tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

中国のアフリカ進出の行方

2018年09月07日 16時09分05秒 | 国際関係
中国のアフリカ進出の行方
 去る9月の3、4の両日、「中国・アフリカ協力フォーラム」が北京で開かれました。中国は一帯一路の先にアフリカを見ているのでしょう。

 この会合は既に2000年から3年ごとに中国とアフリカで開催されて、実績を積み上げて来ています。
 今回は特に中国が6.6兆円の援助(4分の1は無償援助)を表明したことで注目を集めたようです。

 中國はアジア諸国にも積極的な援助を行っていますが、中国自体がいまだに低開発地域を持つ中でのこうした援助政策は、いろいろな憶測を呼んでいるようです。

 中国自身もこうした援助活動は「多目的」なものと考えての事でしょう。アフリカの人口は13億といわれ、ほぼ中国と同じですが、中国は1国、アフリカは54か国で、今回のフォーラムには53カ国が参加しています。
 1国1票の国連などでは、アフリカの賛成を得ることは政治的に極めて有利でしょう。

 もちろん資源獲得に力を尽くす中国としては、アフリカの持つ多様な資源は魅力で、すでにアフリカからは資源を、中国からは工業製品をという中国サイドの加工貿易体制が確立し、中国が最大の貿易相手国になっている国々もあるようです。

 また、中国はインフラ整備や工場進出などの際、中国人労働者を大量に派遣しているようで、これも重要な一面でしょう。

 そんなこんなで、中国のアフリカ進出については「新しい植民地主義」などという批判も絶えないようです。
 習近平さんは、フォーラムの席上で、アフリカへの援助は「いかなる政治的条件も付けない」「私利を図るものではない」と明言しています。

 フォーラムの席上で、中国は債務返済の難しい国については、一部の債務を免除するなどの姿勢も打ち出していて、「新しい植民地主義」という批判は当たらないと外部からの批判には反論もし、現実の行動でも示そうとしているようです。

 おそらく胸を張ってアフリカ援助を進めるという習近平さんの胸の内には、アフリカの開発、アフリカの発展のためにという気持ちも強いのでしょう。
 気持ちとしてはアフリカの発展とともに中国も発展するという戦略を描いての行動でしょうが、問題は、中国も決して豊かな国ではないという事です。

 国内で富の偏在を前提に、巨大な金を対外援助に使うという事が、常識的に言って、どのような結果を招くかは、誰にもおよその見当はつくでしょう。
 第二次大戦後、アメリカが図抜けた経済力で世界の面倒を見ようとした歴史は、貴重な先例になるのではないでしょうか。

 そのアメリカも、1970年には、経常赤字による金準備(当時はドルは兌換通貨)の減少に悲鳴を上げ、ニクソンショック(ドルのペーパーマネー化)になるのです。
 今の中国は、アメリカの利上げによる人民元安、その結果のマネーの海外流出を恐れて、人民元の価格維持に気を使うような状態です。

 人の志は立派でも、経済は往々それを許しません。中国は将来の資源枯渇を予見して、資源確保を中国経済のベースにと考える様子が透けて見えますが、中国のアフリカへの肩入れも習近平さんの思うようにはいかない可能性も小さくはないでしょう。

 中国内でも、国内の貧しい部分を放置して海外の援助とは、との意見も出ている由。恐らく、アフリカの発展に善意を一貫させることも、資源で覇権を握ることも容易ではないでしょう。

 中国の諺「愚公山を移す」ではありませんが、山を移すのには時間がかかるのです。習近平さんは少し急ぎ過ぎでしょうか。 さて、中国は何処へ行くのでしょう。

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