていますね)
 
 そういう意味では、苦労は覚悟で、金利の正常化をやらなければならないし、それは1日でも早い方がいいのでしょうが、今、政府と日銀の関係はどうなっているのでしょうか。