tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

作られる金融危機

2010年07月03日 11時10分09秒 | 経済
作られる金融危機
 昨年3月「資本主義改造計画 」を、また昨年4月には「 資本主義改造の方向」を書きました。アジア経済危機からアメリカのサブプライム問題、その後遺症のリーマンショック、そして今回はギリシャ危機とユーロ問題、資本主義は、いよいよ悪質な病気にかかってしまったようです。

 この病気は、早く、根本的に治療しないと、資本主義自体を死に至らしめるもののように思われます。
 20世紀末、70年以上に亘る歴史的実験の結果、共産主義経済が崩壊し、世界中が資本主義・自由経済に塗り替えられたと、資本主義が共産主義に勝利宣言をしたばかりですが、今の状況では「矢張り資本主義も人間を幸せにするものではない」と否定される事になりかねません。その後には再び規制、統制、全体主義の悪夢が来るのでしょうか。

 何故こんな事になってしまったのでしょうか。
 多くの方が気付いておられるように、それは資本主義の生んだ鬼子 である「マネー資本主義」が実体経済を蹂躙しつつあるからです。

 地球市民の大部分は、実体経済の成長によって、その生活水準を向上させることが出来、そのゆえに、経済成長こそが経済運営の基本だと考えています。これは、真面目に働いて、着実に経済を成長させ、安定的に生活水準を向上させていくという世界です。

 これに対して、資本主義の鬼子であるマネー資本主義は、経済現象が安定的に推移していたのではビジネスチャンスはありません。物価でも、証券・債券の価値でも金利でも、乱高下してくれるのがチャンスです。

 そしてそうした国際投機資本が今、巨大に積みあがっています。しかもあらゆる手段で レバレッジを効かせる手法が用意され(極め付けはハダカ空売りか?)、相場の乱高下を積極的に演出するようになっています。

 それでも、何かきっかけがないといけないので、きっかけ作りにも積極的です。財政不如意の国があれば、「何とかしましょう」と甘い言葉をかけ、借金の深みに追い込むようなことを有名な投資銀行ですらやるわけです。
 これでは、多重債務者に甘い声をかけて、最後は身ぐるみ剥ぐ、悪徳金融業者と同じに思われても仕方ないでしょう。

 世の中には健全な経済生活をしている人ばかりではありません。サラ金の誘惑に負け、今日の楽しみを求める人もいます。国でもそうです、緊縮財政や増税は国民には不評です。ついつい赤字財政に頼り、金を借りてしまします。そういう国(たとえばPIIGSなど)は、国際金融資本の標的になる可能性が大きいというのが現状でしょう。

 個人でも国でも、稼ぎの中で健全な生活をするか、借金でもっと良い暮らしをするかは、基本的は、その人間、その国の政権担当者(国民が選んでいるのです)の心が強いか弱いかによって決まります。 さいわい日本は、国民がチョー真面目なために救われているようです。

 G20では、何もはっきり決まりませんでしたが、巨大な国際金融資本の「甘いささやき」と「冷酷な破綻への追い込み」の繰り返しによる世界経済の混乱を防止する方法、各国の徹底した経済運営の健全化(財政と経常収支)and/or金融規制についての、早期の国際合意がないと、次の金融危機が仕掛けられる可能性は大きいのではないでしょうか。


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