tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

平和憲法、争点は戦争そして独裁化

2024年05月03日 14時15分40秒 | 政治

今日は憲法記念日です。日本は世界でも稀な戦争放棄を謳う平和憲法を持つ国です。そしてその不戦の宣言を、戦後、何とか今日まで守ってきました。

世界の多くの国々、多くの人々は、そうした立場を守ってきた日本を、世界のあるべき姿として評価し、これからも日本は戦争をしない国と信じ、信頼を寄せてくれていたと感じてきました。

しかし、この所、日本もまた戦争をする国に戻るのではないかという疑念を持つ国や人々が増えて来たのではないかと感じています。

我々日本人自身、既に日本は不戦の立場を逸脱し、軍事的な環境条件次第で戦争をする国に変わってしまったと考えざるを得なくなっているのです。

但し、日本国憲法は変わっていません。なのに、何故変わってしまったのかと言えば、それは「閣議決定」という手段で、憲法の条文は変わらなくても、解釈を変えれば、戦争をすることが可能になるという便法を現政権が使っているからという事になるようです。

しかしその手法は正式な民主主義とは言えないものですから、現政権は、「改憲」をしなければならないと考えているようです。

改憲は、今の憲法をもう少しいい物にしようという事で、いろいろな意見が出て来ます。その中には改めてもいいなと思われるようなものもあるでしょう。そうしたものも並べて「改憲」の納得性を高め、9条も見直そうという意図が感じられます。

何故そこまでして日本を再び戦争をする国にしようとするのかですが、最大の要因は、嘗て、日本を戦争する国にしてはならない、そのためには戦争の放棄を憲法で定めることが重要と考えていたアメリカが、日本もアメリカと共に戦ってほしいと考えるようになったからという事でしょう。

しかし、戦後殆どの時期政権を担当してきた自民党指導部は、アメリカのこの考えには賛同すべきではないと戦後日本の 不戦の立場を重視する姿勢を持っていたようです。それは「自由民主」という党名にかけても慎重であるべきとの認識だったのでしょう。

変わったのは第二次安倍政権からのようです。第二次安倍政権発足の際、安倍さんは、政権維持のために中央集権システムの確立が必要と考えていたようです。

その意思は「決める政治」という言葉に表れていました。そして、人事権も含め政策決定は「官邸主導」で、公明党の協力を得て絶対多数を確保し強行採決を頻発、強行採決で必ず通るなら、閣議決定で決めれば最終決定と同じという理屈でしょう、閣議決定で「集団的自衛権」や武器輸出3原則の見直しは国の方針となっています。

この手法の実態は、いわば「官邸独裁」です。人事権も握れば、官僚は思いのままに動かせます。こうして安倍政権以来、日本は官邸による独裁国家の色彩を一挙に強めてきたのです。

そして安倍政権の後ろ盾は、覇権国アメリカです。しかも当時は、アメリカでも独裁的と言われたトランプ大統領でした。

こうした構図は、共産圏であれば、ロシアのプーチンとベラルーシのルカシェンコに酷似しています。さらにこの構図は、菅政権に引き継がれ、現岸田政権も、総理の権限が総てに通じる便利さを活用するという状態に至っているのでしょう。

我々は、歴史上も、現在も戦争をするのは殆どが独裁者に率いられた国であることを知っています。残念なことに、平和憲法を持ち、戦後不戦を貫いてきた日本も、ここに来て、結果的に、外国の動き次第で戦争をしなければならない国に変身しつつあるのです。

とはいえ、平和憲法はそのままに存在しているのです。日本国民が「平和・不戦」を望むならば、今の日本の憲法からはみ出している部分を国民の力で、削ぎ落としていかなければならないのです。

今日は憲法記念日です。そして日本がこれからも平和と不戦を掲げ、世界が安心する真の独立国家として人類社会に役立つ国であることを願うならば、日本国憲法が世界に約束すべきことは何かを、国民みんながそれぞれに思いを致す日であってほしいと思うところです。